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駄目(俺+魔女)  作者: モンチャン
74/168

74 その後の後(あと)の9

今回も、ナオミ達が沖縄にいる間は、サービス部分を多くしています・・・?


その後のあとの9



朝、スマホの目覚ましで、いつもの時間に目が覚めた。


ジムに行くので、起床時間は早い。

今日も、ナオミは早く起きてお弁当と朝食の用意をしてくれた。


「今日もお弁当、ありがとう。」

そう言うと、可愛く微笑むナオミを抱き締めてキスをした。


そして、いつもの様に「行ってきます。」と言って出掛けた。

本当は、一緒に朝食を食べたかったが、沖縄のホテルでオヤジが待っていると言うので、朝食の権利をオヤジに譲ってやった。



ナオミは俺が出掛けたのを確認すると、今日も新聞を取り施錠を再確認して、家の居間から消え、沖縄のホテルに戻っていった。




ナオミが沖縄のホテルに戻ると、おとうさんとおかあさんはバスルームでシャワーを浴びていた。


「おかあさ~ん! 帰って来たよ~!」

ナオミ、わざと大きい声で呼びかけた。


バスルームから、おとうさんの声がした。

「や、ヤバイ! もう、ナオミが帰って来た。」


おかあさんの声もした。

「だから言ったでしょう ・・・ 」


ナオミ、事態を察して一言言った。

「ちょっと、ロビーに行ってくるね。」


ナオミが部屋を出ていったのを確認すると、二人はバスルームから出て来た。


「おとうさん! 朝は1回だけって言ったのに、2回目をしちゃうから ・・・ 」


「い、いやあ~! 昨日の料理、効き過ぎだよ。」


二人とも、朝から元気である。




ロビーで新聞を読んだナオミが、部屋に戻ってきた。


おとうさんとおかあさん、平然とソファーに座っていた。


「はい、おとうさん。 今日の東京の新聞と沖縄の新聞。」


「おう、 ナオミ、ありがとう。」

そう言って新聞を読み始めた。


直ぐさま、おとうさんの目の前の新聞を、おかあさんに奪われた。

「おとうさん、朝食の時間、昨日より30分も遅いわよ。」


時計を見たおとうさん、急いで腰を上げ、三人で朝食に行った。



ちゃっちゃと朝食を食べ終わって、部屋に戻ってくると、今日もスケジュールの打ち合わせ。

「今日は車で移動して、恩納村のリゾートホテルに行くぞ。」

「おかあさんやナオミの登場は、午後になってからだな。」


「しょうが無いわね。 周りの観光地に行って、あとはホテルのプールで日光浴でもしているわ。 それで良いわよね、ナオミ?」

「ひろし、 あ、間違えた、 おとうさん、 移動はどうするの?」


「レンタカーを用意してある。 誰が運転する?」


「は~い。 あたしが運転しま~す。」

ナオミが元気よく立候補。


「知り合いに借りてくれって頼まれちゃって、・・・外車なんだよ。」


「大丈夫よ。 うちの車も外車だもん。」


「この、ホテルの駐車場に停めてあるんだ。」

そう言って、おとうさんはナオミに車のキーを渡した。



ナオミ、洗濯物を集めて一つの鞄に突っ込んだ。


「ナオミ、みんな入れちゃったら、着る物無くなるわよ。」


「はい、 着替え。 東京から持ってきたわよ。」

そう言って、大きい鞄を取り出した。


「じゃあ、こっちは東京に送っちゃうね。」

そうナオミが言って指を鳴らすと、洗濯物で一杯の鞄は消えていった。




