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012 「今はただ黙って……後ろをついて来ればいい」

 これから出来上がった次の日曜日の23:00に更新しようと思います。

 名付けて不定期定期!(訳分からん。

 これから気まぐれに日曜日23:00に更新しますのでよろしくお願いします^^

 ちなみに今回短めです。

 門番を倒した俺たちは大きな門をくぐり、暗黒城内へと足を踏み入れた。さすがに城内は明かりがついていて、先ほどまで放っていた不気味なオーラはあっさり掻き消されてしまっている。

「ここからどうするんだ? セイラ」

「どうするって……キファルガスのいる最上階目指すしかないだろう」

 いや、そんなこと言われなくても分かっているんだけどな。もちろん城内にはさっきの門番くらい人数はいるであろう。ばれないで最上階まで行けるかが問題なのだが。

 入る前にセイラに教えてもらったが、暗黒城は6階建てで、その一階一階の広さと高さは半端ないらしい。来客の最上階侵入を防ぐためエレベーターは設備されておらず、上への移動手段は全て階段、徒歩になる。

 どの階が何をする場所までは分からなかったらしいが、今、俺たちのいる部屋は騎士の休憩場のようだ。剣が壁にひっかけてあるし、鎧やシャツなども干してある。ひとまず、ここに身を潜めているのが俺たちの現状だ。

「なぁ、セイラ。この城の地図って出ないのか?」

「おお、ちょっと待ってくれ」

 セイラは先ほどと同じような手つきで魔法陣を展開させ、地図を出す。これちょっと欲しいな。

「一階の地図しか出ないけど、こんな感じだ」


 と、出された地図には、真ん中に大きなホール。多分パーティーなどに使うと思われるものに、両端から細長い廊下が続いている。その一番奥に階段があり、二階へと繋がっている。厳重に階段が一番奥なんだな。


「でもさ、この兵士の休憩場らしきところががら空きってことはさ、今一階は安全なんじゃないのか? 入って来た時だって何だか殺風景だったじゃないか」

 雄也の言うとおりだ。確かに人の気配はないし、一階は安全に思える。それから推測するに、この部屋は門番のものだろうな。

「なら、とりあえず二階に行ってみるか。構造がどうなっているか分からないけど、ピンチになった時はその時だ。一気に蹴散らしてどんどん上に行くぞ」

 華麗な指さばきで魔法の地図が消去されていく。門を突破してからとっくに五分は過ぎているから憑依もできるしな。蹴散らすのはそう苦でもないかも。

「じゃあ、行くぞ」

 そう言ったセイラの後を俺たちは歩いて続いた。


 ☆


 雄也の予想通り、一階に人気はなく、あっさりと階段へとついてしまった。何かあっさり過ぎる気もするが。

 とりあえず俺たちは躊躇なく階段を昇っていった。どうせ、今更躊躇いなんて必要ないのだから。

 やがて二階のフロアが見えてきた時、俺たちは驚く光景を目にしてしまった。


「ようこそ、魔界の皆さん」

 そこにいたのは、先ほどの門番よりも遥かに多い人数の暗黒城兵士。いきなり強行突破作戦の羽目に合ってしまった。

「私は暗黒城兵士の長、グリードと申します」

「丁寧な挨拶だな」

「お話は伺っておりますよ、セイラさん。あの数の門番に打ち勝つとはさすがでございます」

「そりゃあどうも。で、あんたたちはここを通してくれないわけ?」

「……もちろんでございます」

 急に声が低くなったグリードは腰に掛けていた剣を引き抜き、兵士全体に号令をかけた。

「総員、彼らを排除せよ!」

『はっ!』

 ドドドドドドド――! と大きな地響きが暗黒城内に響き渡る。またこれが人が生みだしているのが凄い。

 って、そうじゃなくて! いくらなんでも襲ってくるの速すぎだろ!


「おい! 剣哉! 行くぞ! ……と言いたいところだが」

「ええええ!? ただでさえパニックなんだから勘弁してくれよ!」

「お前は単独で戦ってくれ。私は雄也と憑依する」

「何でまた……」

「説明は後! というかお前の頭脳なら後々分かるさ! ほら、ボサッとしてるとポックリ逝っちゃうぞ?」

 またこいつさらっとそんなことを……。まぁ、いいか。今はこの街頭に群がる虫のように向かってくるこいつらをとにかく始末する!

 俺は漆黒剣を引き抜き、全力で駆けていった。うん、この数相手にかなり無謀だけど。そのうち雄也&セイラが来るだろうと信じて相手の体目掛けて剣を振る。

 しかし、剣を握ってからの歴が全然違った。素人の俺でも分かるくらい。

 剣を握って一週間も経たないアマチュアの俺と、剣を握ることを誇りに動くプロの兵士。俺の剣は軽く流され、逆に思い切り肩の部分を斬られてしまった。

 幸い、毒弾訓練の影響で一歩後ろに下がることができ、紙で切った切り傷程度で済み、致命傷とはならなかった。


 どんどん俺をスルーしていく兵士たち。やっぱり標的になるのは魔法を巧みに操れるセイラなわけで。おいおい、こんなところでぼっちなんてありがた迷惑だぞ?

「剣哉!」

 何て軽くショックを受けていると、後ろの方で聞き慣れた声が鼓膜を揺らした。声がした方を見ると、金髪を下ろした髪形の人物が立っていた。周りの兵士たちはあっさり倒れていて、前にいる残りの兵士たちもちょっと驚いている。

「もしかして……雄也?」

「ああ、そうだ」「違う! セイラだ! 見て分からんか!」

 ごめん、分からない。なるほど、違う奴が憑依するとこんな感じになるのか。メモメモ。


「私たちが兵士たちと長を倒していく。だからお前はひたすら上を目指せ」

「ちょ……何でだよ! お前らが上に行った方が確実にルメナたちを助けられるじゃないか!」

「お前じゃなきゃ無理なの!」

 珍しく、セイラが大声を張り上げた。

「あんたの……ルメナを助けたいっていう気持ちが、勝利に近づくんだ」

「へ?」

 訳の分からないことを言うんだな~。気持ちで助けられれば苦労しないだろうに。


「今は分からなくてもいい。今はただ黙って……後ろをついて来ればいい」

 そう言って雄也、もといセイラは、右手にサファイアボルト、左手に雷の魔法を纏わせて、戦場へと飛び込んでいった。

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