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もふもふを知らなかったら人生の半分は無駄にしていた【Web版】  作者: ひつじのはね


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100 馬車の中で

100話到達!皆様ありがとうございます!!

100話ぐらいで終わるかな、と思っていた話がまさか100話でまだ序盤だとは思いもしませんでした…。

ガタン、ゴトン、ガタ、ゴト、ガタゴト……


名残惜しいな……ハイカリクの街、楽しかった。みんなと一緒にお出かけできて、お買い物したりお外でごはん食べたり。冒険者ギルドはわくわくするし、幻獣店だって毎日行きたいぐらいだ。


「ユータ、またすぐ来られるから。」

唇を引き結んで、馬車の窓にぴったりと貼り付いたオレを見て、セデス兄さんが苦笑いしている。

分かってる……分かってるんだけど……。


「そういえばさ、たくさん集めた薬草ってどうしたの?ギルドで売ってなかったよね?」

「いやアレは売れんだろう……俺達総出で薬草集めてたって噂がたつぞ。」

ロクサレン家が総出で草むらをかき分けている姿を想像して、ちょっと笑ってしまう。ふふっ!……さあさあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい!こちらはドラゴンをも倒せるAランク!天下のカロルス様が集めた薬草ですよ!なんてね。

「何ニヤニヤしてるんだ?碌でもないこと考えてるだろう?」

カロルス様にひょいと持ち上げられて、すとんと固い膝に着地する。慌てて両手でほっぺをつぶし、緩んだ顔を誤魔化した。

「お前はべそかいてるかと思えばニヤけて、全くころころ変わるヤツだ。」

強めのわしわし、で頭が左右に揺れる。しょうがないでしょ、だってまだ3歳だもの!ご機嫌はころころ変わるんだよ。

「で、薬草はまだユータが持ってるの?」

「うん、もってるよ!セデス兄さん、いる?」

「いやいや、薬草だけあっても仕方ないからね。」

冒険者の気分でなんとなく集めたけど、これ、どうしようかな?今のところ萎れる気配はないんだけど、収納に放置して忘れた頃に枯れ草になってたら悲しいよねぇ。

「薬草は何のためにあつめるの?」

「そりゃ回復薬とか薬に使うためだよ。」

「おくすり屋さんが作るの?」

「いや、調合師だよ!薬屋が調合している所も多いけどね。」

調合師さん!やっぱり白衣を着た人かな?ゴリゴリ乳鉢をすったり試験管をぶくぶくさせたりするのかな!?それって楽しそうだ。

「調合師さんはとくべつな人じゃないとなれないの?」

「いや、調合の勉強をして認められたらなれるよ。魔法使いみたいに生まれ持っての能力は関係ないしね。」

「……お前、そんなこと言ったら…………。」

「え?……あっ、調合師は地味でちまちました作業を延々としなきゃいけないからね、とーっても地道で疲れるんだよ!難しい勉強もたくさんあるしね!」

「えーでも、オレお料理とかも好きだし、調合もきっとたのしいよ!やってみたいなぁ。」

「「ああーー……。」」

カロルス様とセデス兄さんが揃って額に手をあてて天を仰いだ。

「回避ならず……しまったー……。」

「お前が余計なこと言うから……またコイツに余計な職業が増えるじゃねえか……絶対何かするだろ、コイツ。」

オレが調合の勉強をすると何か不都合でも?!失礼な……!いいよいいよ!独学で色々やってみるから。今度街に行ったら調合の本を探してみよう!館の書庫にも何かあるかもしれないね。

「あーダメだ、コイツ絶対何かやらかす顔だ。」

「もう諦めてその時を待とうよ……。」

「ユータちゃんが調合できるようになったら、化粧水とか頼んじゃおうかな!効き目ありそうだもの!」

うん!オレ調合できるようになったら、エリーシャ様にプレゼントするね!

そこでこれはヤバイ!って顔をしている二人には何もあげないからね!!



* * *


ガタゴトと揺れる馬車で、固いカロルス様の膝に座っていたらお尻が痛くなってきたので、収納から枕を取り出してその上に座る。うん、快適!

