表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/25

006 「第二訓練! 毒弾を躱して装置を破壊せよ!」

今回は結構短めです。

申し訳ありません! 僕のミスで更新が遅れました(>_<)

間違って23時予約になっていました。

本当に申し訳ありません!

 俺たちは第二訓練の会場へと向かった。

 向かった、と言っても訓練場の一番端っこ。魔界王に案内されて来たのだが、そこには何もない。ただの体育館の端っこ。独りぼっちで体育座りする場所。

 そんな場所でとても訓練するとは思えないのだが。

 と、そんなことを考えていると、魔界王が両手を上に挙げ、呪文を唱えた。

「☆※♪□♡<。:@・」

 テレビ番組で意味のわからないことをいうときのあれみたいだが、とりあえずは呪文なのだろう。

 すると、ゴゴゴゴゴゴッ――と大きな音を立てながら訓練場が揺れ始めた。

「何だこれ!?」

 俺は声をあげてしまった。まぁ、大きな揺れが来て驚かない人間はいないと思うが。

 そんな俺の反応に対し、ルメナやセイラは平然としている。この光景を、海は綺麗、くらい普通の感覚で眺めているように見える。……改めて魔界の恐ろしさを知りました。

 しばらくするとその揺れは収まった。すると、さっきまで平らだった独りぼっちで体育座りする場所から階段が出てきた。SF映画を見ているようである。

「よ~し! 降りるぞ~!」

 陽気に魔界王が手を挙げながらその階段を下りていった。それにルメナとセイラも続く。

 俺もぐったりとしている雄也を抱えて、階段を下りていった。


 ◆     ◆     ◆


 コツコツ――と足音を立てながら階段を下りていく俺たち。この階段を歩み始めてから、誰も喋っていない。それに、どこかルメナの表情も険しく見えた。


『剣哉。死なないでね』


 と、不意にルメナの言葉を思い出してしまう。……今度こそ死の危険性があるのだろうか。

 いや、さっきの第一訓練だって死の危険性は十分にあった。雄也がいなかったら、鉄格子の中で泣きながら叫ぶか、感電して死んでいたかのどちらかだ。

 そんなことを考えながら階段を下り続けていると、急に変なにおいが漂ってきた。何だか薬臭い、だけど日常でもよく嗅ぐ臭い。

「さぁ、着いたぞ」

 と、薬の臭いが漂ってきたところで到着。俺に、この臭いがある場所は一つしか考えられなかった。

「……プール?」

「ピンポーン」

 地下にあったのはプール。それもかなり大きい。東京タワーがスポッと入ってしまうくらいの長さだ。

 しかし、そのプールには水が少量しか入っていない。大体俺の(くるぶし)くらいの深さ。どうやら泳ぐ訓練ではなさそうだ。

 どんな訓練か聞こうと魔界王の方を向くと、魔界王は目で語っていた。とりあえず入れ、と。

 この訓練は俺と雄也を強化するために行われているものなので、一応雄也を背負ったままプールの中へと足を入れた。水がひんやりと俺の足を冷やしていく。

「ルメナ! 用意!」

「はいは~い」

 と、またまた観客席に座った魔界王が、一番端にある装置の元へルメナに行かせた。その装置はガトリングのようにたくさん穴があって、いかにも弾を発射させそうなものだった。

「えっと……」

 とりあえず、雄也をプールの端に座らせる。尻が冷たいとかは今は勘弁してもらう。

「準備完了です」

 と、装置の前に行ったルメナが大きく声を張り上げ、魔界王に言った。

 それに魔界王は「うむ」と頷き、ビッ、と人差し指を俺に向けた。そしてしっかりと息を吸い、宣言する。

「第二訓練! 毒弾(どくだん)を躱して装置を破壊せよ!」

 第二訓練はあの装置を破壊するだけらしい。それならかなり簡単である。毒弾がすごいスピードでも、必ずスペースがあるはずだ。それを瞬時に見極めれば、楽勝だ。

「スタート!」

 魔界王が右手を挙げて開始の合図をした。

 俺は漆黒剣を構え、浅いプールを駆け抜けていった。バシャバシャと水を叩く音が聞こえる。

 どんなものでもこい! といった調子で飛び出したのだが――。


 隙間なくね?


 毒弾は人間が通れるスペースを埋めて飛んでくる。まるで雨のようだ。

「理不尽だぁあああああああああああああ!」

 俺はすぐさまスタート地点へダッシュ。当たり前だろ! あんなのに対応出来るわけがない。

 そうして、地獄の第二訓練、毒弾躱し装置破壊ミッションが開始された――。


 ◆

 ◆

 ◆


 真っ暗な世界。魔界みたいにピンクや紫があるわけでもない、辺り一面黒一色。もちろん、今歩んでいる段階での話だが。

 王の待つところに行けば灯りが差し込むだろう。そう思いながら真っ暗な一本道を進んでいく。

 ここは暗黒界。おそらく、今、全てを通して一番の勢力を保持している世界。そして僕は、その暗黒界に侵略された、魔界の地域に住んでいた住民。僕には重大な任務がある。もちろん、魔界からの指令で。

 それは進行状況のスパイ。侵略されたのを逆に利用している形になっている。僕はこの暗黒界に居てもおかしいことはない。今は暗黒界の生き物なのだから。

 だが、生まれは魔界というのも事実。僕が協力したいのは、紛れもなく魔界である。

 だからこの任務を僕は引き受けた。暗黒界から魔界に行くことは出来ない。魔法を制限され、逃げられないようにしてあるからだ。だから僕は、限りのある魔法の中で通話している。

 使える魔法は二つある。一つ目は、小さな炎。ちなみにこれはチャッカマン程度の火しかでない。生活のためにあるようなものである。二つ目は通話。魔法によって通話が出来るという便利なものだけど、もちろん魔界へ通話することは不可能である。

 どうやって魔界王と連絡を取っているかと言うと、大きな原点、ルメナさんの力によって通話魔法を使っている。

 ルメナさんは魔界では珍しく、攻撃魔法を持たない人で、生活に使えるような魔法に絶大な力を注いでいる。

 さすがに暗黒界も攻撃魔法を使わない魔界人はいないと思ったのだろう。少ししか注意をはらっていない影響で、ルメナさんとなら会話が出来るということだ。その情報を魔界王に知らせたら情報は伝わる。

 以上が連絡方法である。

 おそらく魔界も動いていることだろう。侵攻日が決まっているのだから、それに間に合わせてくるはずだ。

 魔界の民はもう少量だけど、炎と雷の魔法を操るセイラさんがいれば何とかなる気もする。それに、ルメナさんだって、生活魔法が主流だけど、身体能力を上げる魔法を扱える。後は人の原点、武道で突き進むだけ。

 それなりに魔界も戦力はある。それに人間の方たちがどう対応するかが問題だと思っている。

 ……まぁ、僕が気にしても仕方ないから、いつもどおり情報収集に専念するか。

 僕は再び、新聞と向き合った――。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