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駄目(俺+魔女)  作者: モンチャン
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159 新しい魔法-2




新しい魔法-2




いつも書いていますが、ナオミは真面目です。

ゴミの処理?の魔法を新しく作ってしまいましたが、ただの「報復」でしかないのが気にかかります。

建設的な魔法にしたいと、考えてみました。


「建設的」とは、現状をより良くしていこうとする積極的な ”さま” 、積極的な態度で望む ”さま” を意味する言葉です。

「前向き」や「ポジティブ」などが類語として挙げられ、「破壊的」がその対義語となり「ネガティブ」も対義語になるのかと思います。


特に今回の「ゴミの処理」は、本当の「ゴミ」と、クズ人間の「ゴミ」の二つが掛かっているのです。


今回の魔法で、掛けられた人間が真っ当な行動が出来る様になるべきではないかと考えて、少し手直しをする事にしてみました。


今回掛けた魔法は、その時だけで終わりになるものでした。


バカ女は、電動キックボードに乗りながら、ペットボトルを再び捨てる事が出来るのです。

バカ男は、ゴミの収集日のルールを守らないで、再び生ゴミを決められた日以外でも捨てる事が出来るのです。


ナオミは、魔法を掛けられたクズ人間が少しは「真人間」になる様に、ゴミの処理が出来る人間にしたいと考えました。

つまり、また同じ事が起きてしまうのです。


ナオミは「その時だけで終わる魔法」から、「継続的な魔法」に手直しをしてみました。


どこに住んでいるのかは分からなくても、一度魔法を掛けた相手を探すのは造作もない事なのです。

「掛けた魔法」が掛けられた相手を覚えているのです。


「悪い事をすれば、自分に返ってくる」という事と、「良い事でなくても普通の事をすれば、普通に生きていける」という事を念頭に、作った魔法を手直ししていきます。

二階の自分達のお部屋のパソコンで作業をします。

お部屋の中では、ゆういちとワンコのタロウとニャンコのクロが遊んでいますが、ナオミがオーラをまとって仕事をしているので、近付きません。

最初のうちはゆういちがママの側に行こうとしましたが、シッターの二匹が止めます。


ナオミが何をしているのかを、二匹は分かっているのです。

以前に、ワンコのタロウとニャンコのクロがお部屋に来て、静かにナオミの作業?を見ていたのです。

クロは、特等席のタロウの頭の上に乗って見ていたのです。


もしかしたら、「ゆういちの面倒をみれないの?」とナオミに怒られてしまうかもしれないと思っているのかもしれません。

その証拠に、ゆういちのオムツの交換も、手際よく二匹でやっていたのです。



ナオミは考えます。

上手く作れば、サンプルとしてこんな魔法をパソコンで作る事が出来ると、世界魔女会議で発表出来るからです。

「教育的な魔法」の方が ”格好良いな” と思っていたのです。

「報復」だけで作った魔法では、インパクトがないのです。



まず、同じ事をすれば同じ事が起こる様にします。


ペットボトルを捨てれば、捨てたペットボトルが口に戻ってくる。

生ゴミの袋を決められて日以外に、決められた場所以外に捨てれば、生ゴミの袋が自分の手元に戻ってくる。


とにかく、飲み終わったペットボトルは決められた回収ボックスに入れれば何も起きませんし、決められた日に生ゴミを所定の場所に出せば何も起きないのです。



「おバカの女」の確認をします。

また、ペットボトルを口に突っ込んで、電動キックボードでガードレールに突っ込んでいました。

懲りない性格の様です。


次に確認すると、また、ペットボトルを口に突っ込んで、電動キックボードでガードレールに突っ込んでいました。

どうしようもない性格の様です。


そのまた次に確認すると、電動キックボードに乗っていません。

魔法で調べてみると、電動キックボードはレンタルで、レンタル会社からこのバカ女は「利用禁止」になった様です。

3回も「不注意」で電動キックボードを壊されたのではかないません。

まあ、よく何回も貸してもらえたという方です。


でも、自分で自転車を買うという選択肢ではなく、レンタルの電動自転車に乗っています。

色々なレンタル自転車の会社を渡り歩いている様です。


本当は、ペットボトルを適正に捨てれば問題は起こらないのですが、どうしても運転しながら何かを飲んで、その容器を投げ捨てたいのが止められない様です。


もうナオミは呆れ返って、 ”サンプル” にするのを止めました。