「お前……何持ってきてんだ。」

「まくら!お昼寝するときにいるかなと思って、お布団もあるよ!エリーシャ様、セデス兄さんこれどうぞ!」

「まあ!いいわねこれ!贅沢だわ~!」

「……快適に寝られそうだね。」

向かいに座るエリーシャ様たちの座席に、お布団を敷いてあげる。喜ぶエリーシャ様とじっとり視線のセデス兄さん。

「で、俺にはないのかよ?」

「カロルス様は頑丈だから!」

あおのくと、ふて腐れるカロルス様が見える。ガッシリした首にのど仏、顎には金色の無精ひげがちらほらしていた。金色のおひげってなんか凄いな。なんとなく手を伸ばして顎を触ると、びっくりするぐらいヒゲは硬かった!刺さっちゃうと思うぐらいに。

「うわ~ザリザリ!いたーい。」

「……ふん、羨ましかろう。」

窓に頬杖をついたままオレを見下ろすと、ニヤっと笑うカロルス様。くっ……!

「オ、オレだってヒゲぐらい生えてくるもん!カロルス様よりかっこよくてワイルドなヒゲが生えてくるから!!」

「ほほう!そうかそうか、俺はかっこよくてワイルドか!はっはー!」

違う!とも言えず無言でほっぺたをひっぱってやる。

「てめー、かっこひひ顔が台無しになるらろうが!」

頬を引っ張られながらニヤニヤするのが腹が立つ!

「ダメっ!ダメよユータちゃん!!」

「いでっ!」

頬を引っ張ったまま、エリーシャ様にかっ攫われてカロルス様が悲鳴をあげた。

「こんなつるつるすべすべのお肌に……ヒ……ヒゲが生えるなんて言わないでちょうだい!!ユータちゃんはこのままでいいのよ!これがいいの!!ヒゲがジョリジョリなんて……そんなっ!」

オレのほっぺにすりすりしながら懇願するエリーシャ様。そ、そんなに嫌?確かに女性にはヒゲ面って人気ないみたいだけど……。でもオレこのままはイヤだよ?ふと、地球にいた頃ヒゲが生えなくて悩んだことが頭を掠めて慌てて首を振った。ううん!こんなにワイルドな生活しているんだもの!今回は生えるよ!絶対だよ!カロルス様と同じごはん食べてるし!!

エリーシャ様は結局領地に帰るまでオレを離してくれなかった。オレはエリーシャ様の柔らかい体とお膝で快適だけど……重いだろうに。そしてオレの枕はちゃっかりカロルス様のお尻の下に敷かれちゃってるし……。ぺちゃんこになっちゃうよ!



「ただいま帰りました~!」

長い間馬車にゆられて、なんだか随分久方ぶりの気がする館。

「お帰りなさいませ!ああ、ご無事で何よりです!!」

「うふふ、街に行ってきただけだよ?大丈夫だよ!」

ぎゅう!とオレを抱きしめるマリーさんは、まるで数年ぶりに会ったかのように喜んでくれていた。

「街は楽しかったですか?」

「うん!あのね、みんなでお買い物したり、ごはん食べたりしてね、お外でピクニックもしたんだよ!とっても楽しかったよ!」

「「「あ……。」」」

「……そう……ですか……。」

「まっ、マリー!留守番ご苦労!ユータは好きにしていいから!じゃあな!」

「マリーさん!ユータと積もる話もあるでしょ?!僕はお暇するねっ!」

「マリー!大丈夫っ!ほら、ユータちゃんと二人っきりの時間も必要よね!ゆっくりするといいわ!」


「…………えっ?」

あれっ?どうして?!なんでみんなそそくさと部屋に帰っちゃったの?!執事さんどこ行ったの!?

「ユータ様……私、ユータ様がいない間とっても寂しく過ごしておりました……ユータ様は……私がいなくても……寂しくないんですね……そう、私はしがないメイドの一人……仕方ないのです……。」

ま、マリーさん?どうしたの?!なんだろう、慰めた方がいいって思うんだけど……漂うオーラは近寄っちゃいけない猛獣の気配。

……え、えーと……オレ、どうしたらいいのーっ?!ちょっと!みんな戻ってきてよー!!



3点リーダーを使わないのは敢えてだったのですが、読みにくいようですのでなるべく3点リーダを使っていきますね。たまに間違えると思うので誤字報告していただけると助かります!

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