◻︎ 着物を着るまで出れない部屋
「今度はどんな部屋?」
またさっきみたいな難しいお題でないといいけれど。
「着物きようか」
急に言われてもお着物なんて数年着てない。やり方がわかるはずない。
「大丈夫。私が知ってるから」
アズサは部屋中を歩き回って必要なものを集めてきた。
「まず足袋をはきます」
「はい」
親指だけわかれているのに慣れない。
「そして下着を着ます」
お互いに背中合わせになり着ていた寝巻きを脱いで下着をつけた。
「そして腰にタオルを巻いて補正します」
こうすることで帯が崩れにくくなるらしい。
「そしたら長襦袢を着ます」
とりあえず袖を通してみる。
「望、ちょっと後ろ向いて」
アズサが真ん中を合わせてくれた。ついでに首のところも抜いてくれた。こうすると綺麗に着れるらしい。
「そしたら、このベルトをつけて……よし」
アズサはささっとおはしょりを作り綺麗に着せてくれた。
「こっちもとめて、伊達締めをすれば完了」
これだけでも着物のようだ。
私が感心している間にアズサは自分の分も着てしまった。はやい。
「いよいよ着物をきるよ」
袖を通し、真ん中を背中の中心に合わせてもらう。
「そしたらこんくらいかな」
着物を合わせて長さをはかると腰に紐を結んで固定した。
そしておはしょりを作り伊達締め? までしてくれた。
手先が器用だとは知っていたがここまでとは。
アズサが自分の分も終えると帯を巻いてくれる。二重太鼓結びというらしい。
「これで終わり。似合ってるよ」
アズサが私に選んでくれた着物はオレンジ色の着物と白い帯。
アズサが自分用に選んだのは水色の着物と黄色の帯。
「アズサも似合ってる。アズサの綺麗さが引き立てられてる」
「ありがとう」
草履をはいて部屋を出た。