ですから、ペットボトルを投げ捨てる ”バカ女” がその後どうなったのかを、ナオミは知りません。




そういう事で、生ごみを捨てる ”バカ男” の方をサンプルにしようと、方針変更をしました。


”バカ男” は地方出身ですが、お金持ちのお坊ちゃまです。

叱られたことなどなく、生きてきた典型の様な男です。


「叱る」と言いますが、間違えた事を指摘する事も「叱られた」と考える愚か者が多くいます。

間違えた事を指摘されるのは「注意される」といって、教育の一つです。

そんな事も分からずに、家庭でも学校でも ”のほほん” と生きてきてしまったのでしょう。


会社に入って、間違った事をすると「教育的指導」をされます。

家庭や学校で間違えた事をしても、それは「自分が困る」だけなのです。

でも会社に入れば、間違えた事は会社に「不利益」を与える事になるのです。

ですから、会社でミスを犯せば「教育的指導」をされます。

指導する人にもよるのでしょうが、「叱られた」と思う様な人は、本当に叱られたことが無いのでしょう。


会社での不利益はその人だけでは済みません。

小さい事の様に思うかもしれませんが、「小さい事も出来ない会社」は大した事のない会社なのです。

大した事のない会社は「信用出来ない会社」とみなされます。


信用を得るのには何年も何十年もかかる事がありますが、信用を失うのは「一瞬」です。

シッカリした会社ほど、その事を知っています。

ですから「教育的指導」を行うのです。


最終的には、利益を確保していたいという事になるのかもしれません。

「金儲け」と言うと「汚い」と思う人がいる様ですが、今の時代に限らず、お金を儲けてそのお金で生きていくしかありません。

ですから、自分で商売したり、会社に入ったりして、お金儲けをするのです。


農業等をやっていても同じです。

お米を作っていればお米は食べ放題でしょうが、お米以外を欲しいと思えばお金が必要です。

作ったお米を売って、お金に変える必要があるのです。

今の時代、特に日本では自給自足は不可能に近い状態なのです。



そんな親の苦労も知らずに、会社に入ってしまった ”バカ男” なのです。

実家にいる時はお小遣いをもらえましたが、会社に入ったので親からの仕送りはありません。

”バカ男” は湯水のごとくにお金を使っていたので、節約を始めたのです。

その一つが、自転車を「規定の自転車置き場」ではなく、駅の近くの適当なアパートの自転車置き場に置いて行く事なのです。


しっかり教育を受けてこなかったのか、本人が受けるつもりがなかったのか、自分さえよければ他人はどうでもよいと考える「大人」になったのです。


週に一回は、懲りずに生ゴミを持って歩いていました。

ルール通りにゴミを捨てていれば、ナオミの魔法が発動する事はありません。

この ”バカ男” ルールを守るつもりはないのです。


ゴミ出しのルールも守れない ”バカ男” なのです。

会社でも「使い物にならない」と評価されていました。


一応、政治家のお声がかりで入社したの男なので、辞めさせるわけにもいかず、 ”バカ男” の地元に転勤させる事になりました。


「転勤を拒否する」ことは可能だったようですが、ゴミ出しのルールも分からない ”バカ男” なので、会社のルールなど分かる筈もありません。


辞令を受け取って、少し早めにアパートに帰ろうと、いつも不法に自分の自転車を停めているアパートに行くと、しっかりチェーンを撒かれて、張り紙がしてありました。

「不法駐輪です。 下記の電話番号まで連絡する様に。」


”バカ男” は「ラッキー」と思いました。

自分の地元では自転車ではなく自動車に乗るつもりで、自転車をどうやって捨てようかと思っていたのです。


でも、暫くして気が付きました。

今日は、歩いて帰るしかないのです。


本当は路線バスが通っているのですが、乗った事はありません。

でも、路線バスを使っている事にして、「通勤費」を会社から貰ってはいたのです。



そんな感じで ”バカ男” は転勤になってしまい、それ以降ナオミの地域では、いい加減な「生ゴミ放置事件」はなくなりました。




”バカ女” と ”バカ男” の動向をチェックしていたナオミですが、残念ながらサンプルにはならなかった様です。

「人間って、いい加減な奴は、治らないのね ・・・ 」

と、ナオミが溜息をいたとか ・・・



でも、ナオミが ”バカ女” と ”バカ男” の魔法を解除していないので、口にペットボトルを突っ込んでいる女や、通勤の時に生ゴミの袋を持って歩いている男がいるかもしれません。






