☆ バンジーするまで出れない部屋
「は?」
「待て無理やだ」
お次はバンジーするまで出れない部屋だったのだ。
「待って無理怖い」
「私も嫌だよ」
そう思うもあっという間に謎のスタッフに装備をつけられた。
「あ、え、ふぁ?」
もう、意味のない音しか出せない。
「怖い怖い怖い」
アズサも怖いと言っている。どうにかならないものか。
ふと下を見れば川があった。すごく高い。え、これ死ぬでしょ。
「あの、これ、死なないですよね」
「えー、多分死なないんちゃう? 知らんけど」
スタッフさんは豪快に笑っている。
そうか死なないのか……ん? 多分?
「多分? ねぇお兄さん。多分って言った? 多分?」
「まぁまぁ。大丈夫だから。わからんけどさ」
不安しかない。少し離れたところにいるアズサも目が死んでいる。
「待って。こんなところで心中するの? え? 死場所くらい選ばせてよ」
もう自分が何言ってるかわからない。ただただ怖い。
「さぁ、いってらっしゃい。3!2!1! バンジー!」
私は訳がわからないまま突き落とされた。
高いし怖いし意味がわからない。
ただ川は綺麗だった。
水が澄んでるし、川沿いにある緑は生き生きとしている。
まるで死にかけの私を嘲笑うように。
「怖かった……」
「本当に怖かったね。望、大丈夫?」
「無理。歩くの怖い」
バンジーで落ちるのも、反動で上がるのも、引き上げられるのも、全部怖かった。びっくりするくらい怖かった。
「望が歩けないならこうするしかないか」
アズサは私のことをひょいと持ち上げた。いわゆるお姫様抱っこだ。
「え? アズサ?」
「暴れちゃ駄目だよ。私のお姫様」
そうして私はアズサによって次の部屋に連れて行かれた。




