162 実家-2
実家-2
一方、ナオミの実家です。
孫のゆういちが一緒に寝てくれると思った、ナオミの父親キョウジです。
ゆういちとしては「遊び相手」が欲しかったのです。
ナオミの母親は娘のナオミと「お話」がしたかったのです。
「何を」ではありません。
何でも良いのです。
でも、父親の方は違います。
自分の子供は女の子が二人。
そして「奥さまは魔女」なのです。
魔女は「絶滅危惧種」ですから絆は強く、よくみんなが集まります。
勿論、魔女や鬼女や魔法使いですから、「女性」ばかりです。
そこで、自分の娘、ナオミに生まれたのが男の子のゆういちなのです。
父親は嬉しくてたまりません。
まだ、言葉が喋れないゆういちに父親は聞きました。
「今夜、ママジイジと一緒に寝るか?」
ゆたかの家では、以下の様な呼び方になっています。
ジイジとバアバ ⇒ ジイジとバアバ
おとうさんとおかあさん ⇒ おとうさんとおかあさん
ゆたかとナオミ ⇒ パパとママ
呼び間違えるといけないというよりも、おかあさんが「バアバ」と呼ばれたくなかったのだと思われます。
因みに、きららは「おばちゃん」ではなく「おねえちゃん」です。
そんな事を、ゆたかの母親から聞いていたナオミの母親です。
自分の家では、こう呼ぶことにしたのです。
おとうさん ⇒ ママジイジ
おかあさん ⇒ ママバアバ
ところで、ナオミの実の姉のヒロミはこう呼ばせようと躍起になっています。
「ママ・ネエネ」
きららと一緒で、「おばさん」とは呼ばれたくないのです。
でも、ママであるナオミの姉ですから、ちょっと無理があるのでは ・・・
口が回らないゆういちですので、こう言います。
「マ~ジ~」
でも、ママジイジは大喜びです。
因みにナオミの母親にはこう言います。
「マ~バ~」
「今夜、ママジイジと一緒に寝るか?」
こう言われたゆういちはこう言いました。
「マ~ジ~」
ママジイジは「OK」と思った様ですが、ゆういちは違います。
ママジイジがたくさん買ってくれたオモチャの中から、「木製ブロック」を持ってきたのです。
勿論、「遊んでくれ!」という事です。
以前ゆたかが何時間も「ブロック崩し」で遊んであげましたが、今回も一緒です。
ナオミは、実家に来たので料理も片付けもしません。
母親から、「ゆういちを見ていなさい」と言われて、何もすることが出来なかったのです。
まあ、ゆういちが生まれる前から、実家に来ると ”のんびり” して、何にもしないナオミではあったのです。
まして、今日は父親のママジイジがゆういちと遊んでくれているので、天下泰平です。
そんな訳で、ママジイジがゆういちと一緒に寝てくれるというので、ゆういちをお風呂にいれて、オッパイをあげたら、ナオミは寝てしまいました。
何かがあれば、母親が起こしてくれるだろうと思ったのです。
久々の実家の自分のお部屋です。
母親が ”そのまんま” にしてくれています。
ベッドに転がります。
いつもは、ゆたかが横にいないと寂しくなるのですが、実家だと違います。
いつもはゆたかにしがみ付く様に寝ていたのですが、実家のベッドでは「大の字」で寝てしまいました。
まあ、ゆういちの喜ぶ声が聞こえたので、安心して寝てしまったのかもしれません。
延々と、ゆういちとママジイジが遊びます。
片付けが終わって、暇になったママバアバも加わったのです。
何時間でも、飽きずにブロック崩しを続けました。
もう、次の日になるかという時間まで続けたのです。
ゆういちが喜ぶので、ママジイジもママバアバも、止められなかったという事でした。
途中で、ママバアバがナオミに助けを求めに行こうとしましたが、ゆういちがこう言ったので動けなくなってしまったのです。
「マ~バ~ ・・・ いっちょ!」
(いっちょ = 一緒)
もう、ママバアバは嬉しくなって、そのまま遊んでしまいました。
そんな事とはつゆ知らず、ナオミが爽やかに目覚めます。
昨夜は、ゆういちにオッパイをやって、直ぐに寝てしまいました。
ぐっすり寝たので、自然に目覚めました。
でも、いつもより遅い時間で、6時を過ぎています。
ナオミの実家の近くに、区立の運動場があります。
テニスコートと野球場です。
直線距離で同じくらいのところに小学校もあります。
運動場からは、朝6時頃からオジサンやオバサンの「嬌声」が響きます。
どういう訳か、野球をやっている声援などよりも、「下手糞なテニスのプレー(お遊び)」での声の方が大きいのです。
テニスと言っても、「競技やスポーツのテニス」ではなく、「お遊びテニス」です。
小学校で子供の声がするのは体育の授業の時くらいですが、遥かに「下手糞なお遊びテニス」の嬌声よりは静かです。
確かに、運動会の時はにぎやかですが、子供の声はそれほど気になりません。
いい歳こいた大人の叫び声は、聞くに堪えないのです。
飲み屋で騒いでいる時と、殆ど同じ様な感じの、呆れた「騒ぎ声」が朝っぱらから聞こえます。
公立の施設が近くに出来るのを反対するのは、こうした「嬌声」を上げているオジサンやオバサンではないでしょうか?
