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003 「連れてきたのは、暗黒界の敵に戦って勝ってほしいためです」

 石魔さんに連れてこられたのは、さっきも言われたとおり、魔界だった。辺りは薄暗く、その中にピンクや青色や緑色などの色の混じった魔法陣がたくさんある。床はピンク色と紫色が混じったような色で、俺がよくアニメで見る魔界そのものだった。

 さっきから無言で歩く石魔さん。

 しばらく歩くと、石魔さんは足を止め、目の前にある大きな門を見上げる。

「ここです。今から門を開けるので待っててください」

 そう言って、石魔さんは門に手を当て、呪文を唱え始める。

「“OPENTHEGATE”FORRUMENA」

 おそらく、「ルメナのために門よ開け」とかそういう意味だろう。結構魔界の呪文は単純なんだな~。

 石魔さんが呪文を唱えると、ギシギシ、と、鈍い音をたてながら門が開いた。

 目の前は真っ暗だった。今の場所のような魔法陣もなく、床もピンク色と紫色の混じったものじゃない。本当に真っ黒だった。何一つ黒以外のものがない。

 それから石魔さんはまた歩き出して、門の中を進んでいく。

 真っ暗なだけに、単純な道になっているようだ。さっきから石魔さんは真っ直ぐにしか進まない。これだったら暗くする必要ないんじゃないか?

 そしたら石魔さんが、そこで立ち止まって、床に魔結界をはって、下に移動していった。

 そしてやっと目的地に着いた。魔界って結構広いんだな~。イメージではなんか小さいイメージがあったけど。

 そして、目の前にいる魔界の王がこちらを見てくる。迫力があるというより、そこら辺にいる優しいおじいちゃんといった感じだ。魔王とは呼びにくい笑顔が見れる。

「帰ったかルメナ。その男がお主のパートナーか?」

「はい、城崎剣哉さんです」

「どうも……」

 状況を理解できないままだったが、一応礼をする。しといて損はないからな。

「初めまして剣哉どの。私は魔界の王、魔界王のオーディスです。よろしく」

 わざわざ丁寧に自己紹介までしてくれた。それより、魔界王と呼べばいいのか。良かった。さすがにこんなニコニコ笑顔の優しい老人を魔王とは呼べない。

 意味の分からないところで安心した俺は、石魔さんに魔界に俺を連れてきた理由だとか、パートナーを俺にした理由とかを聞いた。

「連れてきたのは、暗黒界の敵に戦って勝ってほしいためです」

「暗黒界!?」

「はい。この世には様々な世界があり、魔界と暗黒界はどちらも、とても発展している世界です。先進国といったら分かりやすいでしょうか? しかし、その暗黒界が考えたのは世界征服という恐ろしい考えでした。すでに魔界の一部は暗黒界の手に渡ってしまい、魔界も暗黒界に侵食されつつあります。それよりもっと恐ろしいのが、あなたたちの住む日本、ここからすると現界と言うんですが、そこまでをも侵略しようと目論んでいます。現界の者たちは所詮、力がなく、平和ボケをしているイメージが強いのでしょう。武力で攻めたならすぐに国を引き渡すに違いないと思った暗黒界は、すぐさま侵略の準備を始め、もうすぐその日が訪れようとしています」

「……今のところ聞いた中では、俺の力では敵わないということになるが?」

「安心してください。あなたは誰にもない反射力を持っています。魔界人の攻撃を人間が受け止めるなんて初めて見ましたから。その体に私が憑依(ポゼッション)すれば勝てると思います」

