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第一話 プロローグ その一

タグは見よう。一人称の練習がしたかった。ならばと最近流行り? のVRMMOモノに触手を伸ばしてみただけ。

あらすじは適当。そのうち変えるかもしれない。地雷臭が凄い。実際微妙に斜め方向に行く可能性は否定出来ません。

それでもよかったらどうぞ。

※一応文章そのものは作者の力量の範囲で普通に書いてます※






 世界は緋色に染まっていた。いや、それは正確な表現ではない。実際には俺が見渡す高台から遠く離れた城下町の外、広大な台地を埋める“魔物の軍勢”の上げる大規模な狼煙が原因だ。

 周りに聳える中世風ゴシック調に酷似した建築物。その中でも一層高い塔の最上階から、“俺達”は最後の日、この“黄昏たる終日(ラグナロク)”を見ていた。


「思えば長い付き合いになったものだね」


 ふと掛けられた声に後ろを振り返ると、複数名からなるこのパーティーメンバーの一人が一歩、俺に近づいてきていた。

 女性にしては高い、恐らくは百七十を越す身長。煌々と煌く炎を称えた髪色をしたロングストレート、クッキリとした目鼻立ち。

 背中に背負われた長大な大剣、そんな無骨な剣に反して厚さの薄い、しかしながらもある程度の防御性能を残した軽金属の鎧やグリーブ、ガントレット。俺達が彼女の為にかき集めた素材で作った、“伝説レジェンド級”の炎の属性を持つ最高レベルの剣は彼女の愛用品だ。

 それを見るたびに少しだけ誇らしくなる。彼女に助けられたのは一度や二度じゃ利かない。その卓越した手腕から繰り出される驚異的一撃は、目の前に立ちはだかるいかなる障害をも吹き飛ばす。


「大丈夫ですわ、何せわたくしが居ますのよ? 魔物の千や二千、私の呪文で吹き飛ばしてあげますわ」


 そう言ってまた一人一歩を踏み出して俺に歩み寄ってくる女性。自信に満ち溢れた顔は、彼女のその不遜とも言える声音ですら許容出来る程に美しい。

 百六十ちょいの身長を様々な色を織り込んだ不思議な術衣ローブで包み、その手には身長程もある、これまたレジェンドに連なる最高レベルの杖を握っている。

 髪を頭部で一部纏め上げ、残りはそのまま後ろに流し、横髪を巻き髪にした黄金を思わせる金の頭髪。

 まるでどこぞの貴族や姫を思わせる容姿の通り、彼女の挙動はどこか品があり、その出自が恐らく上流階級だろうことを匂わせる。無論、それを今まで聞いたことはない。

 火力と言えば魔法。そしてそんな魔法を手足のように操る彼女の一撃は、まさしく軍勢ですら一息に蹴散らしてくれるだろう。


「まっ、補助はこの大天才たるあたしに任せておくんだね」


 そう言って別の一人が前に踏み出し胸を張る。残念ながら、前者二人のなかなかに立派な胸部装甲と比べ、その夢の詰まってなさそうな胸は酷くもの悲しい。

 “大天才”それは彼女の口癖だ。流石にそれは言い過ぎかもしれないが、間違いなくその身に宿る才と知能は天才を冠するに値するだろう。

 見た目十代を過ぎたばかりに見える、その小さな身を学者風の術衣ローブに包み、片手にはやや分厚い魔法書を抱え込んでいる。

 幼い容姿ながら、意思の強さを思わせる整った顔立ち。将来はきっと目が覚めるような美人になるに違いない。

 そんな小さな天才は俺達を後方から的確に支援してくれる、補助魔法のスペシャリスト。その秘めた力は俺達の能力を格段に強め、相手の能力を地の底まで叩き落す。

 回復職の居ないパーティーだが、彼女の持つダメージ軽減や、一定時間回復付与の魔法があればなんの問題もなかった。


「カッカッカッ! いやはや、この老骨たる身にこんな墓場を用意してくれるとは、粋なことをしてくれるではないか。なーに、既に枯れるのを待つだけの身、最後くらい盛大な花を咲かせて見せようではないか」


 そう言って最後の一人が俺の横に並んだ。俺より数センチだけ小さい、百八十ちょいの高身長。口調の通りの白髪の髪、髭。反して鍛え上げられた肉体は若々しく、彼が老人であると忘れてしまいそうだ。