自分達の様な「うるさい連中」が、自分達の家の近くに来られるのが嫌なのだと思います。
こう言った連中は「自己中の塊」で、他人に迷惑をかけても平気ですが、自分達にそれが降りかかるのには我慢が出来ない様です。
野球場もあるので、野球をしに来る人達もいます。
野球をする人達は道具も多いので、「乗り合わせ」て車で来ます。
でも、「お遊びテニス」の人達は、「一人一台」の車で来ます。
大体、「お遊びテニス」をやる人は最低単位が「4人グループ」で、4人のうち自転車で来るのは1人くらいで、他は一人一台の車ですから、いつも駐車場は大騒ぎです。
どういう訳か、野球の様に「乗り合わせ」で来ることはありません。
時間を守る人も少なく、10分前にはテニスコートから退場する決まりですが、ギリギリまで粘っているのが「お遊びテニス」の連中で、駐車場はいつも滅茶苦茶です。
帰る時も、一般道に出るのにウインカーなど出さない「法律違反」の車が多く、よくクラクションを鳴らされています。
「お遊びテニス」の脳みそしか持ち合わせていないので、交通ルールなど無視しても平気なのでしょう。
でも、静かな時もあるのです。
大体、土曜日か日曜日や祭日です。
テニスをやりに来る人がいるのですが、人種が違います。
「お遊びテニス」ではなく「スポーツのテニス」です。
テニスの競技大会で、「○○番の✖✖さん、受付にお願いします。」のアナウンス以外の声は聞こえません。
本当のテニスは「静かな競技」なのだと気付かされます。
そして、決定的違いがあります。
「スポーツのテニス」の人達は、殆ど車で来ることはありません。
健康の為にテニスをしているのですから、自転車か公共交通機関を利用しているのです。
ですから、「スポーツのテニス」と「お遊びテニス」とは、根本から違うのです。
多分、頭の内部構造からして違うのだと思います。
朝、6時過ぎだと、いつもは「お遊びテニス」の嬌声が聞こえるのですが、今朝は静かです。
台所に行くと、母親が起きていました。
何となく、目の下にクマがある感じです。
ナオミ。
「おはよう。 今朝は静かだね。」
母親。
「今日は、テニスの試合だからじゃない?」
ナオミ。
「ゆういちはどうだった?」
母親。
「午後12時頃まで ”ブロック崩し” をやらされた ・・・ あと ・・・ 」
ナオミ。
「あと?」
母親。
「ゆういちを、とうさんとかあさんの間に寝かせたの。」
ナオミの両親の部屋は畳で、布団を敷いて寝ています。
ナオミ。
「良かったわね~」
母親。
「夜中じゅう、蹴飛ばされたわ ・・・ 」
ナオミ。
「へ~ ・・・ わたしは、そんな事ないけどなあ~ ・・・ 」
母親。
「お前のとこは、ベビーベッドで寝かせているからよ。」
実際は、シッターであるワンコのタロウやニャンコのクロがいるからなのです。
とくに、ワンコのタロウであれば、蹴飛ばされても動じません。
ニャンコのクロは、本能的にかわす事が出来る様です。
暫くすると、父親も起きてきました。
「おはよう。」
やっぱり、目の下にクマがあります。
ナオミ。
「もう少し寝てればよかったのに。」
父親。
「ゆういちに蹴飛ばされて、起きてしまった。」
久し振りに、のんびり実家で朝ご飯を食べたナオミです。
何もしないで、「上げ膳据え膳」です。
ゆういちは、ママジイジが抱っこしています。
夜中蹴飛ばされても、孫は可愛いのです。
ゆういちに離乳食を食べさせますが、ママバアバが食べさせてくれました。
