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もふもふを知らなかったら人生の半分は無駄にしていた【Web版】  作者: ひつじのはね


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141実地訓練の班分け

おかげさまで第七回ネット小説大賞 一次選考通過しました!!

いつも訪れてくださる皆様のおかげです!!ありがとうございます!!


「えー。こう振る方がカッコイイじゃん!」

『そんな大振りが当たるかっての!!いいから俺様の言うことを聞け!空振りの方がカッコワルイだろうが!』

「そりゃ確かに。」


オレたちが魔法のひみつ特訓を行う少し離れた所では、チュー助とタクトも特訓中だ。チュー助は短剣専門だけど、1年生に剣を教えるぐらいならできる。

なんだか色々オレのことがバレてきているけど、いつまでも隠し通せるものでもないし、カロルス様みたいな規格外が時々現われる世界だからか、案外みんな受け入れてくれる。

権力者に目を付けられるのは困るけれど…もしかすると、みんなが強くなればオレはその影に隠れることができるんじゃないだろうか?オレは権力者に目を付けられると自由がきかなくなって困るけれど、一般的にはそれこそ望む所なので、みんなにとって喜ばれこそすれ迷惑にはならないだろう。そう、オレは優秀なクラスの中で埋もれる一人になるんだ!

いい方法を思いついたと、オレはひそかにガッツポーズをとった。



* * * * *


「えーっ!どうして~?!」

「俺ら3人組じゃんか!なんでダメなんだよ-!」

「いっしょがいい-!」

3人のブーイングを受けて先生がたじたじとなる。

「だ、だってぇ~仕方ないのよ!3人とも優秀なんだもん!分かれないと不公平になっちゃうのよ!まだ1年生だし…優秀な子が固まっちゃうと、他の班はごはんも食べられなくなっちゃうかも!」


現在実地訓練に向けて、班分けの最中なんだけど…。

「俺ら3人で班になるって決めてたのに!」

そう、先生はオレたちを別々の班にしようとするんだ…。実地訓練での班は、今後の仮登録に向けて大切な要素になるので、本来生徒が自分で組むのが鉄則だ。そこでうまく班、つまりパーティを組めるかどうかも冒険者にとって大切な実力だからね。


「ごめんってー!お願いっ!今回だけ!次までにはみんなできるようにするからぁ~!だって初めての実地訓練で火をおこせない班とかかわいそうじゃない!全然戦えない班だと危険もあるし…。今回は先生たちで割り振りさせて~!」


つまり、授業での底上げ調整が間に合わず、野外活動するには不安のある班が出てきてしまったようで。手っ取り早く、一番優秀らしいウチのメンバーをばらけさせた上で、先生達が実力を均等に組み直すことになったそうだ。

渋々とオレたちは指定された班に分かれ、クラス全体で計6班になった。


「ユータちゃん、一緒の班なんだ!うれしいな~。」

「かわい子ちゃん!よろしく!」

「なんだよ…生意気なチビスケかよ。」

オレの班だけ4人組だ。女の子二人に男の子一人。男の子はなんだか不機嫌そうだ。

ただひとつ…こう言っちゃなんだけど…先生、ちゃんと均等に割り振った?戦闘能力……皆無なメンバーの気がするんですけど!?なんでこの3人をまとめたの??

この頃になるとクラス内の生徒なら大体どんな実力なのか分かってくる。ラキ・タクトは戦闘能力も野外活動能力もトップクラスだ。ついでにひみつ特訓している3人も次点で名が挙がるだろう。なので見事に全員違う班になっている。

で、この3人はと言うと…一応貴族の末端家系らしく教養のため来ているシャルロット、学者になりたい文系(?)アイダ、お金持ちの商家の息子らしく、知識と人脈を得るために学校に来ているダン。3人とも普段の実技訓練はやる気もなければ実力もない、頭を抱えたくなるメンバーだ…。


「よろしくね……がんばろうね…。」

オレは若干引きつる笑顔で3人に挨拶するのだった。




「あっはっは!ユータの班、やばいよな!」

「バランス取れてるって言えば取れてるのかもしれないけどね~。」

部屋に戻って堪えきれずに大爆笑するタクト。人ごとだと思って~!

