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もふもふを知らなかったら人生の半分は無駄にしていた【Web版】  作者: ひつじのはね


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129 魔力紙

「うがあー寒いっ!!なんでこんな寒いんだよっ!」

それはオレが冷風を当てているからです。全身に鳥肌をたてながら素早く脱衣したアレックスさんはあっという間に風呂場へ突入していった。へえ、腰にタオルは必要なんだ。

見よう見まねで腰にタオルを巻いたら、ラキと一緒にオレ達もお風呂場へ。

もうもうと湯気のたつ浴場は、思ったより広くて10人ぐらいは余裕で入れそうだ。やっぱりシャワーなんてものはなかったけど、手桶みたいなものと椅子はあった。中にいたのは湯船に肩までつかるアレックスさんだけ。

「うわ~お風呂だ!毎日入ってもいいんだよね?!寮にはいってよかった~!」

すごく嬉しそうなラキを見て、そういえば貴族ぐらいしかお風呂なんて家にないんだったと思い出す。


「ふうう~気持ちいい~!」

ラキの上気した頬とにこにこ笑顔がまぶしい。ティアとラピス用にお湯をはった桶を浮かべると、浴槽のふちに頭を乗っけて脱力した。

「寮ってどんな所かちょっと心配だったけど、素敵な所だね!」

「そうだね~、僕怖い人と部屋が一緒になっちゃったらどうしようかと思ったよ~!」

「ホント、みんないい人で良かった!」

「ホントだよ~!明日からも頑張れそう~!」

「明日はもう授業があるんだよね?」

「そうだよ、どんなことするんだろうね~。」

お湯の中でうーんと伸びをすると、2匹の入った桶がくるくると回った。




* * * * *


「ユータ、ラキ、もう時間だぞ。起きて飯を食いに行こう。」

テンチョーさんの声に起こされて重たいまぶたを上げると、テンチョーさんとアレックスさんはすっかり身支度を整えていた。

みんなで朝ご飯を食べたら、今日は初授業。テンチョーさんは授業がないから仕事してくる、とギルドへ向かった…カッコいいな。仮登録できるのはいつだろう?オレも早く依頼をこなしてみたい。

迷子になるからと、アレックスさんが教室まで送ってくれて、バイバイしたら投げキスとウインクをもらった。頬を染めて見つめる女生徒がいるのを見るに、カッコいいのかもしれないけど…こうはならなくてもいいかな。



「はいはーい!記念すべき第一回目の授業!もちろんメリーメリー先生が担当しますよ!ということは必然的に魔法の授業になりまーす!」

今日も元気なメリーメリー先生。魔法の授業だって!やっと魔法のことが勉強できると思うと、オレはもう嬉しくて、窓の外の隠密さんに投げキスとウインクを送りたいぐらいだ。

昨日はいなかったのに、心配されてるのかな?向こうにはアリスがいるから大丈夫だと思ったんだけど、今日の夜にでも頃合いを見て帰ろうか…。



魔法の授業は最初は座学、午後から実技があるそうだ。実技系統は全部午後で午前は基本的に座学っていう構成になるみたい。1年生は午前に2項目、午後から2項目の授業があって、いずれも必須だ。追加で受けたい授業がある場合は午前と午後に3項目目を入れることができるそうな。


「さーてみんなの中で魔法使い向きの子はいるかなー?審査の時に魔力紙審査があったでしょ?紙の色の変化で魔力量がわかる優れもの!今からその結果を配りまーす!」

魔力紙審査…もしかしてあの紙を咥えたヤツかな?あれ魔力審査だったんだ。オレの紙は緑色に変わっていたけど、これは判定ではどうなのかな?

「ねえねえ、あの紙はどうやって魔力はかってたの?」

「知らねえの?あれは唾液に含まれる魔力に反応して色が変わるんだよ!端っこからちょっとずつ変わっていくから、どのあたりまで変化したかでわかる・・・んだったと思う。」

タクトはちょっぴり尻すぼみになりながら教えてくれた。

うん?オレの紙、ただの緑だったけど…どういうこと?ちょうど呼ばれて審査結果を取りに行くと、先生に握手を求められた。

「ユータくんっ!君すごいよね!!多分先生と同じくらい魔力量多いんだよ!!先生魔法しか取り柄のない森人なのにー!魔法適性あったら一緒にがんばろうねっ!!」

元気な声で宣言されて、クラス中がオレを見る。先生……オレの個人情報…どうやらこの世界にプライバシーって言葉はないみたいだ…。

あの緑の紙は変化が完全に終了したもので、魔力量はAランクだそう。Aが最高ランクで、完全に反応が終了して均一な緑になった状態のことだって。それ以上に反応が出ることがないのが不幸中の幸いかな……。魔力量100でAランクとすれば、101でも1000でもAだからね!


