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駄目(俺+魔女)  作者: モンチャン
94/169

94 魔女


3回続けて「もしも」シリーズをヤッテしまいました。


今回から暫く?は、「通常版」です。


出演者?は、「もしも」シリーズと違って真面目です ・・・ ?




魔女



魔女は、愛する人が望む様に変化することが出来る。

急激にではなく、微妙なのだが、確実に変化するのである。

愛する人の為に ・・・



はるか昔、魔女自身が大きい”太陽フレア”に因る突然変異で生まれてきた。

地球上のどこででも、オーロラを見る事が出来たと言う、超巨大な”太陽の爆発”だったのである。

”突然変異”、魔女は魔法では無く、魔女自身でDNAを操作出来るのかも知れない。



ある”二番目に生まれた魔女”は、母親の友達の家で育った。

数百年に一度だけ生まれるという”二番目に生まれた魔女”である。



”二番目に生まれた魔女”が生まれる少し前に、隣家の火事の”もらい火”で焼け出されたのである。

母親や姉と一緒であったが父親が単身赴任だったので、母親の友達の家に数年間住んでいた。


”二番目に生まれた魔女”は人見知りの激しい子供だったが、唯一、その家の2歳上の男の子には懐いていた。


男の子が”二番目に生まれた魔女”に初めて言った言葉はこうである。

「僕のお嫁さんになってね。」

まだ、言葉の喋れない生まれて半年も経たない”二番目に生まれた魔女”は、頷いたという。


その時、生まれて直ぐの”二番目に生まれた魔女”の胸元に現れた「青い石のペンダント」が”了解した”と言う様に光り輝いた。



その後、その男の子が言ってくれたので、”二番目に生まれた魔女”は男の子の母親や父親や姉にも懐く様になったのである。


特に男の子の母親は、”二番目に生まれた魔女”の生みの親よりも、もっと懐かれたのである。

”二番目に生まれた魔女”と添い寝する度にせがまれた男の子の母親は、自分の乳房から”お乳”が出る様になり、”二番目に生まれた魔女”に与える様になっていた。



男の子と一緒に走り回る様になっても、時々、二人で話し合った。

額を寄せて、恋人同士の様に ・・・


男の子は、”二番目に生まれた魔女”に必ずこう言った。

「可愛いし、美人になったね。」



”二番目に生まれた魔女”は可愛くて美人に育っていったが、人見知りは激しかった。


ツンとすました様な態度を取るので、他の人からは、それほど好かれる事は無かった。

それでも、いじめられる様な事はなかった。

化け物じみた力を持つ”二番目に生まれた魔女”に敵う者はいなかったのである。



火災保険を受け取り良い家を見つけたので、”二番目に生まれた魔女”の一家は引っ越していった。

それでも、母親同士がお友達だったので、定期的にお互いの家で会うことが出来た。


男の子は、”二番目に生まれた魔女”に必ずこう言った。

「可愛いし美人だし、スタイルも良くなったね。」



”二番目に生まれた魔女”が中学生になると、男の子よりも身長が高くなった。


二人が男の子の家で会った時、”二番目に生まれた魔女”が男の子に言った。

「ご免ね。 私の方が背が高くなっちゃった。」


でも、男の子はこう言った。

「素敵だよ。 可愛いし美人だし、スタイルも抜群。 もっと足が長くなって、背が高くなっても良いんだよ。」



二人が高校生になると、合う場所が変わった。


原宿に出来た”カフェ”になったのである。

魔女や鬼女、魔法使いが集まる、何故か普通の人が入ってこない店だった。


そこは、二人の母親の知り合いが経営する店だった。



母親に連れてこられなくても、二人はこのカフェで会う様になっていた。


この店の開店当初から、二人は向かい合って座っていたので、お客さんはみんな、二人の事を”お店の風景の一部”と思っていた。



いつまでも、”二番目に生まれた魔女”の方が身長が高かったが、男の子が高校を卒業する頃に、少しだけ男の子の身長が上回った。

ただ、”二番目に生まれた魔女”の方が、腰の位置が高く、足が長かった。



魔女は記憶力が良い。

そのお蔭か、”二番目に生まれた魔女”は高校に入る前に英語とフランス語が堪能だった。


男の子は焦った。

下らないプライドだが、自分の方が”二番目に生まれた魔女”よりも出来が良くなければと考えていた。


いくら頑張っても、追い抜くことが出来ないどころか同じレベルでは無いのは明らかだった。

男の子は方針を変更して、”二番目に生まれた魔女”と同じレベルになる事を頑張った。


男の子は”同じレベル”になるまではと心に決め、二人で会う回数を減らして自分を高める事に集中した。


”二番目に生まれた魔女”は、男の子に会いたかったが、男の子の気持ちが強く、我慢することにした。



男の子は大学受験をした。

本当は文化系と思っていたのだが、父親の”命令”で建築学部以外の受験を許されなかった。


しかし、第二志望以下の”落ち止め”と思っていた大学をことごく失敗した。


もう駄目だと思った ・・・ 大学受験も、”二番目に生まれた魔女”とのお付き合いも。


そこまで、男の子は頑張ったのであるが ・・・


しかし、神様は何を勘違いしたのか、男の子は”第1志望”の大学に合格した。


大学で教えている内容や設備などそれ程違いは無いのだが、”第1志望”の大学は残念ながら学生のレベルが高かった。