ホテルのフロントでチェックアウト。

ホテルの玄関に車が止まっていた。

「わ~! ベンツのカブリオレだ。」


荷物をトランクに入れるが、メタルトップを収納しているので、些か狭い。

それでもオープントップのまま、三人で乗り込む。

運転手はナオミ、助手席はおかあさん。 おとうさんは後ろの席で腕を組む。

三人とも、サングラスをしているので、ちょっと迫力がある。


おかあさんが目的地をナビにいれ出発。

快適に風を感じて走る。




一般道を走って、高速道路に向かう。

途中、首里城の近くを通る。


那覇ICから高速道路。

島の内陸側なので、海は見えない。

それでもオープンのまま、沖縄道を快適に進む。

屋嘉ICで高速道路を降りて一般道へ。



50km程度、1時間少しで目的地に到着。



駐車場に停めて、ホテルに向かう。

おとうさんがフロントで話をすると、チェックインには早すぎる時間だが、直ぐに鍵を渡されて部屋に案内された。


案内してくれたおねえさんが言った。

「通常のベッド二つと、ソファーベッドの部屋ですが、宜しいのでしょうか?」


おとうさん、笑いながら言った。

「私は寝られれば良いんで、十分です。」

実際は、ナオミが魔法で東京に戻るので、ベッドは二つあれば十分なのである。


「はい、 おとうさんの作業服。 チャンと洗ってアイロンもかけておいたよ。」

ナオミが大きい鞄から、おとうさんの衣料品関係を取り出した。


「はい、 こっちはおかあさんの。」

「中に入っているビニール袋に洗濯物を入れておいてね。」

ナオミ、何でも準備が良い。


「ナオミ、 いつ洗濯してるの?」


「ゆたかさんの夕ご飯の準備をする時に干したものを取り込んで、アイロンもかけてるよ。」

「洗濯はお風呂に入る前に終わらせてるの。 サンルーム、助かるわ。」


「流石、私の娘だわ。 何か欲しいものはない?」


「うふふふふ・・・ じゃあ、ユタちゃん ・・・  」


「あ~、それは明後日ね。 ホテルのツイン、2部屋とってあるから。」


ナオミ、少しむくれる。

「う~・・・ 我慢する ・・・ 」



そんな母娘の話を聞きながら、着替えが終わったおとうさん、現場に出掛けた。

「じゃあ、行ってくる。 昼食はホテルのレストランで食べてくれ。」


おかあさんとナオミ。

「行ってらっしゃ~い。 また、連絡くれたら、行くからね。」



毎日、日光浴だけではつまらない。

どこかに行こうという事になって、車で回ることにした。


まず、恩納村博物館 ・・・ 恩納村の文化・民族のお勉強?


続いて真栄田岬 ・・・ 崖の上から珊瑚礁の海を見る。


御菓子御殿 ・・・ 紅芋タルトの作るところを見て、レストランで昼食。


午後は、ブセナ海中公園 ・・・ 海中展望塔で水深5mの海底を見る。



ここからホテルに戻って、日光浴。


車もオープンにしていたので、まあ、日がな一日日光浴をしていた様な感じであった。



今日は、タブレットに殆ど連絡がなかった。

そんな日もあるのである。



海の方を見ると、海岸でパラセーリングをやっていた。

「ナオミ! アレ、やろうよ!  ほら、早く! 」

おかあさん、何でもやってみたいし、新しいもの大好き。


折角なので、おかあさんとナオミの二人で乗ってみた。


空の上から沖縄の綺麗な海が、見放題。

「うわ~~~! 綺麗~~~!」

二人揃って叫んでしまった。

沖縄の空を堪能した ・・・?



