とある少年 と とある少女
「ふあああ・・・マジで眠い。やっぱなれない徹夜勉強なんてするんじゃなかったよな。」
朝7時、駅のホームで電車を待つ少年は大きなあくびをしていた。
彼の名は、奉 信仁。16歳の高校2年。そして、今人生最大のピンチを迎えていた。
「まじで、あんな誘いのらなきゃよかった・・・」じつは信仁はあるかけをしていたのだ、
その賭けとは『次のテストでこの中で成績がびりだったやつが、罰ゲームを受ける。』というやつだった。
「その罰ゲームが、金とかならまだよかったけどさ・・・・。」深いため息が漏れる「なんで、一人かくれんぼなんだよ!マジで俺殺す気かっつーの!」信仁はうなだれる。一人かくれんぼとは、いま巷で流行っている、昔で言うこっくりさんのようなもので、いわば都市伝説の一つである。人形の腹を裂き、中に米を詰めお風呂場に置き、その人形とかくれんぼをするという内容からしてして、信仁としては絶対関わりたくない系統の話なのだが、それを今回やらなくてはならないのだ。
「ちょっと、信仁。何さっきから顔失せて頭抱えてんのよ!」ごっ!と後ろから押されえて信仁は危うく転びそうになった「なんだ、美紀か・・・」「あんた、さっきから呼びかけても反応なしだし。一体何をそんなに悩んでんのよ。」「じつは、こういうことがあってかくかくしかじか・・・・」
「あんたね・・・・そんなの断っちゃえばいいんじゃん。」「僕としては、たとえ悪意があっても一度した約束は絶対に守りたいんだよね。」「そんなこと言ったて、信仁はやりたくないんでしょう?別に約束破りを理由にあいつらが暴力振るっても、あんたならどうとでも・・・」
美紀の言葉は最後まで続かなかった「いやなんだよ。そういうのは強き者が力で弱き者を虐げるのは。美紀2度とそんな事を言うな!」「ごめん・・・」信仁は昔からこうなのだ、普段は温厚なタイプなのに突然、性格が180度変わったかのように豹変する。『まあ、仕方ないか・・・』昔からこうだから、いまさら気にすることでもない、今はどうやってこの問題を解決するのが先だと美紀は強引に思考を切り替える。
「でも、実際問題信仁はいやなんでしょう?ていうか怖いのなら私が一緒にやってあげようか?」美紀の言葉にブっ!!と信仁は吹き出した。「いあいやいやいやいや、いくらなんでも年頃の女の子と男の子が2人っきりで家にいるのは・・・・!」しまったという顔をする信仁を見て美紀は怪訝そうな表情を作る
「なんで、2人っきりになるってい言うのよ。あんたいやらしい想像してるの?」「いやあの、そいうわけじゃなくて、リアルな方!今母さんいねえんだよ。父さんはずっと向こうだし・・・」ちょっと引き気味になった美紀に信仁はあわてて弁明する。
「そう言えば、信仁のお父さんはイスラエル政府の役人だったわね・・・・でも信仁の母さんは普通の先生でしょう?」「先生は先生でも、大学教授だから。特権使って、研究名目で父さんに会いにいってんだよ・・・」「全く薄情な母親ね・・・』正直呆れた美紀だが、だったら余計放っておけない。
「だったら、あんたあたしには来てほしくないわけ。ふーん、まあそれなら、それで良いけど?お化け屋敷にすら1人では入れないくらい臆病なくせして。」うっと詰まる信仁、確かにお化けとか化心霊関係は大嫌いだ「かといってな。だいたい美紀は部活どうなんだよ?明日から夏休みだぞ。大会とか・・・」
「あいにく、今年は比較的練習とか少ないの。顧問が引退して新しい奴に変わったから。」その先生絶対に生徒に甘いだろうと思ったの信仁だったが、今は関係ないことと割り切る。
「まあ、そんならお願いしようかな。でもさ、なんでそんなに俺の世話を焼きたがるわけ?」ブっ!!と
先ほどの信仁以上の勢いで美紀が吹き出した「べ、べつに!あんたの世話よやりたがってんじゃないわよ!あんたがあまりにも情けないからつい手伝おうと思っただけで・・・」何やら顔を真っ赤にして顔の前で両手をぶんぶん振る美紀に不思議そうな眼を向けた信仁だったが、そんなに深くは考えない。
「おっと、電車が来た。」赤い車体の電車がホームに滑り込んでくる「そんじゃ、僕はあっちの車両に行くよ。」「なんでよ?」「さすがに、恋人じゃあるまいし一緒に同じ車両の隣同士になる必要はないと思うんだけど?」また一瞬でまかになった美紀を放って信仁は3号車に乗りこむ。ピー!という笛の音と同時に列車が動き出す。その電車が通過した鉄橋に『少年』はいた。
『この町にいるはずだ、ぜったいに。私が探し求めていた存在が。』鉄橋を人が歩いて行く、だがだれも
鉄橋にぶら下がっている少年の存在に気付かない。「さて!ささっと私のマスターを見つけ出すとしますか。」少年は鉄橋から飛び降り姿を消した。