猫の一又
フられた。八年彼に費やした。あんなクッソみたいな理由で何故。彼が浮気してた。くっだらない。ずっと騙されて、馬鹿みたい。ムカついて両方ぶん殴って出てきた。先に彼を思いっきりぶん殴った
「ぅわぁぁぁあ!!むっかつくー!!!!」
公園に駆け込んで叫んだ。
太陽に吠えろならぬ月に吠えた。そしていろんなものを殴り蹴った。手が痛い
「ムカつく・・・」
滑り台の滑る所にうつ伏せになって寝た。冷たくて気持ちいい。ゴツンゴツンと頭を滑り台に打ちつけながら泣いた
「奇行に奇声、これはもしかして、妖怪の類か、あるいは変人?」
上から声がした。すずっと鼻を啜って上を見た。びっくり、顎に手をあてて首を捻る猫がいた
「おい、お前は妖怪か」
「田辺 阿紺です・・・」
頭を整理しながら名前を述べてじっと仁王立ちする猫を見つめた。この人?猫?え、猫って喋るの?違う。猫は喋らないしこんな長時間仁王立ちはしない
「あなたこそ妖怪?」
「ぬ、阿紺。違う。どうみても猫だろう」
「・・・最近の猫は喋るので?」
「馬鹿が、猫は喋ると相場が決まっている」
相場が・・・?違う、と思う。でも、この猫さんが喋ってるならあってるのか?あってるの?