その後、1時間以上、ホテルのビーチで日光浴。


ほどよく、表裏が焼けたところで、スマホが鳴った。

おとうさんからだった。


ホテルと同じ敷地内に現場があるので、気楽である。



ホテルの部屋に戻って、ナオミの持ってきたパンツスーツを取り出した。


いつもの様に、泳いだりしない日光浴用水着である。

二人で水着の上に服を着て、おとうさんの待つ現場に出掛けた。




同じホテルだが、別棟になっており、完成後に現在稼働中のホテルと渡り廊下で繋ぐ予定である。

現場事務所の受付でおとうさんを呼んでもらうと、現場の若手担当者が迎えに来てくれた。

現場事務所で、ご挨拶。


冷たい緑茶ををいただき、おとうさんを待つ。


暫くするとおとうさんが、事務所に戻ってきて、ヘルメットを脱いで、作業服を着替えた。


おとうさん、今日もタブレットで場所を示して、技術的な指摘をした。

今日もおとうさん、冷たいお茶を飲み干して言った。

「良く出来ていると思う。 模様替え部分もあるから、安全も考慮して、これからもシッカリ仕事をしてくれ!」

昨日と同じ文言だが、現場が違うので問題はない。


おとうさん、おかあさんと事務所を出ると、作業員の人が事務所前に集まっていた。


朝礼で使うチョット高い壇上に乗って、今日もおとうさんがみんなに色々話をした。


最後にナオミが壇上に乗ってご挨拶。

「お疲れ様です。 先程、父が言っていましたが、現場の方は良く出来ているそうです。 でも、事故は気を抜いた時に起こります。」

「増築部分だけでなく、模様替え部分もあります。この建物が完成するまで、皆さんが安全で終わる事が出来る様に、今まで通り、安全第一をお願いします。」

ナオミはいつもの様に、安全第一と言う時に人差し指を立て、最後に微笑んだ。



この現場でも物凄い拍手が湧いた。


三人で帰る時、ここでも、現場のみんなが手を振ってくれた。




現場と宿泊するホテルは隣である。

散歩がてら近くを歩いていると、ホテルの近くに沖縄料理店を見つけた。


夕食はホテルの予定であるが、三人とも沖縄のお蕎麦を食べたくなった。

お蕎麦だけを注文する予定であったが、先におつまみを注文していた。

みんなで沖縄のビール。


三人ともビールをお代わりして、ソーキソバを頼んだ。

ついでに、ソーキとラフティーだけも頼んで、大満足で夕食前のオヤツ?は終わった。




ホテルに戻ると、今日も喫茶でコーヒータイム。


コーヒーを飲み終えたナオミが、今日も一言。

「ちょっと、行ってくるね。」


おとうさん、今日もおかあさんに昨日と同じ様に聞いた。

「トイレかな?」


おかあさん。

「昨日と同じで、ゆたかの夕食の準備よ。 お洗濯もしてくれているのよ。 今夜も戻ってこないって言ってたわ。」


おとうさん、今日も昨日と同じ事を言った。

「ゆたかが羨ましいな・・・」


おかあさんも、今日も昨日と同じ事を言った。

「おとうさんには私がいるでしょ!」


おとうさん、今日も変わらず嬉しそうにおかあさんにキスをした。

今日も、ナオミが前に座っていたので、二人は並んで座っていたのである。



おかあさん。

「お部屋に戻ろうか。」


おとうさん。

「めぐみ ・・・ 、久し振りに二人で歩こうか?」


二人で腕を組んで、暗くなり始めた浜辺を歩いた。

二人とも、30年近く前の結婚した頃を思い出した。


暗い浜辺、二人の気持ちは20代の頃のままだった。




おとうさんとおかあさん、ひろしとめぐみは二人が初めて会った時を思い出していた。


同じ大学のキャンパスだった。

「昔、二人でこうして歩いたな~ ・・・ 」


「そうね~ ・・・ 」




めぐみは可愛い美人の女の子だったが、男嫌いだった ・・・ 娘のナオミと同じ様に ・・・

周りに言い寄る男がいると、平気で弾き飛ばした ・・・ 娘のヨーコと同じ様に、空手が得意だった。



今でもそうだが、その頃のおとうさんは女性に興味はなかった ・・・ おかあさんと娘のナオミは特別である ・・・



息子のゆたかと同じ建築学部だったが、物凄く真面目で出来が良かった。

勉強するのが好きで、資格マニアだった。


身長は高めで格好は良く、話は上手かったし酒も好きだった。

ただ、男友達との会話の方が楽しく、女性が入ると鬱陶しく感じてしまい、飲み会に女性がいると適当に理由を付けて酒席からいなくなった。