男の子が大学に通い出すと、工学部だった所為もあって、一生懸命勉強する必要があった。


”二番目に生まれた魔女”がお祝いをしようとした。

しかし、男の子は、泣きながら断った。

これからが大切だと知った男の子は、頑張って勉強を続けることにしたのである。

そんな訳で、二人が会う事は少なくなった。



”二番目に生まれた魔女”も、大学は文化系ではなく、工学部に入った。

負けず嫌いの性格だったので、男の子に負けたくなかったのである。


男の子と違って、大学まである学校だったが、勉強は好きだったので、工学部を選択したのである。

将来を考えて、IT関係の学部だった。



高校生まで、毎週の様に会っていた二人だったが、何故か二人とも大学生になってからは会うことがなくなった。

男の子が、実験やレポート作成で必死に勉強しなければならなくなったからである。



そして、男の子は早朝にジムに行ってウエートトレーニングをする事が、唯一の憂さ晴らしになっていた。


夏休みなどの休みには、大学に通って勉強した。

出来が良い方ではなかったので、一生懸命に勉強するしか、他に方法を見いだせなかった。


たまの休みに従兄弟に誘われて、釣りをするくらいが精一杯だった。



男の子は就職し、父親と同じ大手建築会社に就職した。




”二番目に生まれた魔女”は、IT関係の技術を習得していった。

大学生時代には、海外の魔女の家にホームステイをして、研鑽を重ねた。


大学を卒業して、IT企業に就職しようと思っていたが、日本の魔女の幹部連中は”二番目に生まれた魔女”を手放さなかった。

魔女達を管理運営する組織に、強引に就職?させた。

将来、自分達のトップとして、働いてもらいたかったのである。

特に、魔女の存在を他人に知られる事の無い”完璧なセキュリティ”を構築して欲しかった。




数年後、男の子は時間的制約の多い現場勤務から、設計部に異動になった。


暫くすると、男の子の父親は大きなプロジェクトで北海道に長期出張になった。

夫が大好きな母親は、息子を一人残して、夫を単身赴任にはさせなかった。



そんな訳で、息子の男の子は一人暮らしをする事になった。


母親がたまに東京に帰ると、息子は食事や洗濯はしている様だが、掃除等はあまりしていない様だった。



息子のことが心配というより、家の維持管理が心配になった母親は、ある事を思いだした。


20年以上前に男の子が”二番目に生まれた魔女”に初めて言った言葉である。

「僕のお嫁さんになってね。」

そして、言葉の喋れない生まれて半年も経たない”二番目に生まれた魔女”は頷いたという事を。



母親は、お友達の魔女、”二番目に生まれた魔女”の母親に聞いてみた。

「お姉ちゃんは結婚したけど、あの子はまだ恋人とかは出来ないの?」


”二番目に生まれた魔女”の母親はこう言った。

「約束したひとがいるって言うのよ。 誰なのかしら?」


母親はどうしようかと思ったが、20年前の自分の息子と”二番目に生まれた魔女”について話をした。


”二番目に生まれた魔女”の母親は、話を聞いてこう言った。

「あら、そうなの? 私は二人が一緒になってくれれば嬉しいわ。」


アッケラカンとそう言われて、母親は多少、辟易たじろいだが、意見が一致したので、二人を夫婦にすることにした。



母親達は、無理矢理なシチュエーションで、二人を会わせる事にした。

一番こき使われたのは”二番目に生まれた魔女”の姉であった。



男の子、もう20歳を超えているので「子」は不要であるので、”男”にしましょう。



男は金曜日の夜に、会社からの帰り道で”二番目に生まれた魔女”に会った。



”二番目に生まれた魔女”も文字が長過ぎるので”女”のみにします。



高校生まで、週に1回は会っていたのだが、男はウェートトレーニングで、からだが大きくなっていた。


そして、女は最後に男に会った時の言葉でかなり変わっていたのである。


男は女にこう言ったのである。

「今でも可愛くて美人でスタイルが良いけど、これからも、もっともっと、可愛くて美人でスタイルが良くなってね。」

そうして、こうも付け加えた。

「今まで、見た目のことばかり言って、ご免ね。 君はそれに見合う以上に素敵で聡明な女性なのに ・・・ 」


女は喜んで、それからも自分を磨いた。



そんな訳で、夜道で再会した時には、二人は、昔の姿を思い出せなかったのである ・・・ ?



まして、女の母親がアッケラカンとした性格の人なので、娘の女も自分を「魔女」だと紹介してしまった。

母親も父親も姉も、女を”魔女”だと知っていたのだが、男だけは知らなかったのである。



それでも何故か、男は女を自分が結婚したい人だと分かった。

女も、男を自分が結婚したい人だと分かった。



男と女の母親達は、二人が上手くいくのか心配したが、ちょっと二人が繋がるのに時間が掛かっただけで”大成功”に終わった。



そして今、男と女は、男の両親と一緒に暮らしている。

仲良し家族である。



男は、女と一緒に寝る度に、必ずこう声を掛ける。

「全てが素敵だよ。」


女は魔女である。

魔女は、愛する人が望む様に変化することが出来る。


女は、自分の全てが”素敵”になる様に、今日も努力を惜しまないのである。


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