ナオミ、開き直ります。

「サンプルなんか、どうでもいいや。 それよりも ・・・ 」

ナオミは、身近な人に魔法を掛けようと思いました。


でも、昔、「思い付き」で掛けてしまった魔法で、愛する人に会えなくなった「失敗」がありました。

ですから、今回は慎重です。

パソコンで「新しい魔法」を作る時は、色々なパターンの変化をつけてシミュレーションが可能なのです。

「仮想空間」で、魔法を掛けた時にどうなるかを、確認出来るのです。

「新魔法作成システム (仮称)」 ・・・ 優れものです。



ナオミが新しく考えた魔法は、「夫にもっと愛してもらう」というものです。

シミュレーションでは、ナオミ自身でも恥ずかしいほど愛してもらえました。

「よし! これをユタちゃんに掛けて、もっと愛してもらうんだから ・・・ 」


でも、このパソコンで作る「新魔法作成システム」には、 ”安全装置” がつけられているのです。

もし、魔法が思惑通りでない場合には、「直ぐに解除出来る魔法」を同時に作ってくれる ”優れもの” なのです。


勿論、過去の様な失敗をしない様にと言う「学習効果」がはたらいているのです。




夫と愛し合った後、夫のゆたかが寝てしまってから、こっそりと「新しい魔法」を夫に掛けます。


もう、ナオミはワクワクしています。

明日からは、もっと、夫に愛されてしまうからです。

いつもより、強く夫にしがみ付いて眠ります。

でも、なかなか寝付けません。


でも、主婦・ナオミは日中は忙しいのです。

もしかしたら、眠れないのでは ・・・ などと思いながら寝てしまいました。

「うふふふふ ・・・ 」と、嬉しく笑いながら寝てしまいました。



翌朝、ナオミはいつも通りに起きました。

ご機嫌です。

きっと、良い事があると信じているからです。


夫のゆたかにキスをして、朝食やお弁当の用意を始めます。

ちょっと、変化がありました。

夫にキスをすると、抱き締められたのです。


「よし!」

ガッツポーズをしてから1階のキッチンに向かいます。


ゆういちは、ワンコのタロウがベビーベッドの近くにいるし、夫のゆたかもいるのでそのままです。


夫が顔を洗って、着替えて、食卓に座りました。


ゆたか。

「ナオミ、おはよう。 今日も可愛いね。」


ナオミ。

「お、おはよう。」

いつも通りなのですが、ドキドキしてしまいました。


「美人」とは言われますが、「可愛い」と言ってくれるのは夫のゆたかだけなのです。


夫の前に座って、朝食を食べるのを眺めます。

他の誰が何と言おうと、ナオミにとっては「世界で一番素敵で格好良い男」なのです ・・・ ?


食べ終わると、律儀な夫は食器やお箸を片付けてくれます。

そして、こう言います。

「今日も、美味しかったよ。」

いつも通りです。

でも、今日は ”オマケ” がつきました。

「愛しているよ。」


もうその言葉だけで、倒れそうなナオミです。


でも、夫は歯磨きをしに洗面所へ行ってしまいました。


ナオミはこう思いました。

「もっと、何かあっても良いのに ・・・ 」


でも、歯みがきが終わった夫に抱き締められてキスをされて、満足してしまいました。


夫は準備が終わって、お出かけです。

「玄関で愛されたりしたらどうしよう」と心配したナオミでしたが、夫の「行ってきます」以外、何も起きませんでした。


残念そうに振り返ると、ワンコのタロウの上に乗ったゆういちとニャンコのクロがいました。

一人と二匹の「いってらっしゃい」のご挨拶だったのです。


多分、夫としては、ガッツリとキスをするつもりだったのでしょう。


それに、きららも起きてきていました。

「おねえちゃん。 来週、また ”三者面談” があるんだって。」


現実に引き戻されてしまいました。


本当は、おとうさんやおかあさんが ”三者面談” に出席すればよいのですが、特におかあさんは「進学」の事については役立たずなので、兄のゆたかや姉のナオミが対応するのです。