今回の実地訓練では戦闘はないはずだけど、班に分かれてバーベキュー…じゃなくって野外での採取・調理を行う。一応最低限の保存食は渡されるんだけど、なるべく野外で食糧を調達して食べるっていうのが今回のテーマだ。だから森にも入るし、魔物が出なくてもイノシシや危険な動物だっている。

あの温室育ち風メンバーで大丈夫だろうか…。


「そう言えばユータは貴族さまなのにね…。」

「一番温室育ちのはずじゃねえの…?」

ラキとタクトが腑に落ちない顔をする横で、オレは不安いっぱいの実地訓練に一人ため息をついた。





「ラキ、ユータ!明日は実地訓練だってな~!先輩になんか聞きたいことない?頼りになるよ~!?」

部屋に帰ってきた途端に賑やかなアレックスさん。ひょいひょいとオレとラキを抱き上げて自分のベッドへ運んだ。

「さあさあ!何でも聞いてよ!」

「じゃあね~、ミンス平原に出る魔物ってどんなのがいるの~?」

「おっ!さすが優秀だなー!あそこは1年生向きの平原だからほとんど魔物は出ないけど、まあ基本のゴブリンはどこにでもいるとしてー、小型のE、Fランクの弱いのがちらほらってとこかな!ホーンマウスとかクロウラビットとか。」


「あっそれ見たことある!じゃあ、あの辺りで危険な生き物は?」

「うーん弱い魔物が繁殖できるぐらいだから危険なのは少ないけどな!山の方だとたまに熊はいるぞ!普通の熊!あ、マルシは危険かな、毒あるから。」

マルシっていうのは毒蛇らしい。マムシかな?聞く限りは普通に日本の山奥へ行くような感覚で大丈夫そうだ。ゴブリンが群れでいたら危ないけど、学校で日々使う場所だから集落ができることはない。


「食べられるものってどんなのがあるの?」

「キノコ系とか野草は豊富だぞ!あとクロウラビットもホーンマウスも食えるし、大物だったら…危ねえけどビッグピックが美味いんだよな!動物も結構いるから食糧には困らないと思うぜ!」

「……お前の感覚で言ってどうする。1年生だぞ?そうそうラビットやマウスが捕れるか。ビッグピックなんて見たら即逃げるか隠れるかするんだぞ。」

テンチョーさんが帰ってくるなりアレックスさんをチョップした。

「いてっ!1年ってそんなもんだっけ?じゃあ肉は諦めて野草かな?わびしい飯になるなー!あはは!」

そっか、獲物を獲っても捌けなかったら料理できない…生き物の命をとって、食べる…これは大切な訓練だ。



「野草って言っても食べられるの分かるかな~?ユータ教科書もっていく?」

「そうだね、オレは図鑑持ってるからそれ持っていこうかな?」

「え~重いでしょ?」

「大丈夫、オレ収納………袋もってるから。」

基本的に持ち物に制限はなく、実際に冒険者になったときにその子が使うものであれば持ち込みはOKなので、便利アイテムを持っている子は重宝される。貴族の子なんかはすごい重装備で馬車を伴って来たこともあるらしく…個人の自由ではあるけれど、他の子の迷惑になる場合は別行動をとってもらうそうだ。そもそも貴族の子はあまり参加しないのだけどね。


収納袋は基本的に高価なものなので一般家庭の子どもが持っていることはほとんどない。だからオレもわきまえて、小さい収納袋という設定にしようと思う。図鑑がなんとか入るぐらいってことでいいかな?もちろん収納魔法を使うけど。布団を持っていったりしないよ!大丈夫。

「そういうところは貴族なんだね~!収納袋あるなんて羨ましいなぁ!僕も冒険者になったらお金貯めて買うんだ~!」

貴族なのはカロルス様で、オレは居候なんだけどね!とりあえず収納袋に見立てた、ちょうどいいサイズの袋を探しておかなければ…。



* * * * *


「みんな!昨日は眠れたかな?!わくわくすぎて眠れなかったんじゃない?!いよいよ、いよいよだね-!ドキドキしてる?してるよね!!」

落ち着かない先生がそわそわとあっちへ行ったりこっちへ来たり。

一方の1年生は緊張しているものの、早朝出発のためにまだ半分寝ているような子も多くて、先生のノリには全くついていけない。

外はまだ暗い…6歳児にはなかなかハードな訓練だな。隣でタクトがかくんとなるのを見ながら、下りてきそうなまぶたをこすった。


「みんな元気出して行くッスよー!目ん玉しっかり開けとかないと魔物が来たらヤバイッスよ!!」

「若者たちよー!しゃっきり起きて!そんなんじゃ途中でパクッと食べられちゃうぞー!!」

先生たちは元気だ…主にあの二人だけど。

「さあ!みんな行くよ!しゅっぱーーつ!!」

それぞれの担当の先生に従って、各クラスばらばらに出発だ。同じ平原には行くんだけど、広いからクラスごとに別の地点を利用するんだって。獲物の取り合いでケンカになったりしないように配慮されているらしい。


タクトたちと分かれると、オレの班の元へ。

「おはよ~!眠いね…今日は頑張ろうね!」

「ユータちゃん!おはよう!ドキドキするわね~ちゃんとついてくるのよ?」

「学者は朝早いからね!私はこのくらい平気だよ!」

「………。」

若干1名こっくりこっくりしているのが気になるけど、とりあえずみんなに続いて歩き出した。




先生たち「これで班分けのバランスは完璧!!」

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