憑依(ポゼッション)っていうことは……俺にとりつくっていうことか?」

 次から次へと分からない単語が出てきているな……

 つまりは、暗黒界の者が世界征服をしようとしているのを俺に防いでほしいってことだよな? ったく……難しい要求だな。

「そしてあなたを選んだのは、漆黒剣に気づいたからです」

「漆黒剣って……この真っ黒な剣のことか?」

「はい。それはとてもすごい魔力を封じ込めていて、相当の強さでないと人間は気づけません。それに気づいたのは十年前から探してますけど、あなただけです」

 そんなことで俺は選ばれたのか……いや~、漆黒剣に気づける人間でよかった~。


 そこから話は憑依(ポゼッション)してみようということになり、憑依(ポゼッション)方法を教えてもらった。

 どうやら、さっき切られて出てきた黒い妖気は、憑依するために必要なのだという。その腕を思いっきり振って自分の心臓に当てる。すると背中から上に向かって妖気が出て、そこに、憑依(ポゼッション)用に小さいおばけのようになった石魔さんが入り込んだ。これで憑依(ポゼッション)は完成。

 そこからが一番驚いた。なんと、俺の髪の毛が薄紅色と黒が混じった色になっていた。石魔さんが憑依(ポゼッション)したことによって色んなところが変わってくるらしい。目も綺麗な碧眼だ。

 でも、石魔さんのようにたれてはおらず、いつもどおりの剣鷹の姿だった。見た目は変わらないけど、色んな場所の色が石魔さんと化しているのが憑依(ポゼッション)の特徴ともいえる。 

 そんな憑依(ポゼッション)に驚いていると……

「魔界王! 連れてきたよ~」

 聞き覚えのある声が魔界に響く。そしてもちろんその姿にも見覚えがあった。

 金髪のツインテールで、石魔さんと同様に白い肌、すこし悪戯っぽい吊った綺麗な金色の目。そう、魔狩星羅だった。

「……で、ルメナのパートナーは城崎なわけだ。あんたピンク似合わないよね~」

 笑いながら星羅は言った。

 いいじゃないか、ピンクの俺だってキュートだろ?

 冗談はさておき、ここからが本題だ。星羅が「連れてきたよ~」と言ったのだ。普通に考えて、あいつもパートナーを連れて来たに違いない。

 背伸びをして星羅のパートナーの顔を見る。それでまた驚いた。

「雄也!?」

「剣哉……」

 そう、幼馴染の五月雨雄也だった。また何でこいつが選ばれたのだろう。

 そういや噂で聞いたことがあるぞ。俺たちのクラスの最強の噂男、噂田意好樹(うわさだいすき)というやつが、「魔狩って五月雨弟の事好きらしいぜ」とか言ってたな。

 確かに今まで星羅が雄也を見ていたことは多かったが、まさかこんな事情でずっと見ていたなんて誰も思わないだろうな~。なんだかざま~みろな気分だ。

「剣哉も石魔について来たわけか」

「そうだよ。雄也も?」

「ああ、そこら辺に落ちていた青色の剣を拾ったら、急に魔狩が、剣を構えて襲い掛かってきたんだ。それを咄嗟に持っていた剣で受け止めたら、『やっぱり……こいつならあいつを倒せるかもな……』とか意味深なこと言ってさ。その後に『パートナーになってくれ』とか言われたんだ。んでまぁ、ついてきて今に至るわけだ」

 見事に同じだな。剣を拾って襲われて受け止めて、パートナーになってくれと頼まれる。もしかしたら屋上でその話をしていたのかもしれない。

「えっと、揃ったところでいいかな? 話し始めても」

 魔界王が咳払いをして、俺たちに話しかける。

「ちょっと補足しておきたいんです。暗黒界が襲撃することについて」

「暗黒界?」

 ついさっき来て、話の内容が全く分からない雄也が聞く。

「ええ。詳しいことは後からセイラに聞いてください。で、さっきは世界征服のために暗黒界が、現界に襲撃することです。先ほどから暗黒界が攻めると言っていますが、正直、暗黒界が攻めてくるとは言い難いです」

