☆ とても怖いジェットコースターに乗るまで出れない部屋
「今度はどんな部屋?」
「なんかガタガタ言ってるね」
「ジェットコースターだ」
「え、ふぇ?」
また怖いやつ……でもバンジーよりはまだマシか。
そう思った私は甘かった。
ジェットコースターは逆さで後ろに進むタイプで縦にも横にもグルグル回るやつだった。
「え、待って無理怖い……」
「大丈夫だよ! ジェットコースターなら落ちないから」
アズサは結構平気らしい。
バンジージャンプはあんなに怖がってたのに。
「え、怖いよ。怖い……ひいぃ! 怖いって!」
「大丈夫だから、さ」
アズサは恐怖で足が動かない私の手を引いて無理やりジェットコースターに乗せた。
「本当に、無理だって」
「大丈夫だからって。安全バーおろして」
これでもう逃げられない。怖すぎる。
「大丈夫だよ、望。私がついてるからさ」
「アズサ……」
「というわけで出発進行!」
アズサにもてあそばれているうちにジェットコースターは動き出した。背面だし、逆さだし、色々怖い。
ゆっくりと上がっていくのが怖い。
「結構高いね」
「本当にそう。怖い」
「大丈夫。すぐ終わるから」
ジェットコースターはジリジリと登っていく。
そして止まった。
私が戸惑っていると急に落ち始めた。
怖すぎて声も出ない。
いろんな方向にぐるぐる回ってどこが上でどこか下かわからなくなる。
「ひゃぁぁあぁぁぁ!」
アズサは楽しそうな悲鳴をあげている。
私にはさっぱりわからない感覚だ。
そうしてしばらく振り回されているとようやく止まった。
「やっと終わった……」
「お疲れ様、望」
アズサがぎゅっと抱きしめてくれた。
これだけで怖かったのも無理やり乗せられたのもどうでもよくなるなんて、私は甘いのだろうか。




