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もふもふを知らなかったら人生の半分は無駄にしていた【Web版】  作者: ひつじのはね


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273 護衛道中1

「……いやいや…欲張りすぎだっての!あはは!」

一瞬の静寂の後、セージさんが大笑いして、オリーブさんたちは困り顔だ。

「本当だぜ!ユータは一人パーティだ!すげーだろ!俺も魔法剣使えるんだぜ!」

大人しくしている限界が来たらしいタクトが、嬉しそうに割って入った。

「あはは、じゃあ何か見せてくれよ!実際使えるレベルなのはどれなんだ?」

「えっと…一番得意なのは?私たちも把握しておかないと困るし…」

「だからー、どれも使えるって!ユータ、シロ出して!」


『いいの?わーい!』


あっ…!出たくてうずうずしていたシロが、待ってましたとばかりにぴょーんと飛び出してきた。

「うわっ?!なんだ?す、すげえ…早すぎだろ?!どうやって召喚したんだ?!」

「えっとえっと…いつも召喚陣を服の中に縫い込んでるの!そ、それで召喚できるんだ。」

オレの召喚獣たちは結構好き勝手に飛び出してくるので、身体から飛び出してくるのを誤魔化すにも限界があるってことで、みんなで考えた言い訳だ。さっそく役に立ってしまった…。

『遠くまでお散歩!うれしいね~!』

「………犬、じゃないな?」

ぎくぅっ?!走り回るシロを見て、ウッドさんが低く呟いた。レベルが上になると分かっちゃうのかな…彼は人にしゃべったりしないと思うけど。ウッドさんはCランクのままだけど、そろそろBランクの実力はあるそうだ。

「あと…ユータ、水ちょうだい!冷たくて美味いの!」

「え?うん…」

タクトがお気に入りの魔法、冷たくて美味い水。氷のコップにちょっぴり生命魔法入りのお水だ。

「きっ…器用…!!コップになってるー!ちゃんと水入ってるー!魔法ってこんなことできるの?!」

なぜか得意げなタクトに、オリーブさんが目をきらきらさせて氷のコップを見つめた。


「――本当に……いや、参ったね。学校が薦めるわけだ…。これならそこらの大人よりよほど役にたてるんだろうね、こんな小さいのに冒険者なんておかしいと思ったけど、Fランクも頷けるよ」

「こんなにすごいなんて思わなかったわ…それじゃ、ラキ君とユータ君は後衛ってことでいいのね?」

「ううん、僕は後衛だけどユータは前衛だよ~」

「なんでっ?!召喚士で魔法使いなんだろ?」

「そうだけど、オレ短剣も使うから!魔法より短剣のほうが使いやすいよ」

「うーん、もし戦闘があったら見てもらうほうが早いよ~」

『黄金の大地』メンバーは、首を捻りつつ、とりあえず思ったより戦闘に問題はなさそうだと納得してくれたようだ。


* * * * *


「複数で護衛するときは、こんなふうにパーティで分かれて担当するの。大体1パーティは馬車の中で体力温存ってパターンが多いかな」

オレたちは『黄金の大地』が面倒をみてくれるってことで、セットで扱われている。今は馬車の前方を『ファイアーストーム』、後方をオレたちが護衛して歩いている。

「ずっとこうやって歩いて行くの?時間かかるね」

「そういう時もあるけど、あんまりトロトロしてたらかえって襲われるからな、この人数なら多分途中で馬車に乗り込むことになると思うぜ」

門の付近は人通りも多く、結構ごった返していたけど、街道に沿って歩いて行くにつれ、人はまばらになっていく。ヤクス村とはほぼ逆方向に向かっているので、なんだか景色が目新しい。


『ゆーたー!見て見て!今日は唐揚げ~?』

嬉しそうに走り回っていたシロの姿が見えなくなったと思ったら、大きな獲物をくわえて戻って来た。

「わ、シロなにそれ?」

『知らな~い!でも美味しそうな鳥さん!』

確かにまるまるとよく肥えた、柴犬ほどありそうな…七面鳥?うーん…足が四本あるけど鳥??