キャンパスの真ん中の広い通りで二人はすれ違った。

ひろしは次に狙っている資格の事で頭がいっぱいで、めぐみも新しく覚えた魔法を試したくてどうしようか考えて歩いていた。


すれ違う時、ひろしは持っていたメモを落とした。


自分の目の前にヒラヒラ落ちる紙を、めぐみは見落とさなかった。

直ぐに拾ってひろしを追いかけた。


ひろしは運動も兼ねて歩く速さは早かった。

学食の前で、めぐみはひろしに追いついた。

ゼーゼー言いながらめぐみがひろしにメモを渡した。


「あ、有り難う。 大事なメモだったんだ。」


「は~! もう~、 歩くの速いんだもん。」


「ご、ご免ね。 お礼とかしないといけないな ・・・」


「お礼なんていいわよ。」


「学食の前だから、中で売ってるコーヒーだよ。」


「まあ、その位なら ・・・ 」



広い学食は時間が中途半端なのか、殆ど人はいなかった。

窓際の席にドリップ式の自販機のコーヒーを持って、二人で窓際の席に座った。


二人とも、お互いを何処かで会った様に感じていたが、思い出さなかった。


ひろしは建築学部で、めぐみは情報処理学部、二人とも理工系の学部だった。

コンピューターに興味があったひろしは、めぐみと話すのが楽しかった。


コーヒーを楽しく飲んで、二人は別れた。

それだけの筈だった。


ただ、二人とも別れたあと何故か胸が熱くなった。

二人とも、生まれて初めての感覚で、何の事か分からなかった。

だけど、二人とも、もう一度、いや、何度でも会いたいと思っていた。



おかあさん、めぐみはおっちょこちょいである。

自分で古い本から探し出した「魔法の呪文」を書いたメモも、ひろしに一緒に渡してしまっていた。



ひろしは家に帰って、新しい資格の覚える事をチェックした。

普通の人なら覚える事が多いのだが、ひろしにとっては大した量ではなかった。

何故かボーッとしてしまい、手元の紙を見ると同じ言葉を繰り返し書いていて、A4の紙数枚がイッパイになっていた。


めぐみも家に帰って、新しいプログラムを紙に書くつもりであった。

めぐみもボーッとしていて、気が付くとA3の紙一杯を同じ言葉で埋めていた。


ひろしは「めぐみ」と、めぐみは「ひろし」と書き続けていた。



二人とも真面目だったので、1週間の行動は殆ど変わらなかった。


同じキャンパスの理工系の学部なので、何処かで必ずすれ違った。


二人はお互いを確認すると安心し、胸が熱くなった。

ただ、ある事を除いて、二人が一緒にいることはなかった。



前、二人が直接会った、学食の一角でのコーヒータイムは、その後も続いていた。

1週間に2,3回だったが、特に喋るわけでもないのに、二人は幸せだった。



1ヶ月以上経ったが、ひろしの頭の中のかなりの部分が「めぐみ」に占領され、新しい資格の勉強に支障が出た。

ひろしは資格を取る為に「山籠もり」をした ・・・ 集中したい時、ひろしはよく山に行って一人キャンプをした。



1ヶ月ほどして、何枚かあった「魔法の呪文」を書いたメモの1枚を、ひろしに渡してしまった事に気付いためぐみは、ひろしの家を探した。

今と違って個人情報のセキュリティは厳しくなく、名前からひろしの住所を探し出した。


今、二人が住んでいる家が、ひろしの実家だった。

めぐみがチャイムを鳴らすと、玄関から母親の知り合いのおばさんが顔を出した。

「あ! おば様。 ひろしさんのお母様って、おば様なんですか?」


「あら、 めぐみちゃん、どうしたの? 初めてよね、うちに来るの。」


「は、はい。 この間、ひろしさんに間違えて私の大事なメモを渡してしまったの。」


「外じゃあなんだから、家に入って ・・・ 」



いつも、めぐみの家に遊びに来る、母親の友達のおばさんだった。

話し好きの人で、めぐみの大好きなおばさんだった。


延々とお話をしたので、夕方になってしまった。

「折角だから、夕ご飯、食べて行きなさい。 おかあさんには連絡しておくから ・・・ 」


そういう事で、おばさんと二人で夕食の準備をした。


暫くすると、おじさんも帰ってきた。

「おう、めぐみちゃんじゃないか。 久し振りだね。」

おじさんもたまにおばさんと一緒に遊びに来ていたので、話が弾んだ。

