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もふもふを知らなかったら人生の半分は無駄にしていた【Web版】  作者: ひつじのはね


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592 減るから嫌だ

「ねえ、2人は今日空いてる?」

ミックと別れ、さっそく2人の部屋を訪ねた。

思いがけず今日貴族街のお店に行くことになってしまったけれど、一緒に行けるだろうか。

「僕、カン爺さんの工房に行く予定だよ~。何か用事~?」

「お前が朝から予定あるって言ってたから、俺ソロで依頼受けたぞ?」

そうだよね、まさか今日になると思っていなかったから。

「それがね、ミックが貴族街のお店に行ってくれることになったんだけど、さっそく今日行こうって」

どうしよう、これじゃオレしか行けなくなっちゃう……。

ハの字眉をしたオレを見て、2人は不思議そうな顔をする。


「別に、俺らがいなくてもいいだろ? 大人の人がいるんだから」

「どうせ買える値段のものはないと思うし~、とりあえず売っているかどうかと、値段の調査ってことでしょ~? ユータが行ってくれるなら任せるよ~」

……言われてみれば。オレが頼んでおいて行けないとなると問題だけど、そうじゃないなら大丈夫だ。

「そっか、じゃあオレしっかり調査してくる!」

お店でメモとか取っても大丈夫かな? せっかくだから珍しい魔道具なんかも見られるといいな。

任せると言う二人へ向け、オレはきりりと表情を引き締めて頷いてみせた。



「貴族街だから、冒険者の服はダメだね。あ、お城に行った時の服でいいのか」

いろんな服を引っ張り出したものの、そう結論付いて服選びは終了。昼前集合って言ったものの、オレの方が時間を持て余しそうだ。

ええと、そんなにかからないだろうし、まずはお店で用事をすませてからお昼ごはんかな。

『主! 俺様串焼きがいい! でっかいお肉の!』

『ぼく、ぼくもでっかいお肉がいい!』

チュー助とシロがお出かけの雰囲気にうきうきと足取り軽くスキップしている。


「うーん、貴族街なら屋台ってないと思うよ。もっと美味しいものがあるだろうしね」

『もっと?!』

『美味しいもの?!』

目を輝かせた二匹が顔を見合わせ、ベッドで跳ねながら歓喜の舞いを舞っている。

『おやぶ、いいこにしゅゆのよ?』

『とーぜんだぜ! 俺様、いつもイイコだぜ!』

おかしいな、最近アゲハの方がしっかりしてきている気がする……。


さて、貴族街のレストランだとお金はいくらくらいあればいいだろうか、と考えたところでハッとした。

「も、もしかして貴族街でお昼食べたら、ミックが支払おうとするんじゃない?!」

だって、何しろオレは幼児だから。

オレが断固支払うと言っても、それはそれで……ミックが幼児の分を払わない大人って目で見られてしまう。付き合ってくれたんだからオレが払うなんて、言語道断だろう。


「ええ……困る。だって貴族街のお店なんてお高いに決まってるもの」

無理言って付き合ってもらった上に奢ってもらうとか、さすがにどうかと思う。

『デートなんだから、お弁当を作ったらどうかしら?』

モモまでうきうき肩で伸び縮みしている。とりあえずデートではないんだけど、お弁当か……。

それはアリかもしれない。美味しいレストランのお食事じゃなくて申し訳ないけれど、たまにはそういうのも珍しくていいかもしれない。

「よし! そうと決まれば急がないと!!」

ミックは何を持って行っても喜んでくれるけど、成人男性で訓練もしているから、やっぱりお肉系統がたっぷりの方が嬉しいだろう。野菜は彩り程度、メインはひたすらお肉弁当だね! それならお任せあれ、オレの収納にはありとあらゆるお肉が揃っているからね!! 

オレはよし、と気合いを入れると厨房へと走ったのだった。



あの様子じゃ早くから待っているかもしれないと、少し早めにガウロ様の館へ到着すると、どうやら館からオレを認めたらしいミーナが門まで出てきてくれた。

「ミックはまだ準備中かな?」

どうやら待たせることにはならなかったと安堵して微笑むと、ミーナが困った顔をした。

「それが、お兄ちゃんあれからすぐにお城に行ったんだけど、帰って来ないのよ。ユータとのデ……お出かけなんだから、王様に声を掛けられたって戻ってくると思うんだけど」

いやいや、それは戻ってこないでほしい。ともあれ、ミックは忙しいんだからお城で用事ができたのかもしれないね。

「オレは急がないから、別の機会にしよっか?」

「あ、お兄ちゃんが帰ってきた時にユータがいないと絶望でアンデッドになりそうだからちょっと待って――」

なんて言っていると、通りの向こうからもの凄い勢いで走ってくる人影が見えた。


「ユータ、すまない!」

「うわっ?! ミック?」

マントが地面と水平にたなびくほど全力疾走してきたミックが、そのままのスピードでオレをかっ攫って走り抜ける。

一体何事かと尋ねようとしたところで、さらに後ろから走ってくる人影。

「お前! 待てと言ってる! なんでそんな速いんだ!! 俺様は鎧があるんだぞ、ズルイぞ!!」

ローレイ様……? どうして追いかけてくるの??

