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001 prologue ――出会った少女

 ――俺、城崎剣哉(きざきけんや)はあの時見とれてしまった。

 塾に行く途中の出来事だった。

 俺は中学受験に向けて、進学専門の塾に通っていた。といってもあの時はまだ小学1年生くらいだ。親父が大学教授で母親が弁護士の俺は、なんとしてでも公務員などの安定した将来が要求された。

 だからこんなにも早くに将来を見据えた人生を過ごしていた。そう、無邪気な小学生ではなかった。

 塾は、俺が住んでいる町から離れたところにある。そのため、毎日塾に行く交通手段は電車だった。

 すでに俺は人生に嫌気がさしていた。

 親の言いなりで進学塾に行き、ちょっとでも難しい問題が解けなかったら徹夜で勉強をさせられる。

 そのためか、学校でも勉強ばかりしていたし、1年生だった俺には、1年生の問題が楽勝だった。進学塾ではもっと難しい勉強をしていたからだと思う。簡単な足し算や引き算をしていただけだった。

 何もかも問題が解ける俺は、あまりいい目で見られてなかった。教師にはいい目で見られていたが、友達、同級生にとっては目障りだろう。多分みんなは自分たちが見下されているみたいで嫌だったのだと思う。

 だから俺の中で味方はいなかった。友達もいないし、親は勉強させるだけで、俺として見てくれない。

 あの時も俺は普段と変わらずに塾へ行った。いや、行く予定だった。

 俺はうつむいて座っていた。そこで、あとどのくらいで塾に近い駅に着くか確認しようと顔を上げたときだった。

 向かい側の席に座っていた少女に見とれてしまった。

 ピンク色というか、ラベンダー、ブルーベリーに近い、薄紅色の髪の毛、まっすぐに長くのびた髪型。そして真っ白な肌、少したれ目で綺麗な青色の目。

 彼女が外を見ている姿に見入ってしまった。夕焼けに染まった外をずっと見ている彼女を、窓がその彼女を映し出す。またそれも一段と可愛く見えた。

 本当に可愛くて、でも綺麗で、美少女というのが正しい、そんな子だった。

 彼女は俺が降りる駅の3つくらい前の駅で降りた。ずっと見入っていた俺はつられてその駅で降りてしまった。

 その駅は結構人気の多い駅で、しばらくすると彼女を見失ってしまった。

 そこでやっと気づいたんだ。

 俺、遅刻しないか……?

 いつも乗る電車は塾の時間にぴったり合う時間になっている。その日も、もちろんその電車に乗ってきた。

 こんなのを知られたら親になんて言われるか……

 はっきり言ってしまえばストーカーをしてたから塾に遅れた。塾に遅れている上に犯罪をした。しかも変態がするような……。

 なんだか行く気がなくなった俺は、そのまま塾をさぼった。駅で買った本をホームで読み、いつも帰りに乗る電車を待っていた。

 もちろん親には叱られた。ストーカーしてたことは俺しか知らないが、塾に来てないことは塾側が電話をすればすぐに伝わる。

 もちろんのこと、その日は徹夜で勉強をさせられた。

 けど、何1つ内容が頭に入ってこなかった。

 ずっとあの少女の事を考えてしまう。


 次の日も塾に電車で行った。

 ちょっとだけ、また逢えるかな、といった希望を抱いて行った。

 でも逢えなかった。当たり前といったら当たり前なのだが。

 違う車両に乗っているのかな、と思い、彼女がこの前降りた駅で、駅の様子を見ていたが、彼女はいなかった。

 たまたま昨日に乗っていただけなのだ、と思うと、なんだか悲しくなってきた。

 けど、それからも逢いたい気持ちは変わらなかった。

 逢いたい。

 逢いたい。

 逢いたい。

 それだけしか心になかった。

 もちろん、その後も会えることはなかった。

 でも俺は希望を捨てなかった。

 逢いたいという気もちが強すぎたのだ。

 そして、それが初めての恋で、一目惚れだったのだ……

どうも、こんにちは&初めまして、桜二 冬寿です。(夜桜冬樹)(vaz)

《この二つは以前の作者名です》

和の水氷輪やUBKが完結していないにも関わらず、投稿してしまいました。いや~、あの……少魔界(作品タイトルの略)も書かなきゃいけないんだぞ! という感じがあったほうが他作品も進みやすいかと思いましてね。

初めての一人称主体なのでうまく出来るか分かりませんが、よろしくお願いします。


なお、この作品は短期連載と考えているので、大体二十話くらいかと。

そして、和の水氷輪とUBKのどちらかが完結するまでは一ヶ月更新の超亀更新でやることになりますが、ご了承ください。

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