「良いな~。 うちは男の子ばっかりだから、めぐみちゃん、このままうちの子になっちゃおうよ。」


めぐみの家は娘ばかりで、逆に息子だけのおばさんの家をめぐみの両親は羨ましがっていた。


二人の息子は、兄のひろしは山籠もり、弟のつとむは合宿で不在だった。

おじさんもおばさんもめぐみもお酒好き。

3人なのに大宴会になった。


夜も遅くなったが、宴会は続いた。


時計を見たおばさんが、電話をした ・・・ 勿論、固定電話である。

電話の先は、めぐみの家。

「三浦で~す。 ご免ね~、連絡遅くなっちゃって。 盛り上がっちゃってさ~ ・・・ めぐみちゃん、こっちに泊めますから ・・・ じゃあ、おやすみなさい。 」

そう言う事で、めぐみは泊まっていく事になった。


「めぐみちゃん。 ベッドがいい? 布団がいい? 」


「あ、 出来ればベッドの方が ・・・ 」


「じゃあ、 全部洗濯して綺麗にしたから、ひろしの部屋で良いかしら? 」


「は~い!」

めぐみはそう言ってお風呂をいただき、ひろしのTシャツと短パンをパジャマ代わりに借りて、ベッドに横になった。


深呼吸をすると男の匂いがした ・・・ ひろしの匂いである。

何故か安心出来る匂いだった。

掛け布団を抱き締めると、ひろしに抱かれている様で、嬉しかった。



ウトウトしていると自分の周りが光り輝いた。

めぐみが気が付くと、寝袋の中に居た。


寝袋にはひろしがランプの光の中で参考書を読んでいた。



「え、 なんで君がここに ・・・ 」


「ひろしさん、その参考書に挟んでいるメモ、触ったでしょう?」


ひろしが参考書の栞代わりにしていたメモを見ると、ある1行だけが光っていた。


「どうして急に君が? 」


「そのメモ、魔法の呪文なの。 遠く離れた愛する人を呼び寄せる呪文 ・・・ 二人とも愛し合っていないと駄目な筈なんだけど? 」


「お、俺は君のこと愛していると思うけど ・・・ 」


「わ、私だって ・・・ 」


「でも、良かった。 いつものマミー型寝袋はオフクロに洗濯されて、今回は封筒型だったから狭くなくて ・・・ え? もしかして、裸? 」


「あ! 呪文、足りない文言があったんだ。 だから、服とかは無くて、裸の私だけが移動しちゃったみたい ・・・ イヤだ、恥ずかしい。 向こう向いててよ! 」


「い、いや、流石に狭いから、動くの難しいよ。 それより寒くない? 」


「う、うん、 ちょっと ・・・ 」

2000m近い山の中、日が陰ると気温は低くなった。


ひろしは予備に持ってきた衣服をザックから探したが、めぐみはそのままひろしに抱きついた。

めぐみはひろしの着ていたものを脱がして、裸で抱き合った。

「一緒に、こうしていて ・・・ 」


「で、でも ・・・ 」


「明日の朝には、戻る呪文、思い出すから ・・・  でも、私のお腹に硬いものが当たって、邪魔なんだけど ・・・ 」


「それは、君の所為だよ。 こんな可愛い美人と抱き合ってそして素敵なオッパイが僕に当たっているんだから ・・・ 」

そう言って、ひろしはめぐみの乳首を触った。


「アン! もう! 」

思わず声が出てためぐみは、ひろしの硬くなったものを足の間に挟んだ。

「こうしておけば、邪魔じゃないわ。」


「いや、 ちょっと場所が ・・・ 」


「うるさいお口ね! 」

そう言って、めぐみはひろしに口づけをした。


二人とも初めての口づけだったが、ひろしもめぐみもとろける様だった。


「ひろしさんって、女の人にもてるんでしょう?」

少し上目遣いにひろしを見ながら言った。


「そんな事はないよ。 女の人とこんな事、したことないもん。 めぐみさんこそ、モテモテじゃないの?」


「ば、バカ! 私だって、 は、初めてなんだから ・・・ で、でも、もっと抱き締めていてくれないと、寒い ・・・ 」


「そ、そんなに寒くはないと思うけど ・・・ 」


「あなたが抱いてくれていないと、心が寒いの! 」


全てをぬぎさったひろしは、めぐみを優しく強く抱き締めた。

めぐみの胸が、全てがひろしと密着した。

ひろしのものは、もっと硬く大きくなった。

そして、めぐみの中に入ろうとしていた。


「ご、ご免。 僕の先っぽ、君の中に入っちゃった。」


「 ・・・ ちょっと痛いだけよ。 だ、大丈夫だから ・・・ 」

めぐみ、負けず嫌いである。