そんな感じで、「朝の部」は終わってしまいました。



さあ、夜になって夫が帰ってきました。


ダッシュで玄関に行こうとしたナオミでしたが、先を越されてしまいました。

息子のゆういちと、ワンコのタロウとニャンコのクロです。

朝と同じ様に、タロウの上にゆういちとクロが乗っています。


「おう! 今日もお出迎え、ありがとう。」

そう言って、ゆたかは一人と二匹を抱き締めます。


本当は、自分が抱き締めて欲しかったので、ナオミのホッペが少し膨らんでしまいました。

ナオミはゆういちの母親なのですが、自分の方が夫のゆたかに抱き締めて欲しかったのです。


でも、ナオミはゆういちの母親ですから、気持ちを切り替えます。


ゆういちはそのままリビングで、タロウとクロと遊び始めたので、ナオミは夫に付いて自分達の部屋に向かいます。


いつもはしないのに、今日は夫の着替えを手伝います。

着替えが終わったところで、ナオミがゆたかに抱き付きます。

キスをします。

折角なので、ディープキスをしてしまいました。



でも、1階のおかあさんから声が掛かりました。

「ナオミ~! ごはん、冷めちゃうわよ~ ・・・ 」


どうした訳か、今日はゆたかの帰宅が一番遅かったのです。

もう、ダイニングルームには、ゆたかとナオミ以外は揃っているのです。


もしかしたら、金曜日で、要領の悪いゆたかが会社を出遅れたのかもしれません ・・・


仕方がないので、二人でみんなが待つダイニングルームへ行く事になりました。



金曜日なので、この家恒例の「宴会」です。


食事が終わったゆたかは、お酒を飲まないのでタロウと夜のお散歩です。

近頃恒例になっている、大きい背負う鞄にゆういちとクロを入れて出掛けます。


年齢的にお酒を飲んではいけないきららが、ナオミを宴会に誘います。

「おねえちゃん! 一緒にお話ししようよ。」


夫と一緒に夜の散歩も良いなと思ったナオミですが、誘われたのでソフトドリンクで宴会に参加してしまいました。

断れません。

お酒が大好きなナオミですが、お酒の肴や雰囲気も大好きなのです。



いつも、お散歩の折り返し点にあるベンチで、ゆたか達一行は休憩します。

折角なので、ゆたかが独り言の様にお話を始めます。

三人、いや、一人と二匹は、いつも ”うなづき" ながら聞いてくれます。


ゆたかと一緒にいる一人と二匹は、どんな事を話しても、他の人に「告げ口」したりしないのです。

ゆういちはまだ言葉を話せませんし、二匹はワンコとニャンコだからです。


いつもは、会社の愚痴だったりしますが、楽しくない話だと、一人と二匹に「大あくび」をされてしまいます。


今日の話題は、ゆたかの妻のナオミのお話です。

「何でかな~ ・・・ ? 今日はナオミが気になって仕方がないんだよな~ ・・・ 」

一人と二匹は興味があるかの様に、目を輝かせています。


ゆたか。

「今日は、いつも以上に思いっ切り、愛し合っちゃおうかな~~~」


一人と二匹は「うんうん」とうなづいています。

分かっているのでしょうか?


