表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もふもふを知らなかったら人生の半分は無駄にしていた【Web版】  作者: ひつじのはね


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
424/1122

414 ミーナの奉公先

「カロルス様、こっち!」

「しいっ! 呼ぶなって!」


そんなにこそこそしたって、そのでっかい体は隠しようがないんだから。むしろ堂々と歩いた方が目立たないと思うよ。

オレとカロルス様は、二人で白の街を歩いていた。メイドさんたちはせめて馬に、と言ってくれたのだけど、目立つから嫌だって言うんだもの。


「それで、あいつらは白の街で働いてるのか? そりゃあ出世したもんじゃねえか」

「うーん、多分だけどね! ミーナはきれいな格好だったし、多分ここで働いてると思うよ! ミックもすっごく頑張ったって言ってたんだけど、どうしてるんだろうね?」


今日は渋るカロルス様を連れて、ミーナに会いに行くんだ。館の場所は分かったものの、どう見ても貴族の館だったから、オレ一人でのこのこ訪ねていっていいものか分からないしね。いきなり無礼者! なんて騒動になっては困る。

「俺は門の外で見ていてやるから、お前ひとりで行けよ?」

「ええ?! やだよ!」

なんかむしろ恥ずかしい! 保護者に見守られるおつかいみたいじゃないか。

「俺だって嫌だぞ」

唇をとがらせたカロルス様が、ひょいとオレを肩へ担ぎ上げた。どうやらこれも身元をカモフラージュする一環らしい。もう大きいんだからちょっと恥ずかしいけど、カロルス様のためだから仕方ないよね! オレは、うふっと笑ってフードの頭に腕をまわした。


「ねえ、どうしてそんなに人に知られるのが嫌なの?」

「別に……恥ずかしいからだ」

つんと顔を逸らしたカロルス様をじいっと見つめる。目立つのを嫌がる傾向はあったけど、恥ずかしいって……恥ずかしいなんて言う人じゃない気がするけど。

どうにもはぐらかされる話に、今度マリーさんあたりに聞いてみようと心に決めた。

『ゆーた、もう少しだよ!』

「あ、ホントだ! あの木とお花がある館だったと思うよ!」

「どれ――?!」

途端に180度向きを変えたカロルス様が、ダッシュで遠ざかる。

「ちょ、ちょっと! カロルス様、どこ行くの? あそこだよ!」

「お前なあ~! あそこはダメだろ! 違う意味で!」

なんとか下ろしてもらうと、道の片隅でこそこそと耳打ちされる。

「え? どうして? 違う意味??」

「あそこ、誰の持ち家だと――」

そこで口をつぐむとオレの背後に目をやって、しまったと額に手を当てた。

「あれっ、ユータ? えっ……か、カロルス様?!」

どさっと何かが落ちる音に振り返ると、ちょうどミーナがお使いから帰ってきた所だったようだ。抱えていたらしい荷物が地面に転がっている。

「ミーナ!」

良かった、オレひとりで館に行くのは回避できそうだ。

にこにこと駆け寄ったものの、ミーナの視線はオレを通り越してカロルス様へ繋がっている。両手で口元を押さえ、頬を染めた姿はアイドルに会った時のそれだ。


ひとつ苦笑すると、カロルス様は大きな数歩でミーナの目の前まで来た。

「あー、その。元気にやってたみたいだな。お前ら頑張ったんだなぁ――偉いぞ!」

「~~~!!」

わしわし、と撫でる大きな手に、ミーナが声にならない悲鳴をあげる。そりゃあ、助け出してくれたヒーローだもの、そうおかしな反応ではないと思う。思うけど、あの時カロルス様とミーナはそれほど接点がなかったと思うんだけどなぁ。

「ま、まあ……無事会えたみたいだし、俺は先帰ってるぞ。大丈夫だな?」

カロルス様は居心地悪そうにすると、返事を待たずにそそくさとその場を離れてしまった。もう、今日は一緒にいるって言ったのに!


「……ミーナ?」

「――ハッ?! あ、ごめんね! 今の、本物のカロルス様よね?! みんなに自慢しなきゃ! ユータって本当にカロルス様と一緒にいるのね! すごいわ!」

そ、そう? カロルス様はすごい人だけど、どうも今までの反応と温度差を感じて首を傾げた。

どうやら王都での人気は、田舎とは比べものにならないみたいだ。そして、これが嫌なんだろうなと苦笑した。 

「ねえ、今はお仕事中? ミックもお仕事かな?」

「そうなの! でも私はみんなのお世話だから、結構自由にさせてもらってるのよ。ユータだったらしっかりしてるし、もし良かったら一緒に館に来ない?」

思いがけないお誘いに戸惑った。お仕事中に一緒にいていいんだろうか。何かオレが手伝えることなら頑張るけれど……。

煮え切らないオレを引っ張って、ミーナが館へと歩き出した。

聞くところによると、元々二人は黄色の街で親戚の店を手伝っていたんだそう。でも、そこでのミックの猛烈な頑張りに目を付けた貴族様がいたらしい。事情を聞いて、二人揃って雇用してもらったそうだ。