寝袋を汚さない様に、めぐみは近くにあったタオルを腰の下に敷いた。


強く抱き合った所為か、ユックリとめぐみの中がひろしでいっぱいになった。

ひろし自身は動かないのに、めぐみの中のひろしは動き出した。

めぐみ自身も動かないのに、ひろしを包んだめぐみの中はうねる様に動き出した。


「めぐみ、 君が素敵過ぎるから、あそこが勝手に動いてる ・・・ 」


「ひろし、 私もあなたを求めて身体が勝手に ・・・ 」


狭い寝袋の中、密着した二人は、口づけを繰り返した。


「んあ~、 だめ ・・・ 」


「え? 駄目なの? ・・・ 」


「もう 、バカ! ・・・ 良いって意味の「だめ」なの。 ひろしを ・・・ 全部ちょうだい! 」


ひろしは知ってる女性は母親や親戚の人ばかり ・・・ 女性の意味深な言葉など分からなかった。


二十歳そこそこのひろし、タ~~ップリめぐみの奥深くに注ぎ込んだ。



初めての二人、抱き合ったまま眠ってしまった。

狭い寝袋は好都合だった。



めぐみがひろしに、ツンツン。

「ねえ、 ひろし ・・・ 赤ちゃん出来ちゃったらどうする? 」


「めぐみも赤ちゃんも幸せにする。」


「じゃあ、あなたの部屋に引っ越すことにするわ。 ねえ、参考書に挟んだメモと、何か書くものを貸して ・・・ 」

めぐみはメモの空いた部分に、何かを書き込んだ。

「うふふふ・・・ 呪文、出来たわ。」


「呪文って、魔法なの?」


「そうよ、私は魔法使いなの。 それでも、私と一緒になってくれる?」


「面白そうだね。 魔法使い ・・・ 。 でも、僕はめぐみが良いんだよ、 僕ものに、僕だけのものなってくれ!」


「勿論よ。 わたし ・・・ ひろしだけのものに、なって あ・げ・る。 」

そう言って、めぐみは嬉しくてひろしを抱き締めた。



「じゃあ、ひろし! 外に出てるもの全部テントの中に入れてくれる。」


「え? 何で? 」


「あなたと一緒におうちに帰るの! 」


「そ、そんな事が出来るの?」


「力のある魔女なら、口づけくらいで出来るんだけど、 私の場合は、ひろしに思いっ切り、愛してもらわないと、この魔法は出来ないわ。」

そう言うと、めぐみはひろしの普段サイズに戻ったものを掴んだ。

「さあ、昨日以上に私を愛してね。」

そう言って、優しくしごいていると、直ぐに昨日より大きくなった。


「お、俺って、節操が無いみたいだな?」


「ひろし! いい! それは私にだけよ! 」


「当り前だよ! めぐみ以外、愛するものか!」

ひろしがそう言うと、更に硬く大きくなった。


「さあ、ひろし! 一緒に帰ろう ・・・ 」



ひろしはめぐみを抱いた ・・・ 優しく、優しく、強く、強く、大事な大事な宝物を扱う様に ・・・



暫くすると周りは白くぼやけ、ひろしがめぐみを最大限に愛した時、めぐみが握ったメモが光り出した。

直ぐに二人を包んだテントごと光り輝いて、ひろしのテントのあった場所には、何も残っていなかった。



山の秘密のテン場から消えたテントは、東京のひろしの部屋に現れた。

何度も、改修・模様替えを繰り返したが、今のゆたか達の部屋である。



「ふ~ ・・・ 上手くいったわ。 でも、この魔法、疲れて大変 ・・・ 」

めぐみはひろしに抱かれたまま、暫く動けなかった。


「め、めぐみ、 大丈夫?」


「ええ、 ちょっと休ませて ・・・ 」

めぐみは持っている魔法の力の全てと、ひろしから受け取った愛の力の全てを使い切っていた。


ひろしはめぐみを抱き上げ、ベッドに優しく降ろした。

お湯で温めたタオルで、めぐみの身体を優しく拭いて、掛け布団を掛けると、唇に優しくキスをした。

そこには、安心しきって眠っている可愛いめぐみが寝息を立てていた。



ひろしは広げたままのテントなどを片付け、寝袋を裏返して窓辺に干した。

めぐみの腰の下に敷いたタオルには、めぐみから出た赤い印が残っていた。



1階の台所に何か食べるものを探しに行くと、母親が朝食の準備をしていた。


「あら、帰って来たの?」


母親が驚いていないのが不思議だった。


「実は、 ・・・・・・ 」

ひろしは、昨夜の事、今朝の出来事を全て正直に話した。


「俺、学生だけど、めぐみさんと結婚します。 もしかすると、子供が出来ているかも知れない ・・・ 」


