□ 部屋にある服を全て着るまで出れない部屋
「今度は何の部屋?」
「部屋にある服全部着る部屋だって」
これまた面倒な部屋がきたものだ。
「まあやるしかないね」
ハンガーラックにかかっている衣類、というか衣装を手に取った。
一着目はメイド服だ。
「まさか自分がこんな服を着ることになるとは思わなかった」
「本当にそう」
黒いワンピースに、白のエプロンがついたシンプルなものだ。
幸い、スカートは長かった。
「アズサはメイド長をやってそう。みんなに的確に指示を出してるイメージがある」
「そう?」
「うん。めっちゃ様になってる」
「ありがと」
アズサが嬉しそうに笑った。
二着目。チャイナ服。
私が赤を、アズサが青を着た。
とにかく派手。
「歩きにくいね」
「そういうものでしょ」
スリットが入っているものの、かなり歩きにくい。
「あんまり歩幅を大きくすると太ももが丸出しになるよ」
「別にいいじゃん」
「望がよくても、私がよくない」
顔を赤くして言われた。うぶなところもあるもんだ。
三着目。ナース服。
この部屋を考えた人間はきっとハロウィンの女子会にいたんだろう。そういうことにしておこう。
薄いピンクのナース服。残念ながらスカート丈は短めだった。
「お注射しちゃうぞ!」
「どうしたの……?」
私の渾身のぶりっ子はアズサに効かなかった。むしろ引かれた。
「なんかそういうのあるじゃん」
「ネット文化には疎いから。でも、望になら何されてもいい」
アズサの天然物のかわいさに返り討ちになった。
目を逸らして頬を赤ながらいうなど反則だと思う。
その後もシスター服やらキョンシーやらポリス服やらに着替えた。
「やっと終わった」
「残り少し。頑張ろうね」
「うん」
さて、次はどんな部屋が待っているのだろうか。