「ここは小さい子たちが勉強や訓練を頑張るところなの。私はお世話するのに慣れてるから、ちょうど良かったのよ」

門兵さんに挨拶すると、ミーナは勝手知ったる様子で門をくぐった。繋いだ手をぐいぐい引っ張られ、オレも慌てて挨拶すると、敷地内へと足を踏み入れた。


敷地内は想像していたより随分さっぱりした庭が広がっていた。もっと庭師がいるような光景を想像していたんだけど、広々としたスペースは運動場のようだ。

「スッキリしてるでしょ、ちょっとみっともないんじゃないかと思うんだけど、ここで訓練することも多いからいいんだって」

ミーナが取り繕うように言って肩をすくめた。どうやらここの貴族様は見た目より実用派のようだ。オレにとってはその方が好感が持てる。


「ミー姉おかえり! その子は新しい子?」

「おかえり! その子、何てなまえ?」

正面扉を開けた途端、わっと群がってきた子どもたち。

「うふふっ、この子がユータくんよ! ほら、髪が黒いでしょ?」

「「「ええっ?!」」」

途端に輝いた瞳が一斉にこちらを向いて、思わずビクッと後ずさりした。

「え、えっと。はじめまして……?」

今度はオレが囲まれてしまった。

「本当にちっちゃい!」

「この子が戦うの?! 強いの?!」

子どもと言っても、オレよりは大きい子が多い。覗き込むような視線の圧力に、思わず腰が引けてしまう。

「こらこら、困ってるでしょ。みんなお掃除は終わったの? 早くすませないとお昼ご飯食べられないわよ!」

腰に手を当てたミーナの一声で、子どもたちがわあっと散っていく。すごいな、肝っ玉母さんみたいだ。


「ごめんね、私がみんなにユータのお話をしたもんだから」

「う、ううん! ありがとう。でも、どんな話をしたの?」

「うふふ、ナイショ! あの子たちはまだ小さいから、ああやってお手伝いから始めてるの」

なんだか今、話を逸らされた気がする。

オレは、手を引かれるまま館を案内してもらった。ここではお手伝いさんたちもいるけれど、集められた子どもへの指導をメインに行っているようだ。

「ここで勉強した子たちが騎士様になったり、お城で働いてる子もいるのよ!」

得意そうなミーナにくすっと笑った。なんだか本当にお母さんみたいだね。それに、ここの貴族様は随分変わり者のようだ。

「ふふっ! 変わってるわよ。でもね、とってもいい人。お城にいるから普段帰ってはこないんだけど、時々様子を見に来て下さるのよ!」

その時、階下で賑やかな歓声が上がった。

「あっ! ユータもおいで! きっと帰ってらしたのよ!」

「ええっ?! オレ、勝手に上がり込んじゃって、怒られない?!」

「絶対大丈夫! そんなこと気にする人じゃないの!」

やだやだと足を突っ張るオレをものともせず、ミーナはずいずいと引っ張って行った。


「わははは! ぼうずども元気にしてたか! サボってんじゃねえだろうなぁ?」

……ねえカロルス様、違う意味でダメってどういう意味だったの?

階下から響いた大音量の野太い声に、オレは思わず乾いた笑みを漏らした。



カロルス:あっ……やべえ、ついあいつ置いてきちまった。

ユータ:カロルス様……オレ、大丈夫じゃなくない?


活動報告の方にも書きましたが、羊毛の方で展示会参加してます!

オンラインショップも近々期間限定オープンしますので、ご興味のある方はぜひ~!

管狐いますよ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ついに20巻!お祝い感溢れる表紙が目印です! 今回はランキング結果あり、書下ろし特別編もあり! 奥付のQRコードで抽選プレゼントがありますのでお見逃しなく?!
今回も最高~のイラストですよ!!

ツギクルバナー
小説家になろうSNSシェアツール
小説家になろう 勝手にランキング
ランキングバナー https://books.tugikuru.jp/20190709-03342/
― 新着の感想 ―
[一言] >>「わははは! ぼうずども元気にしてたか! サボってんじゃねえだろうなぁ?」 ユータちゃん逃げてえええ
[一言] あー、何か前に会った方? 竜に乗ってユータくん 誘拐しようとした( ̄▽ ̄;) 保護者ー帰ったら奥さんとメイドさんに お仕置き待ったなしですやん
[一言] お疲れ様ですm(*_ _)m 似た匂い? 早くミックに会いたいぞ~
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