オタクを辞め新たなる世界へ
空は、暗く染まっていた。地上とは全く対比であった。
周り一面の住宅街は、白く雪色に染まっていた。
自分の部屋は、暗い空から出ている僅かな太陽で照らされている。
俺の名前は、夏木 新汰
高校2年にして隠れオタクそれから、最近好きな女の子にフラれた何処にも冴えない男。
自分は、今世紀最大とも言えるくらい落ち込んでいる。
俺は、最近好きな女の子に告白しフラれた。
自分にも今回は、告白したら絶対に付き合ってくれると思った。そんな確証が俺にはあった。
だが、確証があったからにも関わらず俺はフラれてしまった。
だかしかし、俺は彼女のことを何も知っているようで知らなかった・・・・
フラれたから1週間後・・・
『お兄ちゃん朝だよー起きてー』と甲高い声が家の一階から響きわたって聞こた。
「ううっっ」
自分の机の上でノートパソコンを下敷きにしてうつ伏せで寝ていた。
暗い自分の部屋の中を窓から差し込む光がとても暖かく部屋全体を照らしまだ、心の傷を負っている自分にとってありがたい陽の光であった。
だがしかし、その暖かさを吹き飛ばすやつが階段を全速疾走で駆け上がり俺の部屋へと来る。
そう妹の夏木 千矢だ。2階にある俺の部屋のドアを思いきり開いて俺を起こしにきてくれたのだ。
ゾンビのように自分のPCにしがみつくようにして寝ていたフラれた自分を強引にも、肩を揺すりながら優しく起こしてくれた。
「なんだもう朝か」
フラれてからずっと部屋に閉じこもって、泣き叫んでた。
朝起きる頃には、目と口が、カラカラに乾いていた。
妹が呆れた様子でこちらを伺っている。
「千矢朝から元気だな、それと俺の睡眠を邪魔しないでくれ、まだ気持ちの整理ができてないんだ」
『やっと起きたかお兄ちゃんは!?』
千矢が、はぁーと溜息をついた。
『もうしっかりしてよ、女の人に振られたからってそんな気に病むことないでしょ?』
「振られた理由わかっていってるのか?」
『 お兄ちゃんが隠れアイドルオタクだしそれにアニオタと二刀流だからでしょ』
『それから童貞だからでしょ』
「二刀流とか格好よくいわないでよ!それからそんな彼女もビッ○じゃないから!」
その後も妹には、かなりキツイことを言われ心の奥底まで刺してくる。
「分かっているなら気に触るようなことを言わないでくれお願いだから!?」
『はいはい』と相槌を打つ
『それからお兄ちゃん、学校は?』
「今日から学校冬休みなんだ」
『そっか、今日はお兄ちゃんと学校いけないんだ』
と小さく呟いた。
「それと学校の時間大丈夫か?」
『なんで!?』と一瞬不安そうにし、首を傾げた。
「学校8:00からだろ」
『そうだけど、まだ時間30分も余裕あるじゃない』
「何言ってるこの時計、時間狂ってるぞ!」
『あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!』
家中響きわたる声で叫んだ。
『なんでもっと早く言ってくれない訳』
「焦るなよ」
『焦るわよ!?だって今日中学の終業式だし、それにわたし生徒代表で挨拶しなきゃだし!?』
「今から走れば間に合う妹よ、行けー」
そして、自分自らドア開けてでてった。
「分かった」と言って途中焦りながらもすぐ家を出て行った。
俺は妹が部屋の外へ出て行くのを確認して一息つく。
さっきのは建前で
「本当は、時間狂ってないんだよな、ごめん妹よお前は面倒見よくていい子なのにでももう少し傷ついた兄の心を癒して欲しかった。」
つまりは、これ以上自分の振られ話に首を突っ込まないでほしかった。
さてと、妹も追い返したしこっちはこっちで蹴りつけてもらう。
そこからの行動は、早く。
さっき、下敷きにしていたPCを起動し自分の所有している。ブログアカウントのページを開いた。
そのブログアカウントは、大体の人間が俺と同じオタク、簡単に言えば俺みたいなオタクが集まって話をしたりする交流スペースでもあり、これからのアニメの情報やアイドルの活動情報を発信したりする場所でもある。
1週間ぶりに開いてみるとそこには、幾多にも及ぶ俺に対しての個人宛メッセージの数々、下にスクロールするとまだ大量にある。
「何だ、これは!?」と思いながらも見てみる。
そこには、〈これからのアイドルの活動情報ください
?〉とか〈早く返事返してくださいよ〉とかばかりだった。
そういえば、1週間以上ブログをみていなかった。
振られたせいで見る気にもならなかったし。普段遊ばないネトゲやってたりとか。どうしよもない生活を送っていた。
そんな生活に終止符を打とうと考えていた。そして俺は、今日をもって生まれ変わる。
「よしっ」と気合を入れてさっそくブログで宣言することを決意した。
【俺のブログを、フォローしている方々へ連絡する。まず最初に、今日をもって俺は、オタク人生を卒業する。
俺は先週好きだった彼女に告白し、残念ながら振られてしまった。彼女は、俺と同じアニメが好きで、学校のクラスメイトであり友達でもあった。彼女も俺と同じ隠れオタクに近い存在だったと今は思う。いつしか彼女に、俺は恋をしていたんだと思う。
ある時、自分の気持ちを伝えようと、彼女に勇気を出して告白してフラれてしまった。
《気づいていなかったんだ、彼女がアニオタである俺のことを認めてくれてもアイドルオタクである俺には全く興味がないことに・・》
俺は、今の自分が嫌いだそしてこの世の中も嫌いだ。オタクというステータスは、誰かに蔑まれ、オタクは別次元の人間だと思われることだ。
だからここに宣言する。俺は、今日をもってオタクを卒業する。過去の自分を水に流すとは、思わない。
むしろこれを糧にこれからの人生を歩んで行こう。
そして、
《俺はリア充になる事をここに宣言する。》
PCで文章を書くのを終え最後にエンターキーを押せば送信となる。
本当に、オタクを辞めるのかすごく悩んだ。でも、生まれ変わると己に誓った。
今すぐオタクを辞めリア充になる為勢いよくエンターキーを押した。
涙が、頰を伝いながら流れていく。それ程自分にとってアニメやアイドルといった関係は、大切いや、人生の全てだった。
数分後・・・・
自分のブログアカウントを消去した。
まだ俺は、部屋の片隅で泣いていた。
自分のした事なのにまだ、自分の心ではオタクをやめた事に後悔しているかもしれない。
そんな気持ちを押し殺すので精一杯だった。
オタク人生の幕を閉じ、新たなる人生の始まりいえ、第一歩となった。
そして、第2の人生が始まる。