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間話 ラピスのきもち

ラピスはラピスって言うの。ラピスラズリっていう綺麗な石の名前なんだってユータが言ってたよ。ラピスの目が綺麗な色だから、この名前をくれたの。


ユータは、森で隠れているときに落ちてきたの。

ラピスと同じ、空から落ちてきたから・・気になって見に行ったら、こんな森の中に小さな人の子がいて驚いたの。

ヒトは危ない生き物だから、じっと我慢していたけど、ユータからはとっても綺麗な魔力が溢れてて、聖域のお社の泉みたいで・・懐かしくて、嬉しくて、つい目の前まで行っちゃった。

ビックリした顔だけど、ラピスを捕まえようとしたり悪いことをしようとはしなかったから、側にいようかなって思ったの。淀んだ森の中で、ユータの側はとても居心地が良かったから・・。


でも、人の子はとても脆い生き物だから、この森で生きていけるのかちょっと不安で。

ラピスに・・ラピスに力があったら守ってあげられるのにって悔しかったの。一緒にいても役にたたないけど・・ラピスはすごく、守りたかったの。


それなのに、ユータがラピスを守ろうとしたの。トカゲに食べられそうになったとき、ユータはラピスを守って逃げたの。ラピスが守りたかったのに・・どうしてラピスの体は役にたたないの?すごく、悔しかったの。


ラピスは天狐。だから、みんなと同じ魔法が使えるはずなの・・でも、生まれてから今までどうしても魔力が使えないの。ろくに飛ぶこともできなくて、羽のなくなったチョウチョみたいだったの。一番長く生きてるラ・エンは、生まれつきそうなっていることもあるって言ってた。悲しかったけど、聖域では危ないことがないし、魔力の方がラピスを助けてくれるから、大丈夫だったの。


でも・・・魔力の道に乗ってお散歩にいった帰りに、ラピス・・・落っこちたの。魔力の道に少しだけ薄いところがあったの・・ラピス、わからなかったから。

羽のないチョウチョは、芋虫といっしょなの。落ちたら飛べないの。一生懸命走って、この辺りで一番安全な所でずっと隠れてた。どうしたらいいかわからなくて、隠れながらうろうろ森を彷徨ってたの。

森にはたくさん魔力があったから・・とても淀んで、汚くて・・不味かったけど、ガマンしてちょっとずつ取り込んで生きてたの。

だから、だから・・ユータの綺麗な魔力は、とても嬉しくて足が震えたの。ユータの周りだけ、息をするのも楽だったの。でも、ラピスはこんなだから、ユータを守れなかったの。ユータは、側にいたら危ないよって言って・・またラピスを守ろうとしたの。


ラピスはユータを守れない。

でも、でも・・でも・・一緒にいたかったの!


ラピスは飛べもしないけど、一緒にいたいの、それを伝えようと思って一生懸命になったんだけど・・ユータはラピスを凄いって言ったの!ラピスを凄いって!!

そして、ユータはラピスの病気を治すって言ったの。ラ・エンは生まれつき体がそうなってるから、治せないって言ってた・・だから、無理なの知ってたの。でも、ユータの魔力がすごくすごく気持ちよくて・・それだけでいいって思ったの。


暖かくて、清らかで、ラピスに染み渡るユータの魔力に涙がこぼれそうで。ちょっとずつ取り込んだ淀みでどろどろしていたラピスの中身を、すうっと風が吹き飛ばしたみたいな。

そしたら、ちょっとずつ・・不思議な感じがしてきたの。お空が、真っ暗から少しずつ明るくなるみたいな・・段々と体が自分のものになっていくような。


「・・終わったよ?」


いつの間にかうっとりと閉じていた瞳を開けたら、世界が、明るくて・・!世界って、鮮やかで、たくさんの色があったの!・・ラピス、目があんまり見えてなかったの、知らなかった。

体も、自由に動いたの。全部ラピスの思い通りに動いたの!


ラピスは、その時初めて天狐になったの。


天狐のラピスは、ユータを守るためにいるの。ユータのそばにいなきゃ意味が無いの。

ユータはきっと契約を知らないから、ラピスは契約するために、すごく、すごく集中したの・・ユータの魔力と繋がった時は、嬉しくて・・!


そして・・ユータは、ラピスに、ラピスって名前をくれたの。


天狐のなり損ないは、灰色の世界で、だんだん淀んで消えていくはずだったの。


だから、ラピスっていう天狐は、ユータが生み出したの。

だから、ラピスはユータの側で、ユータを守るの。

だってラピス、守れるようになったの!



それなのに、ユータはちょっと離れてる間に危なくなって、ラピスは泣きそうになったの。ユータを傷つけるなら、神獣とだってラピスは戦うの!そう思ったのに、ユータは恐ろしい穢れを何でも無いように消し去ったの・・・ユータって本当に凄いの。


黒い神獣は、とってもユータと一緒にいたいってお顔に書いてあるのに、ユータを見ないようにばっかりしてたの。ついて行きたいなら、ラピスみたいについて行ったらいいのに。

ユータが寝てる時に、そう言ってあげたら、お前とは違うって言うの・・嘘ばっかり。意地っ張りしないで一緒に行かないと、後で辛くなっても知らないから。

街に行ったら目立つだの、大きすぎるから無理だの、言い訳ばっかりして・・神獣がそんなこと障害になるはずないって、ラピスは知ってるの。

とにかく早く追い出そうとするのは、長くいればいるほど離れたくなくなるからって知ってるの。


ユータの側にいるのは、本当に素敵なんだから。あったかい手でなでなでしてもらうの、凄くいい気持ち。ユータのぷにぷにしたほっぺも気持ちいいの!ユータと繋がってると、清らかな魔力で満たされて、ラピスはとっても強くなれる気がするの。アリスが生まれたとき、ラ・エンが早すぎるって驚いてたの、きっとユータのおかげ。

ユータにはルーの加護とラピスの加護、フェリティアの守護があるの。きっと、大きくなったらラピスなんていらないぐらいの力をもってるの。

でも、ラピスは一緒にいたいから、ずっといるの。


ラピスはユータが大好きなの。




読んでいただきありがとうございます!


ちょっと読みにくいかなと思いつつ・・どうしてもこんな感じで書きたかったのです・・。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ラピスの気持ちと、ラピスから見たルーの様子がよく分かって、いいねを連打しちゃいたい位とても素敵な1話でした!
[一言] かわいい!
[良い点] ラピス目線、嬉しいです。 そっかぁ…ラピスも、辛かったんだね。 ユータは独りぼっちの時にラピスに(そしてルーに)会えて救われたけど… 同じ様に、ラピスもユータに会えて救われたんですネ。 良…
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