いつもはミックが追いかけるのに、まるで普段と逆の構図だ。

「許可はっ、もらった、から、心配、いらない。ひとまずっ、振り切るぞ!」


短い呼吸の合間にそれだけ言うと、ミックはますますスピードを上げる。

鍛えているって聞いていたけど、こんなに速く走れるようになったんだね。何がなんだか分からないけど、鬼ごっこならウチには最強がいるよ。

「ウォウッ!」

任せて、と喜び勇んで飛び出したシロが、ミックをすくい上げて疾走を始める。慌てて掴まったミックを乗せ、白銀の獣は風すら置き去りにしていった。


「もうローレイ様はいないよ! 許可をもらったのに、どうして追いかけて来たの?」

ミックの呼吸があらかた整った頃を見計らって、シロがスピードを緩めた。シロのスピードじゃすぐに王都を飛び出てしまうからね。

「は、はぁ、ユータのシロはやっぱり凄いな。ああ、あの人のことは気にしないでくれ。誰とどこへ行くのかとうるさくてな、中々離してくれないから振り切って来たんだ」

「オレと買い物に行くって言えば良かったんじゃないの?」

どうして秘密にする必要があるんだろうか。

「嫌だ。言ったら減る。それに、言ったら付いてくるかも知れないだろう」

……ローレイ様、お仕事は? 割とお偉いさんのはずだけど。別にオレはローレイ様と一緒でいいけれど、ミックは何でも『個人的に特別に』が好きだから嫌がるだろうな。

立派な大人なのに、二人とも子どもみたいだ。ミックを見上げてくすくす笑うと、何を思ったか慌てて乱れた髪や衣服を整えた。


「す、すまない。ユータを待たせただろうか。それに、あんな始まりで申し訳ない」

「ううん、約束の時間までまだあったよ。楽しい始まりだったね!」

だって出会った瞬間から最高潮のお出かけだよ! 満面の笑みで笑うと、しょんぼりと肩を落としていたミックがぱあっと顔を輝かせた。

それ、まるでシロみたいだよ、とつい言いそうになって口を押さえる。まるでミックに三角のお耳としっぽが見えるみたいだもの。


――ラピス、ユータ以外が何考えてるか知らないけど、この人なら分かるの!

他人に興味ゼロなラピスでも分かるって相当だ。

「じゃ、じゃあ……今からどうする? まずは飯でも行くか?」

こほん、と咳払いしたミックがほんのりと大人ぶって言った。

「えっとね、多分そんなにかからないから、お店の方に先に行ってもいい?」

「構わないが……慌てて用事をすませなくてもいいんじゃないか? 別に夕方に行ってもいいだろうし」

なぜか渋るミックに小首を傾げる。

「ミック、忙しいだろうし……先に用事をすませておいた方が、自由がきくでしょう? 夕方まで一緒にいられるの?」

「も、もちろんだ! 自由はきかない方が良い」

どういうことなの……ミックの言いぐさについ吹き出した。ひとまず、夕方まで一緒に遊ぼうってことでいいかな。

なら、やっぱり用事は先にすましてしまおう。

そうすればあとはゆっくり遊べるもんね! そう言ってミックを見上げると、二人して笑った。

ミックが犬っぽいとのことで……ほんと、ユータと居るときは喜怒哀楽ハッキリして犬みたいですよね(笑)


アルファポリスさんの方にチャリティー用『俺の猫は支子くちなし色の瞳』短編書いてます。

ご興味のある方はどうぞ~!


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― 新着の感想 ―
[一言] ミックの言動がちょっと変なのは、頭の中に練ってきたデートプランでもあるんでしょうかね?(笑)
[一言] ユータモテモテですなww
[一言] 11巻、予約始まってました~。BOOK☆WALKERで。 でもBookWalkerって、現行バージョンは歴代最悪の出来なのよねえ。もう乗り換えたい……。
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