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1 始まり
初めてのオリジナル小説なので、拙い文章ですが楽しんで頂ければ幸いです。
「大丈夫。必ずもとに戻るから」
ざわざわとした喧騒が、凛と響く一声で静まる。
特殊な結界が張られた城に閉じ込められ、成すすべなくただ咆哮をあげ、自分達を嵌めた敵を心の底から恨んだ怨念の魂が燃え盛っていたのを、声の主は瞳にそれ以上の炎を燃やして声を張り上げ鎮めた。
我等の姫。
我等、世の末に消し去られようとしている妖怪大一族の大切な少女。
人間の作った檻に捕らえられた我等を救おうと、人間である少女が指揮を執る。
「どうか、私を信じて」
これは、浮世の片隅に葬られた我等の大脱獄劇である。
誤字、脱字などありましたらご指摘下さると幸いです。