「ふ~ん、そう。 まあ良いわ。 その代わり、絶対にめぐみを幸せにするのよ! それが出来ないんだったら、お前をぶっ殺すからね!」

自分の母親ではなく、めぐみの母親に言われている様だった。



トイレに起きた父親にも言われた。

「めぐみちゃんがうちの娘になったのか~~ 、良くヤッタ!  向こうの家に一緒に挨拶に行こう。」


ひろしは思った ・・・ よく分からない両親だな ・・・ でも、結婚に賛成してくれたんだ ・・・ 。


「オヤジ! オフクロ! 有り難う!」

深々と頭を下げた。



暫くすると、復活しためぐみが現れた。

「おじ様、おば様、お早うございます。 もう、ひろしさんが凄くって、 えへへへ ・・・ 」

「私達、結婚する事にしました。  と言う事なので、これからはおとうさん、おかあさんって呼びますね。」

めぐみ、あっけらかんとした女だった。



ひろし、スーツに着替えて、めぐみと父親を連れてめぐみの家に挨拶に行った。


ひろし。

「めぐみさんと結婚させてください。」


ひろしの父親。

「結婚したら、うちの嫁というよりうちの娘ですから、大学の授業料は、三浦の方で払わせていただきます。」


めぐみの父親。

「へ~、 ひろし君、めぐみをもらってくれるんだ。 宜しくね!」


めぐみの母親。

「良かったわね~。」


拍子抜けするほど、簡単に話が終わった。



ついでにひろし、「大当たり」でめぐみが妊娠していた。


学生結婚、めぐみは大学に通いながら出産し、子供を育てた。

めぐみの妹が同じ大学の同じ学部に居たお蔭で、サポートは完璧。

大学生の長い夏休みに出産した。


めぐみは子供を乳母車に乗せて、大学に通った。

子供好きが揃っていた情報工学のゼミの部屋は、託児所として機能し、授乳室も用意されていた。


その時に生まれたのがゆたかの姉、ヨーコである。



ひろしはめぐみの一歳年上で、先に就職した。

就職試験のペーパー試験は、ほぼ満点で、面接でも受け答えは素晴らしく面接官に好印象を与えた。

結婚していること、子供が居ることを正直に明言した。

大学の成績も優秀、入社試験も完璧、 問題無く就職が決まった。


めぐみは子育ても忙しく、就職はしなかったが、パソコンを持ち歩いて何かしらの仕事にありついていた。

ただ、ひろしが出張する時は必ず一緒に行動し、転勤の時もひろしを単身赴任にはさせなかった。



めぐみの妹のひとみは、大学の時に姉と一緒に三浦家に来る事が多くなり、ひろしの弟のつとむと仲良くなった。

ただ、二人が結婚したのは大学を卒業してからだった。





沖縄の夜の浜辺を歩きながら、めぐみは言った。

「色々あったわね ・・・ 」


「ああ、でも、今でも、いや、今の方があの頃よりめぐみを愛しているよ。」


「ふふふふふ・・・ わたしも ・・・ 」



「今日はホテルのイタリアンを予約してるんだ。」


「うふふ。 じゃあ、恋人同士に戻って、って、 私達、直ぐ一緒になっちゃたわね ・・・ 」


「じゃあ、今から恋人同士で良いじゃないか? 」


二人は腕を組んで、ホテルのレストランに向かった。



食べるものが何であれ、二人はタ~プリお酒を堪能したのである。



ホテルの部屋に二人で戻ってきた。

「めぐみ! 愛してるよ。」


「わたしも ・・・ 」


今日も、そのまま、二人でベッドに倒れ込んだ。


ナオミが戻ってこないので、二人は今夜もタップリ愛し合った。



・・・・・・・・・



その頃、ナオミは東京の家のキッチンで、今日も夕食を作っていた。


そして、ゆたかの会社の終業時間前にメール連絡をした。

「今日も一緒に、夕ご飯、食べようね。」


メールを受け取った俺。

・・・ 今日もナオミが家にいるんだ ・・・

早速、仕事をするフリをしながら帰る支度をして、終業のチャイムと同時にダッシュで会社を後にした。

今日も、楽しく家に帰った。


駅の駐輪場から、今日も自転車で猛ダッシュ!


扉を開けて「ただいま~」と声を掛ける。

「おかえり~」と返ってくる。

やっぱり、電気が点いた明るい家の中は嬉しい。


扉の施錠をして、手を洗い、シッカリうがいをする ・・・ 今時の基本である。

着替えをしてキッチンのナオミに抱きついた。

いつもの優しいナオミだった。

これを幸せと言わないで、何が幸せなのだろう?