「おわっ!ユータそれ狩ったのか?ドーガーじゃん…しかもいいサイズ!それ美味いけど足が速いし麻痺毒持ってるしで結構厄介なのに…その犬強いな!」

「うん、シロはとっても強いよ!美味しいんだったらお昼ごはんの時に食べよっか?」

「よっしゃー!唐揚げは作ってくれよな!」

「美味しい鳥なんでしょ~?シンプルに焼いたやつも食べたいな~!あの酸っぱいタレも好き~!」

タクトは唐揚げに目がないし、ラキはポン酢が好きなんだよね。お昼休憩にどのくらい時間がとれるか分からないし、できることをしておこうかな。

あまり血をまき散らして歩くと魔物を呼びそうなので、袋の中で血抜きをする。ちなみに長剣の鞘先に袋を吊して歩くのはタクト。あんな大きな鳥さんなのに、軽々担いで鼻歌なんか歌っている…。

力持ちだからね…唐揚げになると思えば楽勝らしい。


「そろそろいいね。モモ、おねがい!」

『おっけー。美味しそうね、いただきまーす』

しばらく歩く間に血抜きをすませたら、モモの出番。

モモは美味しいものが好きだけど、スライムの特性上、お料理じゃなくても色々と美味しくいただけるそうで…。

「わ、このスライムかわいい~!これもユータ君の召喚獣なのね?」

「えっ?スライムにあげちまうのか?この上物の鳥を?!」

「そう、モモはオレの召喚獣なんだけど、見てて!とっても賢いから」

二人が見守る中、シロの背中に乗せたドーガーを、端からゆっくりとモモが包んでいく。

「お…?おお!?」

「えーっ!便利!!」

そう、モモが包んだ部分は羽根がきれいサッパリ消えていくんだ。手でむしるのって結構大変で、食べるときいつも苦労してたんだけど、素材としていらないなら私が食べちゃうけど?ってある時申し出てくれたんだ。モモが羽根むしり担当をしてくれると、本当にきれいにつるりんと処理してくれるのですごく助かっている。


『ごちそうさま。美味しいわね…これはお肉も期待大だわ!一足先にいただけるのは役得ね!』

ほどなくしてピカピカの丸鶏みたいになったドーガーに、モモもご満悦のようだ。

ここからはオレの役目。ちゃんと滅菌の魔法も発動させたし、準備は万端!

「ユータ、いいか?」

「うん!タクトお願い。チュー助、シロ、いくよっ!」

『お任せっ!』

「ウォウッ!」

バッ!とタクトがドーガーを空中へ放り投げると、それを追ってオレも飛び上がる。

シャシャシャッ!シャキーン!

チュー助の力も借りつつ、空中解体!スタッと着地したらシャキーンのポーズ。

『はいっ!ほいっ!はいっ!』

上手に頭にお皿を載せたシロが、落ちてくるお肉を器用に受け止めていく。

『見たか!秘技…………とり……鳥千々散!!』

『見たか!秘技…えーーと…鳥さんキャッチ!』

どっちもどっちだよ…いちいち必殺技にしなくていいよ!


「は…はははっ!参った…」

鳥さんを解体したら、ずっと黙ってたウッドさんが突然笑ったので思わずビクッとしてしまった。

ウッドさん笑ってるの初めて見た…。

「…これは…これは…侮っていましたよ。いやもう十分にあなたたちは冒険者のようだ」

ディルさんは呆気にとられた顔で、なぜか握手を求めてきた。

「う……そ、でしょ……」

「へぁ………?」

若者二人はぱかーんと口を開けている。どうやらオレたちが普通に冒険者をしていることを信じていなかったようだ。

「うん、普通…ではないかな~。僕、そのへんちゃんと自覚あるから~」

またラキがオレの心の声に返事をする…ラキって、オレの考えてること何もかもお見通しなんだろうか…。

「そんな、なんでも分かるわけないよ~」


…………絶対嘘だ!



オリーブ「ユータ君にも衝撃を受けたけど…」

セージ「リーダーが笑った…声出して笑った…」

セージ&オリーブ「今年一番の衝撃…」



いつも読んでいただきありがとうございます!

うふふ…ラフが…挿絵のラフが見られたんですよ…作家特権!あのね……期待して!めちゃかわいいー!!

そして…カッコイイー!!最高ー!!テンション上がって執筆もはかどるー!

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