 この若者と言っていい集まりの中で、飛びぬけて年齢の高い彼は、常に俺達にない経験と知識でパーティーを支えてくれた。

 一応このパーティーのリーダーは俺であるのだが、経験豊かな彼には及ぶべくもなく、前にこの座を譲ろうとしたことがあるも、先は若い者が担うのだと辞退されてしまった。

 頼れる彼の相棒は戦斧。老兵とは思えぬ膂力から繰り出される一撃は、相手の身体を一刀両断。その黒鉄に輝く斧もまた伝説に連なる一品。

 俺を含めてこの五名。誰もが一騎当千であり、俺には勿体無い程の人達だ。だからこそ俺は卑下しない、自分を貶めない。

 

 こんな素晴らしい仲間達の前に立つのなら、必然俺もまた一騎当千であるべきだ。そしてそうあるべきと、努力を重ねた。だからこそ、声を張り上げて今なら言える。

 俺が、俺こそがこの“パーティー”のリーダーなのだと! 積み重ねた努力は信頼に変わり、何時日か弱い自分は周到に鍛え上げた土台を元にした強き者へと変わっていた。

 そして皆がまた努力を続けた。俺の、いや、俺達のこのパーティーは誰にも負けない。世界と比してもなお“最高”を誇るのだと声高々に俺は言えるだろう。


「ああ、生き残ろう。俺達はきっとまた会える。いや、確実に“会う”んだ――――」


 己に言い聞かせるように強く口し、腰元に佩いた一本の片手剣を抜き放つ! シャリンッ――と、涼やかな音を放ち抜かれた、一メートルに若干及ばない両刃の剣。

 刀身が薄い空色に染まり、その剣自体が仄かに発光している。豪奢な装飾が施されたのこの剣こそ、皆が俺のために駆けずり回って用意してくれた最高の剣。

 遥か古、俺達とは違う人類が築いたと言う超魔法文明の遺産の一つ。強力な付与能力を持つこれこそ、まさしく伝説を冠するに相応しいだろう。


「気軽に行こう。私達ならそう易々とやられやしないさ」


 そう言って赤髪の、どこか騎士を思わせる彼女が俺の横に立つ。


「私達の力、見せて差し上げますわ」


 何時の間にか反対にならび、遂に侵攻を開始した万を優に超す魔物を睨み付ける金髪の彼女。


「大天才のあたしが居るんだよ? 誰一人失わせはしないよ」


 にやりと笑い、ずり落ちそうになる眼鏡を押し上げ、その小さな身体に有り余る自信を滾らせる彼女。


「カカッ! さぁ、始めようではないか。後は主の一声だけぞ!」


 皆の視線が俺に集まる。ただ一声を待っている。全員のその信頼が重い。けれども、同時に信頼は嬉しくもあり俺の力となってくれる。

 すっと剣先を軍勢に向け、そのまま肺一杯に空気を溜め込む。さぁ、行くぞ、俺達の存在を世界に刻むんだ!


「行くぞッ! 闇夜の支配者(ルーラーオブザナイト)のお披露目だッ!!」

「「了解ッ!!」」


 同時、俺はこの高層建築物から“飛び出した”。地上から百メートル程の位置から助走なしで踏み込む。瞬く間に重力は俺を取り込み、風切音と共に一瞬で地表に落着。

 強い衝撃が身を包むがそれだけだ。人外である俺は元より、人を優に超えた能力を持つ仲間も全員無事着地。俺は後ろも見ずに走り出す。

 高速で流れ行く城下町の風景、多くの武装した人達を掻い潜り、魔物の層が最も分厚い正面北門に急ぐ。

 一分少々で多くの冒険者、放浪者、騎士団やギルドが身構える北門を“俺達”は飛び出した。

 誰よりも前に飛び出し、そのまま片手剣を右手、左手には盾を、全身にはフルプレートを着込んだまま大声を張り上げる。


「ラグナロクへの一番槍は、俺達闇夜の支配者(ルーラーオブザナイト)が頂いたぞッ!」


 告げた瞬間、そのまま地を蹴りだす。視界には地平線を埋める様々な魔物達。あちらもあちらで咆哮を上げ、矮小な人間を叩き潰そうと気合は十分だ。

 俺の声に我こそはと次々と前に飛び出す多くの戦士達。だが遅い。既に俺は、いや、俺達は切り込み隊長もかくやの速度で既に魔物との距離を詰め終わっている!


「おおぉおぉおぉおおぉおおおおッ!!」


 気合一声、最大速度から運動エネルギーを全て剣先へ集約。それを乱暴に振りぬくと光輝くエネルギーが解き放たれ、凶悪な横殴りの一撃と化し、そのまま数体の魔物を吹き飛ばす。

 誰よりも早く、俺は一番槍を遂げる。ここに、俺達の命運を掛けた最後の晩餐が開始された…………






後書き


プロローグ一を差し替え、旧一~二をやや修正併合しました。

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