父親、いや、ママジイジが嬉しそうに見ています。
夜遅くまで遊びに付き合わされても、寝ているところを蹴飛ばされても、孫のゆういちが大好きなママジイジです。
ナオミがゆういちを連れて電チャリで帰る時、ママジイジは泣いてしまいました。
「グスン・グスン ・・・ また、おいで ・・・ 」
でも、単身赴任で月に1回しか、東京に来れません。
ママジイジ、マジで「転勤願い」を出そうかと考えてしまいました。
さあ、お家に帰ってきたナオミとゆういちです。
みんなが玄関でお迎えです。
ゆういちをジイジが抱っこして、バアバに渡します。
バアバが抱っこしてからおとうさんに渡します。
おとうさんが抱っこしてからおかあさんに渡します。
おかあさんが抱っこしてからきららに渡します。
ゆういちは、みんなのお顔を可愛いお手手でペチペチ叩きます。
みんな大喜びです。
ゆたかはワンコのタロウとニャンコのクロを連れてきました。
きららがゆういちを床に置きます。
タロウは「伏せ」の姿勢を取ります。
ゆういちは慣れた感じで、タロウの背中に跨ります。
クロがゆういちが落ちない様に、絶妙なサポートをします。
タロウが立ち上がって、この家の「王子様」の凱旋パレードです。
ダイニングや色々を回ってきて、みんなが座ったリビングのテレビの前を、偉そうに通過します。
いつもは、タロウがテレビの前を横切ると、みんなから文句を言われます。
ワンコのタロウは ”超大型犬” なので、テレビが見えなくて邪魔なのです。
でも、今は違います。
背中に「ゆういち王子」が乗っているのです。
ワザとなのか、いつもよりユックリとテレビの前を歩きます。
最後に大きい尻尾を暫く振って、二階のゆういちのお部屋に行ってしまいました。
誰も文句は言えません。
ジイジもバアバもおとうさんもおかあさんもきららも、「ゆういち王子」の下僕です。
ゆういちがタロウの背中から落ちない様にゆたかが後ろから付いて行きますが、クロのサポートで何の問題もなく階段を上がり切りました。
思わず、大型犬用の「鞍」がないのか考えてしまう ”ゆたかパパ” です。
お部屋の扉をゆたかが開けると、ゆういちとタロウとクロがお部屋に入っていきました。
わざわざ、ゆたかが開けなくても、レバー式のハンドルなので、タロウもクロも、事も無げに開けることが出来ます。
タロウから降りたゆういちとタロウとクロが抱き合っています。
タロウに舐められ、クロにスリスリされて、ゆういちは満足げです。
ゆういちにとって、タロウとクロが一番のお友達なのです。
お部屋の入り口で父親のゆたかが見ていると、母親のナオミが来ました。
実家に行ったのですが、いつもの事なので「普段着」です。
お着替えではなく、ゆたかを追ってきたのです。
ナオミがゆたかに抱き付きます。
「嬉しい!!!!」
実家にいると大丈夫なのですが、この家に帰って来ると「駄目」になってしまうナオミです。
「僕も ・・・ 」
そうして、二人でキスをしようとしたのです。
いつもの様に、唇どうしが重なりません。
二人とも、モチモチの柔らかいものにキスしたのです。
「だあ~~~!」
二人の間には、大喜びのゆういちがいました。
ゆういちのお手手が、ゆたかとナオミのホッペをペチペチ叩きます。
ゆういちは、ワンコのタロウの頭の上に載って、二人の間に割り込んだのです。
ゆういちのお尻をニャンコのクロが支えています。
残念ながら?、二人が愛し合うのは、今夜に順延です。




