〇 お互いの誕生日の星座に使われている星全部覚えるまで出れない部屋
「今度は何の部屋?」
「暗記だね」
暗記……きらい。
覚えるのは苦手だし、覚えられなくてアズサに迷惑をかけてしまう。
だから嫌い。
「お互いの誕生日の星座だって。望はてんびん座だよね」
「そう。アズサはおひつじ座?」
「そうだよ。大丈夫、4つだけだから」
「……頑張る」
私はアズサに星座と星の名前が書いてある用紙をもらった。
おひつじ座に使われているのは「ハマル」「シェラタン」「メサルティム」「ボタイン」の4つ。
あれ、意外と少ない。これならできるかもしれない。
「ハマル。ハマル。ハマル……これどうやったら羊に見えたんだろ」
昔の人はこれが羊に見えるくらい暇だったのか、それとも本気で羊に見えたのか、都合が良かったのか。駄目だ、さっぱりわからない。
「そういえばアズサの方はどうなのだろう」
たしか私の星座、てんびん座は6つの星が使われてたはずだ。
これがサソリ座とかになればもっと多かったのかと思うと本当に良かったと思う。
「アズサーどう?」
「もう完璧に覚えたよ」
「すごい!
「望は?」
「半分くらい」
やっぱりアズサはすごい。
私が卑屈になれないほど優れている。
どんなに頑張っても手が届くことのないから素直にすごいと思える。
「あと半分頑張りな」
こんな素晴らしい人材をこんなところで殺すわけにはいかない。
私は頑張って残り半分も覚えて、満点合格で次の部屋へ向かった。