 暗黒界が攻めてくるというのが言い難い? 何がどうなって言い難いのだろうか? まるで暗黒界が襲ってこないみたいな……

「1人の暗黒界の男、キファルガスが攻めてくるというのが正しいです」

 1人の男だけが攻めてくる? ますますおかしい話だ。

 現界というのは、地球のことを示すわけで、日本やアメリカ、中国やイギリスといった、すべての国があてはまる。そんな広い世界を、たった1人で襲撃なんておかしい話だ。

 そんな不思議そうな俺の顔を見て、石魔さんが説明した。

「キファルガスは暗黒界の支配者で、暗黒界の全ての人を奴隷として扱っています。使えない者は殺し、最強だけを残します。ですがある日、この魔界の一部の地域を侵略した後、ついに奴隷がいなくなってしまったのです。自分が殺しすぎたのもありますし、魔界はそこそこの力を持っていますから、死者も多かったのでしょう。けれど彼は諦めなかった。世界征服を。そしてそのまま彼1人で侵略することにしました。まぁ、人間なんていう、ただ威張っているだけの力のない生き物は、彼には簡単に捻りつぶせるでしょうね」

 おいおい、そうなってくると、一対一ってことじゃねぇか。その威張ってるだけの力のない生き物が、威張っていて絶大な力をもつ暗黒界の使者と戦うなんて……

「剣哉、一対一じゃない。一対二だ」

 なぜか心の声を読み取った雄也がそう言う。

 いつも一緒にいるというだけだが、雄也にそう言われるとなんだか安心する。

「大体おおまかな説明は出来たな。では明日から準備を進めるとしよう。お主らは学校があるじゃろう? それが終わってから、もう一度ここに来てくれ」

 魔界王はそう言った。


 そしてそのまま現界に帰り、いつもと変わらない夜を過ごした……


 ◆     ◆     ◆


 もちろん、次の日には普通の朝を迎えた。いつも寝ているベッドに、いつも使っている机。昨日、魔界に行ったとは思えないほど、平穏な朝だった。もしかしたらあれは夢だったんじゃないかと思うくらい。

 そして学校へ行く準備をする。

 制服に着替え、親が作った朝食を口の中へと運ぶ。

 普通に食べていると、お母さんが、すごく驚いた、それに混じって嬉しそうな表情でこちらにやってきた。

「……どした?」

「なんか……すっごく可愛い子があんたを迎えに来てるんだけど!?」

 すごく可愛い子? おいおい、俺がそんな甘酸っぱい青春を送れているとでも思っているのか、この親は。

「まぁ……とりあえずあんたを迎えに来てくれてるんだから、早く支度しなさい」

 それはそうだな、と思い、俺は準備をして家を出た。

 それで、迎えに来ていたのは……

「おはよう、剣哉!」

 そう、石魔さんだった。そのうえ、いきなり下の名前で呼ばれてる。しかも呼び捨てで。

「ああ、おはよう、石魔さん」

 それで、俺らは登校した。


 やはり今日も普通ではなかった。こんな美少女と登校してるのが普通とでも? 

 ほらほら、早速男子から嫌な目で見られてるじゃないか。何あいつ、ムカつくとか言ってるよ、絶対。

「ねぇ剣哉」

「ん? どうしたの?」

「最近思ったんだけどさ~、剣哉って、私の事を石魔のほうで呼ぶでしょ?」

「ああ、それがなにか?」

「私達パートナー同士なんだからさ……下の名前で呼び合わない?」

 ああ、だから朝から俺を下の名前で呼んでいたのか。まぁ、堅苦しいっちゃ、堅苦しいな。

「ああ、分かったよ、石……」

「ルメナ!!」

 石魔さんと言おうとしたら、大きな声で石魔さん……じゃなくて、ルメナがそう言った。

「ごめん……ルメナ」

「よ~し!」

 満足そうに笑顔を浮かべる。ああ~、やっぱ可愛いな~。

 そして俺たちは教室へと向かった。

 そう、男子から、俺への猛攻撃で、後の戦場となる教室に……

これ、12月23日に予約したのですが……

和の水氷輪とUBK順調なのかな? と、受験大丈夫だったかな? それが不安。


そして、とても毎話1000文字しか書いてなかった作家の作品とは思えない長さ。成長してるんだな~。文章力じゃなくて長く書けるように。


次回もよろしくお願いします!

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