ゆたかがしばらく独り言を喋ってから言いました。

「よ~し。 じゃあ、帰ろうか。」


そうして、ゆたか一行がのんびりとおうちに向かって帰ります。




ゆたか。

「ただいま~!」

と言って玄関から帰ってきました。

外の鍵も、玄関の鍵も掛けました。


ワンコのタロウとニャンコのクロの足は、用意してあるタオルで綺麗に拭きます。


でも、誰もお迎えには来てくれません。

それどころか、まだダイニングから大きな声が聞こえます。

ダイニングでは、まだまだ、大盛り上がりです。

お酒を飲めないナオミやきららも盛り上がっています。


一番盛り上がっているのは、おとうさんです。


いつもは、ナオミはゆたかの嫁で夫にベッタリです。

きららは「おにいちゃん大好き」で、何かにつけてゆたかのところにいるのです。

その二人の「むすめ」が、今日はおとうさんの話に盛り上がってくれているのです。


もう、おとうさんは嬉しくてたまりません。

まあ、おとうさんが喜んでいるので、おかあさんも喜んでしまって、益々盛り上がってしまった様です。


ジイジとバアバは、二人でチビチビ飲みながら、投資の話で「深く静かに」盛り上がっている様です。

何をしているのかよく分からない、不思議な二人なのです。

でも、仲良しの二人なのです。



そんな訳で、誰もゆたか達に気付きません。



「まあいいか。」

そう思って、ゆたかは二階のお部屋に行きます。

ゆういちのタンスがあるのですが、「風呂上り用のお着替えセット」は、ベッドのところに用意されていました。


ゆたかは自分の着替え等も用意して、ゆういちを鞄から出して、バスルームに行きます。

ワンコのタロウとニャンコのクロも一緒です。


脱衣場にバスタオルを敷いて、ゆういちを寝かせます。

ゆたかはタロウとクロにお願いします。

「直ぐに身体を洗い終えるから、ゆういちを頼むね。」


二匹が頷いたのを確認して、ゆたかはダッシュで体を洗います。

髪を洗って、顔を洗って、身体を洗って、一気にシャワーで流します。

髪と顔だけタオルで拭いて、バスルームの扉を開けて、転がっているゆういちを抱き上げます。

ワンコのタロウとニャンコのクロは、あやすのは得意なので、ゆういちは大人しく待っていてくれました。


ゆういちをベビーソープで洗います。

たまにやっているので、父親のゆたかは結構上手です。


バスタブにはお湯が入っているので、ゆたかとゆういちの二人で入ります。

ジイジとバアバが夕食前にお風呂に入ってくれるので、お湯が入っているのです。


バスルームには、ゆういちのお風呂用オモチャもあるので、それでしばらく遊びます。


「じゃあ、上がろうか?」

ゆたかがそう言うと、ゆういちは素直にいう事を聞いてくれました。


ゆういちの身体をタオルで拭いて、脱衣所に敷いたバスタオルの上に転がします。


ゆたかはダッシュで身体を拭いて、バスルームの扉を開けると、既にゆういちは紙おむつを履いていました。

ニャンコのクロが履かしてくれたようです。


もう少しゆたかがバスルームから出てくるのが遅かったら、ベビーパジャマも着せていたのかもしれません。



ワンコのタロウも、ゆういちが暴れない様にあやしてくれていた様です。

ゆたかは、タロウとクロの頭を撫でて、「ありがとう」と言います。


自分一人だけでは、身体など洗っている暇はなかったのを分かっているのです。

ワンオペで子供を育てている母親の大変さを思い知ります。



ゆういちを抱っこしてダイニングの方に行くと、さっきよりももっと盛り上がっています。


折角、みんなが盛り上がっているので、「おやすみなさ~い!」と言って、二階に行きます。

タロウとクロが一緒なので、何の心配もいりません。



ゆういちは離乳食も始めているのです。

でも、寝る前は、いつもはナオミのオッパイです。

でもでも、今夜は違います。


粉ミルクもあるのですが、今夜は哺乳瓶と紙パック入りの「ベビーミルク」を用意します。


ゆたかの部屋には冷蔵庫があります。

昔はゆたかのプロテインドリンク用の低脂肪乳だけでしたが、そのうち、ナオミの缶ビールや缶酎ハイが入る様になりました。


今はナオミはお酒を飲まないので、ゆういち用のベビーミルクが入っています。

粉ミルク用の「お水」も幅を利かせています。


「風呂上がりの一杯」は、乳幼児のゆういちでも大好きな様で、哺乳瓶からたくさん飲んでくれます。

タップリ飲んで満足したゆういちを、ゆたかが立て抱きをしてゲップをさせました。


今夜はナオミがいないので、みんなでベッドに転がります。

ゆたか ・・ クロ ・・ ゆういち ・・ タロウの順です。

いつもはタロウかクロの片方ですが、今日は二匹が一緒です。

嬉しくてゆういちは大盛り上がりです。


ゆたかには分かりませんが、ゆういちはタロウやクロに話しかけては笑っています。


でも、二匹ともゆういちを寝かしつける天才です。

暫く三人、いや、一人と二匹で遊んでいましたが、直ぐにゆういちは可愛い寝息を立てて寝てしまいました。


ゆういちが寝ると、二匹も安心して寝てしまいました。


二匹とも「大の字」です。

ワンコのタロウは、大きいのです。

ゆたかは、隣がニャンコのクロで良かったと思いました。




ゆたかが朝起きると、隣にはナオミが寝ています。

ゆたかにしがみ付く様に寝ています。

絶対に、ゆたかを離すものかという感じです。


ゆういちとクロは、仲良くベビーベッドで寝ています。


タロウは、多分、きららに連れて行かれたのでしょう。

タロウは「超大型犬」ですが、きららの魔法の前では「子犬」と一緒です。




さあ、幸せな土曜日が始まるのでしょうか?





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