表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
〇〇しないと出れない50の部屋に閉じ込められた百合カップル  作者: 橘スミレ
望とアズサ ゆるふわ可愛い系女子×真面目で賢い美人系女子(完結済)
3/66

♡ 原稿用紙10枚にお互いの名前を書き終えるまで出れない部屋

「次はなんか椅子と机があるね」

「そうね……お題は、原稿用紙にお互いの名前を書き終えるまで、か」


 ものすごく面倒そうなお題がきた。とりあえず椅子に座ると400字詰めの原稿用紙が10枚ずつ、そしてさまざまな筆記具が置いてあった。


「鉛筆、シャーペン、ボールペン。万年筆に筆ペン、ガラスペンまであるね」

「すごい、あ。私万年筆使ってみたい!」


 ひとまず手に取ってキャップをとる。だが、書き方がさっぱりわからない。


「ちょっと貸して。万年筆はこう使うの」


 アズサが使って見せてくれる。

 原稿用紙にスラスラと美しい字で「望」と書かれる。

 なんだか不思議な気分になる。


「ほら、やってみな」


 アズサにわたされ、見よう見まねで使ってみるがうまくいかない。


「ここをこう持って。そう。そのまま書けば……ほらできた」


 結局アズサが私の手を持って一緒に書いて、ようやく書けた。


「難しいね」

「10枚書けば、そのうちできるでしょ」


 そういえばこの作業があと1000回以上ある。終わるのだろうか。


「頑張りましょ」


 アズサはそれっきり集中して無言になってしまった。仕方がないので私も静かに書いていく。


 アズサアズサアズサアズサアズサアズサ…………アズサアズサアズサアズサ……


「なんか文字がわかんなくなってきた。模様に見える。アズサ模様だ!」

「ゲシュタルト崩壊ね。と言ってもまだあなたはカタカナ三文字だからいいじゃないの。こっちは漢字一文字だからかなりひどいわよ」


 筆ペンで書かれた文字は最初と比べてば少し崩れている。それでも美しさは保っているし、何よりもう6枚目だ。私はまだ2枚目なのに。


「この調子で残り8枚とか終わる気がしない。というか出れる気がしない」

「頑張るしかないよ。ここから出るにはそれしかない」

「はーい。頑張りまーす」


 私は止まっていた手を再び動かし始めた。


 再びアズサまみれになる。アズサアズサアズサ……


「終わった……やっと終わった」


 アズサはもう書き終えたらしい。私より画数多いのに。


「望、大丈夫? ゆっくりでいいからね」


 アズサは優しい人だ。私はまだ4枚目に入ったところなのに。本当に優しい。


「まだまだ頑張れる」


 結局、長い時間がかかったもののなんとか10枚書き終えた。大変だった。


「お疲れさま」


 アズサに褒められたら疲れが吹き飛んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