「ユータすげー!!お前そんなに才能あったんだ!俺とパーティ組もうぜ!」

「うん!オレでも良かったら!でも魔力があっても使えるかどうかは別だと思うよ?あとね、ラキも一緒に行こうって言ってるの!」

「そんだけ魔力があったら何かしら役に立つって!適性なくても生活魔法ぐらい使えるもんだ。パーティに一人いたら便利だぜ!えーとラキってお前の同室?いいよ!一緒に行こうぜ!」

「ほんと?わーい!」

やった!もうパーティができちゃった!タクトは確か剣士で、ラキは多分魔法?オレはどうやら魔法使い枠のようだから、他に誘うなら魔法使い以外の子がいいな!魔物を捌いたりするの、詳しい人がいたらいいなあ、お肉屋さんの子とかいないかな!


「はいはい静かにねー!このクラスにも何人か魔法使いの才能がある子がいましたね-!でも魔力の性質によって、魔法使い向きなのか、他の魔力を扱う職業向きなのか、この審査では分かりませんので、各自探していきましょうね~!あと、魔法使い向きじゃなかったり魔法使いになりたくない人も、ちゃーんと授業を聞いてね!悪者に魔法使いがいたら、対策を考えないとだめですからねー!」

そっか、それぞれの職業がどういうものか知るためにも1年生は浅く広く網羅する授業を受けるのか。オレは感心しながら、魔法とは何ぞやから始まった授業に聞き耳を立てた。

―ユータ、やっぱり退屈かも。学校の中見てきてもいい?

ラピスは退屈というより校内を見て回りたいのだろう。ついでにいい位置にフェアリーサークルを設置してまわってもらおう。るんるんと嬉しそうにお散歩に出たラピスは、しばらくの期間は校内探検で楽しめそうだね。オレよりきっと校内に詳しくなるんだろう。


魔法の授業は面白かった。

確実に鈍器になる分厚い教科書には、たくさんの呪文が書かれており、一般に使われる魔法を大体網羅してあるそうだ。どうして呪文を唱えないといけないのかイマイチ分からないけど、カッコイイしそういうものなんだろうか。午後からの実技では、実際に魔法を試していくそうなので楽しみだ!


「魔法使いって大変だなー!これ全部覚えなきゃいけないんだ。」

興味なさげにペラペラとページを捲るタクトは、心底剣士で良かったと思っているようだ。

「タクトは剣が得意なの~?」

「おう!だからラキが加工師になったら、俺の剣加工してくれよ!」

「いいよ!その代わり素材は採ってきてね~!」

タクトとラキも気が合いそうで良かった。加工師ってあまりよく分かってないんだけど、オレが石を磨いたみたいに素材そのものを加工して装飾品にしたり、素材と武器などを組み合わせてより良いものに加工するらしい。鍛冶師と一緒の工房で働くことも多いんだって!


今は午前の授業を終えて休憩中。なぜかオレの机に二人が集合してお話ししているところ。

オレとしては時間が勿体ないから3項目目の授業を受けたいんだけど、まだどんな授業がどこであるかも知らされていない。もう少し慣れてから、ということらしい。

お昼までまだ時間があるので、3人で相談した結果、校内を探検しようって話しになった。いいねえ探検!!オレのところに帰ってきていたラピスまで嬉しそうだ。さっきまで探検していたんじゃないの?


ラキとオレが手を繋ぎ、タクトがちょこまかと前へ行ったり後ろへ行ったり。広い広い校内は探検すべき場所が多すぎる!開かない扉はあちこちにあるし、謎の傷痕や不気味(?)な絵なんかもたくさん。開校当初の初代教師陣が描かれた写実的な絵画もあって、その古い絵の中に校長先生とメリーメリー先生がいたのが一番のミステリーだったかもしれない…。

開かない扉はラピスに教えておいて、またお一人探検する時に行ってもらおう。



―ユータ。

(うん。……何やってるんだろう?)

―さあ?ちょっと見てくるの!


気付けば入浴シーンは子ども(男)とオッサンのみ……。

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