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〇〇しないと出れない50の部屋に閉じ込められた百合カップル  作者: 橘スミレ
望とアズサ ゆるふわ可愛い系女子×真面目で賢い美人系女子(完結済)
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♡ 十分間オメガバースごっこをするまで出れない部屋

 ──オメガバースとは──

 男性、女性とは別にα(アルファ)β(ベータ)Ω(オメガ)の第二性がある世界、という特殊設定。主にBL界隈で使われる。

 αはエリートが多い。また、ヒートというものがあり、相手を妊娠させる確率が高まる。βは一番割合が多い。Ωは男女ともに妊娠できる。また、発情期があり、特殊なフェロモンを出してαを発情させる。

 またΩはαにうなじを噛まれることで番つがいになることができる。番になるとΩは他のαを発情させることがなくなる。ただし、番は一度結ぶと解消することができない。


 ※作品によって多少差があります。




「オメガバースごっこってずいぶんとアバウトな指示ね」

「あ、なんか出てきたよ」


 看板からじわじわと何かがにじみ出てくる。近よってよくみると小さく指示が付け足されている。


「『うなじを噛め』と。つまり番になれってこと?」

「多分そうだね」

 私はハーフアップの髪を掴んでうなじを晒す。


「なら、私のうなじ、噛んでよ。番になってよ」


 頭だけをアスサノ方に向ける。


「望が、Ωなの?」


 不思議そうに聞いてくる。設定を読んだアズサならわかるだろうに。


「だってαはエリートが多いんでしょ? ならアズサが適任!」

「私はエリートじゃないけれど、まあ良いわ。ここを噛むの?」


 アズサの手がそっとうなじに触れる。ひんやりとした手に体が驚く。


「綺麗な肌なのに」

「いいからはやく! 噛み跡があったら『私はアズサのもの』って感じがして嬉しいからさ」

「もう、そういうこと言わないの! じゃあ……噛むよ」


 アズサが緊張した声色で言う。


「一生消えないくらい強く噛んでよね」


 アズサは返事の代わりに呆れたように笑った。

 その後深呼吸をしてから彼女の顔が近づいてくる。息がくすぐったい。

 そして、うなじを強く噛まれた。


「ゔっ」


 思わず声がもれるほどの痛み。これはしっかり跡になってくれそうだ。


「大丈夫?」

「平気! これで私はアズサのものになった訳だから、責任とってね」

「……とりあえずその傷が消えるまで頑張るわ」


 私たちは腕を絡めて次の部屋へ向かう。

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