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妖怪大脱獄劇  作者: 花畑
8/16

8 秘密


頼りはロウソクの火だけだったのに、今その灯りはない。

暗闇の中青白く光る双眸。

私は志摩さんのその瞳に吸い込まれそうに、飲み込まれそうになりながら、それでもじっと見つめていた。



「先程も申し上げた筈ですが…」



「いいえ。あるはずです。本当は私が出来る事があるからこそ、そうやって私を遠ざけようとしているんじゃないですか?」



それは今ぽっと思いついた事だった。

志摩さんは他の誰よりも私を拒否している。

それは裏を返せば、『私』の何かがこの脱獄の為の条件に少しでも関わっていると言う事じゃないのか。


でもそれはよく考えるとおかしいのだ。

脱獄の条件に私が関係するという事がもし本当だとしたら、何故志摩さんはもっと私を上手に利用しないのか。

私が大王の養女だから?

大王に、私を守れと『命令』されているから?




そしてこの説は逆も有り得る。

『私』の何かが、逆に脱獄の失敗条件に含まれるかもしれないと言う事。

私が関ってしまえば、何もかもが失敗に終わる――



さらに本当に『私』は何の関係もない場合もあるだろう。

ただ単に邪魔なだけ、と言う事。

でもそれなら反対に、邪魔さえしなければ何か助けになることは出来ると言う事だ。まだ希望はある。




ここから抜け出すこと、皆を助ける事に私が少しでも関わっているのなら。

そしてもし、私が動くことで本当に失敗してしまうなら。

それならば今度こそ、本当の本当に志摩さんの言うとおり大人しくしていないといけない。それが皆の為だ。

例え皆の役に立ちたくても、それが仇となるんだから。

もしそういうことなら、私はじっとしている。


でも、そうじゃないなら―――…





だからこれは賭け。

志摩さんの様子を見て、私の価値を見定める。

無表情だし、いつも私に棘棘しいし、彼の一挙一動を見て彼の心を読むなんてこと、百年早いとは思うけれど。



彼と、ちゃんと話をしたいと思っていたりもするから。

志摩さんが何を考えて、何を思って、何を大切にしているのか。

何故か彼に対してはこんな事を思ってしまうのだ。

きっと、なかなか良しのよも出してくれない師匠に認めて貰いたい弟子の様な感覚なんだと思う。





けれど暗闇で志摩さんの表情が見えない。見えるのはその青い二つの光だけ。


えっと、何ていうかこれって致命的ミス?




「志摩さん、ちょっと暗いですから部屋に入りましょう」


「必要ありません。すぐに済むでしょう」


「じゃあ単刀直入に聞きます。私―…」


「貴女は聡い方だ」



私の言葉をわざと遮った。

息を吐く音がした。

周囲の温度が急激に下がって行く気がする。




「嫌味ではありませんよ。よく私のこの眼を見てそこまで言えますね。…これはご褒美です」




暗闇がさらに濃くなった気がした。

瞬きをしない志摩さんの眼の色が波打って、だんだんと大きくなっていった。

そばだてていた耳に志摩さんの氷の様な指が触れ、思わずびくっと身が縮まってしまう。

気丈にいたかったのに、本当は落ち着かなくて怖いのを見透かされている様できまりが悪かった。


志摩さんの眼が大きくなったのは彼が私の顔に近づいたからだと分かったのは、彼の声の振動が私の頬に微々と伝わって来たから。




「信用して下さい。私を。必ず元に戻してみせる」





いつも色の無い彼の声が白く震えていた気がした、初めての夜だった。

ちょっとごたごたしていて間が開いてしまいました。ごめんなさい。


お話を書くのって難しいです。(今更)

話の一貫性、流れのもって行き方、言い回しの妙、ああもうーわからぬーー

でも書いてると本当楽しいっていうのは確かですね!面白い話になればいいな^^

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