ダイニングのテーブルに並んだのは、お魚メイン。


「今日、お魚、特売だったんだ。」


「お刺身、凄いね。」


「うふふふ・・・ わたしは今日、日本酒にするんだ~。」


お酒を楽しめるヤツは羨ましい。

「じゃあ、ウーロン茶で付き合うよ。」


二人の仲良しの夕食が始まった。


「貝のお刺身、沢山乗ってるね。」


「ほら、サザエの壺焼きも出来てるよ。」



ナオミが美味しそうに日本酒を飲む。

嬉しそうなナオミを見ていると幸せである。


楽しい夕食が終わって、二人で後片付け。

二人でやると、片付けも早い。


二人でリビングでコーヒータイム。

「チョコレートケーキ、買っちゃった。 新製品なんだって。」


「本当だ。 あんまり甘くなくて美味しい。」


楽しく二人の夜は更けていった。




ナオミのスマホが現れた。

必要な時だけ現れる「優れもの」である。


「ユタちゃん、ご免。 緊急の連絡が入っちゃった。 チョットだけ出掛けてくるね。」

ナオミはゆたかに気を遣って、目の前ではなく2階の自分達の部屋へ行って、消えていった。




ナオミが現れたのは沖縄の基地の近くだった。

ただ、いつものナオミではなく、黒のミニスカスーツに黒のハイヒールだった。


街灯の少ない薄暗い基地近くの金網を背に、女の子が米兵に囲まれていた。

側には女の子の自転車が倒れていた。


高校生の女の子で魔女だったが、普通の若い魔女の様に男嫌いではなく心が優し過ぎるのか、それが災いした。

冷静でいればアメリカ人の兵隊が何人いようが、叩き潰すのは魔女にとって造作もない事だったが、パニクってしまった。

幸い、ナオミがプレゼントした腕輪が、この子の緊急事態をナオミに知らせた。



背後の明るい光に、米兵達は気が付いた ・・・ 漆黒の闇の中から、次第に明るくなる光を纏った女に ・・・


所々にある街灯のみの薄暗い灯りの中なのに、黒のミニスカスーツで身体の線が強調されたナオミは、妖艶な炎の様に光り輝いていた。


優しいいつものナオミではなく、冷酷な魔女のオーラを纏ったナオミだった。

いつもの温かさのある顔ではなく、顔に触れれば触った指が凍傷になってしまいそうな冷たい微笑みを浮かべていた。


男達にはそのオーラが、妖艶に光り輝いている様に見えたのであろう。


男達は、目の前の高校生からナオミを襲うことに考えを変えた。


男達が動き出すより早く、ナオミの右腕が横に動いた。

冷たく空気が切り裂かれる様な音がした。


それだけの事だった。


もう、そこには高校生の女の子とナオミしかいなかった。

男達も、男達が乗っていた車も、そこには残っていなかった。


「さあ、おうちに帰ろう。」

もう、黒いミニスカスーツとハイヒールではなく、トレーナーとジーンズを着てスニーカーを履いて優しい微笑みをたたえたナオミがいた。


「本当は、自転車の二人乗りは駄目なんだよ。」

そう言いながら、女の子を後ろに乗せたナオミが自転車をこぎ出した。


暫くして女の子の家に到着。

ナオミは女の子を抱き締めた。

「ナオミお姉さん、ご免なさい。 塾の帰りが遅くなったので近道したんだけど ・・・ 」


「うふふふ・・・ 何でもないよ。 急ぐ時ほど「安全第一」ね。」


ナオミは女の子の頭を撫でると、夜の闇の中に消えていった。

ナオミに頭を撫でられた時、女の子の中から米兵に襲われた時の記憶が消えて無くなっていた。



米軍の基地の中で交通事故の様に車が潰れ、乗っていた男達が再起不能の大けがをしたが、基地内の話なので新聞にも載らなかった。




今日二度目の沖縄から戻ったナオミが、階段を降りてきた。


「ナオミ、洗濯は終わったの?」


「うん。 もう全部干しちゃった。 後はユタちゃんとわたしの分だけ。」


「さあ、お風呂のお湯も貯まったみたいだから、みんな脱いで。」

そう言いながら、ナオミも服を脱ぎだした。


昨日と同じに水着を着ていた。


今日も、ナオミの脱いだ水着だけは洗濯ネットに入れ、他はそのまま洗濯機の中に・・・



「さあ、 お風呂、入ろう!」


そういう事で、今日も二人でお風呂タイム。


お互いで身体を洗い合う ・・・ 今日も嬉しい。


綺麗に洗って、湯船にいつも通り向かい合って入る。


今日もナオミが可愛い ・・・ 少し日焼けの度合いが上がっている様だが ・・・



湯船に浸かって、ナオミをじっと見てしまった。

今日も恥ずかしそうに下を向いた。

「もう、ゆたかったら ・・・ ゆたかはいっつも素敵なんだから ・・・ 恥ずかしい ・・・ 」


「有り難う、 ナオミのお蔭だよ。」


「そうよ。 わたしはいっつもゆたかの為に頑張っているんだから。」

ちょっと自慢げに顎をあげた。


「ナオミは、どこから見ても、可愛いな~~。」


「有り難う。 ・・・ ねえ、早くベッドに行こう。」



丁度終わった洗濯物を干して、二人で2階に行った。



ベッドに二人で腰掛けた。


横を見る ・・・ ナオミ、風呂上がりの本当のすっぴんなのに綺麗である。

「ナオミ、綺麗だよ。」


ナオミ、恥ずかしそうに下を向いた。


優しくナオミの顎を指で持ち上げ、口づけをした。




以前、オフクロに聞いた事があった。

オフクロは優秀な魔法使いで、能力的には魔女を越えているところもあるという。

そのオフクロが言うには、一番魔力を消耗するのは「人を移動させる」ことらしい。

物を移動するならそれ程でも無いが、人、特に自分自身を移動させるのは、魔力の消耗が激しいらしい。



口づけした後、ナオミを正面から見た。

じっと見つめると、恥ずかしそうに目をそらすが、日焼けしていて分かり辛いが、少し疲れていいる様に感じた。


優しくナオミをベッドに寝かせて、髪を梳きながら頭を優しく撫でてやる。

直ぐに俺の腕の中で、安心しきったナオミの可愛い寝息が聞こえ始めた。



いつも俺の為に頑張っているナオミに感謝して、眠りについた。


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