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57 普通に持ってこい


なんだか意気消沈としているチル爺の前にティアを差し出す。


「・・ワシ見ないようにしてたのに・・。はぁ・・フェリティアは移動できんからの・・・『目』の役割を果たすために鳥の姿をとることがあると言われておる。ただ・・・それは鳥の姿を模したフェリティアじゃ。そもそもフェリティアは『世界樹の目』じゃ。枝葉よりも遠い存在ではあるが・・・つまりは世界樹の一部とも言えるものじゃ。なぜそんな一部分と従魔契約・・・従魔とは・・・。」


なんかチル爺がぐるぐる考えてしまった。概ねラピスから聞いた話と一緒だね~!ラピスは何でもないように話してたのにね、とティアと顔を見合わせる。なんか難しい問題みたいだよ?

「ピ?」

どうしてむずかしいんだろうね?そんな気配が伝わる。世界樹も木なんだろうから、一部が別物になることだってあるんじゃないの?だって挿し木とかするじゃない?葉っぱとか枝を水に浸けてたら根っこが生えたりするし、そんなもんだと思ってたよ。


「ピピッ!」

ふわふわの羽毛で丸くふくらんだティア。ほっぺをさすると嬉しそうに目を細めた。いずれにしてもこの子は世界樹とは違う生き物って気がするよ。ちゃんとこの子自身の意思を感じるもの。


「ねえねえゆーた、これおしえてー!」「きれーなのほしい!」「やりたーい!」

「みんなも石をきれいにしたいの?土魔法をつかったら、できるよ!こんな感じだよ。」


難しい話はいらないと割って入った妖精トリオがそれぞれ石を持って目をきらきらさせている。オレは原石のまま残っていた石をとって、なるべくゆっくりと成形してみせる。


「・・わあ!」「すごーい!」「きらきらになった!」

額をくっつけんばかりに間近で見ていた妖精たちが、つるりと丸くなった石を見て大喜びする。是非ともやりたいと、それぞれ小さな原石の中から気に入ったものを取り出すと、両手に抱えてうんうん言いながら集中しだした。

「ほ、やたら熱心じゃの。これは魔力操作の練習に良いかもしれんの。」

ウムウムと頷くチル爺も一つ石を手にとって練習している。


「んーむずかしいよ・・」「うーん・・」「できないよー!」

「何回も練習したら、きっとできるようになるよ!」

妖精たちはうんうん言いながら頑張ったあと、絶対できるようになるんだ!と張り切って帰って行った。妖精界の方が魔力操作がしやすいらしい。そっちで頑張るそうな。

オレは残りの石をきれいにしたら、カロルス様に見せに行こうかな!あと素材についてアドバイスももらえたら嬉しいな!・・最初から聞いておけばよかったよ。

練習を兼ねて、球から楕円っぽいオーバル型、スクエア型、と色々成形してみる。球が一番やりやすくてスクエアは難しい。表面を平らにするのはさほど難しくないけど、鏡面のように美しく平らにするのはすごく難しい・・・これは成形でやるより普通にカットして磨く方が早いかも。何で磨いたらいいかわからないけど・・。





「・・・・・・・・お前・・いきなりこれかよ・・・何だよこれ・・。」

「えっ・・・拾ってきた・・ふつうの、石・・・?」

「普通じゃねえよ!なんでこんなキレーな宝飾品になってんだよ!こんなもんがゴロゴロ落ちててたまるかよ!」

「あ、その方がどんな石か見やすいかなと思って。・・・素材にならない?」

「・・なんっでお前は普通にできねーんだ!普通に!ただ!石を!持ってくればいいだろうが!!」

ビシ!ビシ!とおでこを突かれてちょっと痛い。


「・・ま、まぁ・・・ユータ様のことを置いておくなら素材としては十分なものにはなりますね・・。こちらは瑪瑙で、こちらは水晶で・・ブルードロップとレッドストーンなどもありますね。高価な宝石ではありませんが、素材としての価値はありますよ。・・・ただこんな綺麗な状態であればこのまま店頭に並べられますし、加工も容易なので素材と言っていいのかどうか・・・。」


おでこをさすって不満げなオレに執事さんが助け船(?)を出してくれた。

やった!これも素材になるって!

「きゅ!」「ピピっ!」

てしっ!もふっ!2匹とハイタッチをかわして喜び合う。これでルーにブラシを買えるかな?!でも石は限りある資源だから、あんまりたくさんは持って行けないね。


「あのね、素材ってほかにどんなのがあるの?危ないことをしないで取れるものって・・難しいよ。」

「ふむぅ・・そうですね・・そもそも危険なく採取できるものでしたら誰も依頼したりしないでしょうし・・難しいですね。近場の薬草くらいなら子どもの冒険者でも採取はできますが・・。」

「でも、日持ちしないでしょう?それにオレ薬草とか知らない・・。」

「そうですね・・採取するなら行商が来る前日等に絞られますね。」

「小さい魔石はだめ?」

「小物を倒すということですか?ラピス様がいらっしゃるので危険はないと思いますが・・。」

ちらり、とカロルス様をみやる。

「・・・いや、お前結局大物とやり合ったりしそうだからな。それはせめて学校行ってからにしとけ。」

「えーと、じゃあ・・魔石を作ったりは・・?」

「いやいや魔石は作れるもんじゃねーぞ。・・・・お前、作ろうとするなよ?絶対だぞ??」

「うっ・・うん!」

やっぱりダメなやつだったみたい。見せなくて良かったよ・・危ない危ない・・・。


「はぁーお前本当にちょっと目を離すとこれだもんな・・・・ま、ちょうど良いか・・今お前を呼びに行こうとしてたとこだ。学校行くまでにある程度常識を身につけるのと、試験対策にお前に指導係をつけようと思ってな。打診してた件の返事が届いたんだ、いいってよ。だから今頃こっちに向かってると思うぜ。」

「えっ?オレに勉強おしえてくれる人がくるの?!」


「まあ来るっつーか戻るっつーか・・とにかくそういうことだな。あいつはあぁ見えて行動早いからな、手紙出すと同時に出発するようなやつだ。早かったら数日中にこっちに着くだろうぜ。」

「ほんとに!?いいの?わあ~どんな人かなぁ?!」


カロルス様の知り合いっぽいね!だったらきっとそんなに怖い人じゃないよね・・!うわぁそわそわする!勉強ってどんなことするのかな!?常識を教えてもらうって・・結構それ難しくない?それに、試験対策・・・試験ってどんな試験なんだろ・・?オレ、この世界の理論とかイチからやらなきゃいけないもんな・・まぁ・・入学は6歳からなんだから、いくら飛び級の試験でもそこまで難しいはずはないと思うけど。


勉強だと思うとウッとなるけど、この世界のことを知ると思うとわくわくするよ。知らないことが多すぎるからね・・。

よし、勉強・・頑張ろう!!




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