△ サソリを食べるまで出れない部屋
「今度は何?」
「おお! サソリを食べるまで出れない部屋だって!」
目の前の机には乾燥サソリが二匹いる。
グロテスクだ。
「サソリって毒ないの?」
「ほとんどの種類のサソリは毒なしらしいよ。それに今までここの部屋が私たちを殺そうとしたことはなかったし、たぶん大丈夫」
おそらく食べられるサソリらしい。
だからといって食べたくはないが。
でもこの状況だと食べざるをえない。嫌だな。
「あ、美味しい! エビみたいな味がするよ!」
アズサは躊躇なくサソリを手に取ってバリバリ食べている。
勇気がすごい。絵面もすごい。
「ほら、望も食べな!」
「食べないと……だめ?」
首を傾げて上目遣いで聞いてみる。
だがアズサはアズサだった。
「そんな可愛くいってもだめはよのはだめ。ほら、口開けて?」
「え、えー」
やっぱり食べないといけないのか。
私は覚悟を決めて目をつぶり、口を開いた。
口の中にサソリが入ってくる。
ゆっくりと口を閉じて噛む。結構硬い。
我慢しながらしばらく噛んでみると、意外と食べられる。
無理やり飲み込んでから目を開いた。
「いけるでしょ?」
「好んで食べるほどではないけど食べれないことはない」
「えー? 美味しいと思うけどなぁ」
アズサは美味しいものを食べれて幸せそうだ。
対して私はサソリを食べたという事実をまだひきづっている。味以前にサソリということが不味かった。
「次いこっか」
「うん。お水あるといいな」
私たちは部屋をでた。




