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間話 お風呂事情

こちらは以前アルファポリス様で掲載した『お気に入り2000突破感謝』の間話です。

本編と直接の関係が無い、人によっては蛇足のお話です。ストーリーから逸れたくない方は読まれないことをオススメします。


 この世界に来てホッとしたこと。

それは、お風呂事情かもしれない。穏やかな心で堪能できるお風呂、それは最高のリラクゼーションだ。


あるのが当然と疑っていなかったけど、そういえば村の家を見る限りお風呂なんてモノがある雰囲気ではなかった。それに気がついた時は愕然としたね・・オレは貴族家に居候させてもらって、毎日入れてもらっているから・・。もし、お風呂がなかったら・・地球にいた頃は、疲れて寝てしまってお風呂に入らないっていう日もあったけれど、それは焦らなくてもいつでも入れるからだ。入るという選択肢そのものがなくなってしまったら・・耐えられないかも知れない。


でも、これはこれで耐えられないかも知れない。



-ピィーーーーン-


マリーの『ユータ様レーダー』が敏感に察知する。

・・こ、これは・・ご入浴の気配!!


とりあえず用意しかけていたカロルス様のティーセットを執事に押しつけると、音もなく滑る影のように疾走する。戦いは、今始まったのだ。

気配を絶って進むマリーの視界に、チラホラと、他のメイドの姿が映り始める。

「・・・チッ!」

お互いの姿を認めたメイド達は一様に顔をしかめたが、無言を貫く。騒いではならない・・可能な限り敵対者は排除すべきなのだ。

我先にと向かう先は、浴室。ちょうど小さな足が扉の中に消えようとしている所だった。



ガッ!!!!


閉じようとした扉が激しい音をたてて防がれ、ユータはビクッと飛び上がった。


「えっ!なに?!」

扉にはすらりとした腕がかかり、隙間にロングスカートの足がねじ込まれ、笑顔のメイドさんの顔が覗いていた。ユータはまるで、逃げ延びた先で追い詰められた時のような心境を味わっていた。

(なんだろう・・・こ・・こわい?)

怯えながら後ずさりするユータ。音もなく滑り込み、ドアを閉めるメイドさんズ。貼り付いた笑顔が恐怖を煽った。


「え・・えと・・どうしたの?おれ、いまから おふろなの。」

だから出て行ってほしいなーと言外ににじませてみるが、メイドさんの笑みは深くなるばかり。じりじりとにじり寄るメイド。後ずさるユータ。ついには背中が壁に当たり、しまったと思った瞬間、メイドたちが飛びかかった。


「さぁ!さあさあ!お手伝い致しますからね~!」

「はい、お袖を抜いて~!」

「ばんざーいですよ、はい!」

手つきは優しいが、身ぐるみ剥がされるユータは涙目だ。


「やだーー!オレひとりで はいれるから!やめてってばー!!」

抗議の声も抵抗も空しく、素晴らしい手際でつるりんと生まれたままの姿にされてしまったユータは、せめてタオルを!!と半泣きの抵抗をしたのだった。


「さー洗って差し上げますからね!私は髪を洗いましょう!」

「くっ!では私はこちらを!」「いいえこちらは私が!」

「では前はわたくしが!」


洗う部分などほとんどない小さな体に、ピラニアのようにメイドが群がる。

「ヒイッ!」

ぎらぎらしたメイド達の視線に晒されて、体中を取り合われながら、ユータは生きた心地がしなかった。

目の前には普段ロングスカートで覆い隠された麗しの生足。浴場で活動するために可能な限り布の面積を減らした出で立ちのメイドたちだったが、彼にそれを堪能できる心の余裕は・・なかった。彼は、肉食獣の群れにむさぼり食われるだけの、哀れな獲物でしかないのだ。決して捕食者にはなれないことを、身を以て体験するのだった。

「あああなんて滑らかなお肌!」

「美しい・・美しいですわ!」

「ああ~柔らかい!食べちゃいたい!」


「やめてー!たすけてー!すりすりしないで!おしりをかじったらいや!」


浴場には哀れな獲物の悲鳴が響き渡るのだった。





既に表皮まで剥けてしまうんじゃないかと思わんばかりに丁寧に洗浄されながら、オレはもはや無の境地に到達していた。もう、どうにでもしてくれ・・・


「くぉらぁー!」

そこへ、バンっと扉を開けて怒鳴ったのは全裸のカロルス様。

メイドさんたちはちょっぴり無表情で「きゃー。」と言うと、渋々浴場から出て行った。

うおお~再び救世主!カロルス様!


「カロルスさまぁ~~」

情けない顔で駆け寄ると、いつものようにわしわしと撫でてくれた。

「わはは、散々おもちゃにされたようだな!大変だったら俺と入るといい。」


ここではメイドさんが背中を流したりはしないようだ。昨日までのオレならちょっぴり残念に思ったろうな。仕方がないので、オレがカロルス様の背中を洗ってあげる。広い背中だ・・上の方まで手が届かなくなるぐらいでっかい。オレが何人隠れられるかな?

オレは既にピカピカどころかひりひりするぐらいだから、先に湯船に入る。そういえば好きな時に入れと言われているけど、領主様より先に入っていいもんなのか?・・まぁカロルス様は気にしてなさそうだからいいか・・。


湯船に浸かってちょっぴりうとうとしていたら、体がぐっと浮いて、ざばぁー!とお湯が出て行った。隣にカロルス様が入ってきている。

「ふぅ~~。」

湯船のフチに頭をのせて、気持ちよさそうだ。


カロルス様のおかげで、ゆっくりとお風呂を堪能できたので、満足して脱衣所へ出て行く。ほこほこした体が気持ちいい。


「「「「さあ、お拭きしましょう!」」」」

「ヒイッ?!」


ずらっと並んだメイドさんズ。あ・・あれ?さっきより増えたような・・?

オレの体にそんなに拭くところはありません!!抵抗も抗議も意に介さないメイドさんズは、手に手にタオルを持って群がっていく・・・。


お・・お風呂は・・・さいこうの・・りらくぜーしょん・・・・?







アルファポリス様の方でリクエストのありましたお風呂戦争の間話です。

こちらでも掲載することにしました。楽しんでいただけたら幸いです!


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― 新着の感想 ―
[気になる点] アトラクションだな。
[一言] ( ̄^ ̄゜)くっ… 全然色っぽくない…(´TωT`) もっと楽しもうぜ…(´TωT`) 肉食獣?最高じゃねぇか、もっとM性を持って行こうぜ!(๑•̀ㅂ•́)و✧
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