153 ちょい前-8 (1か月出張-6+)
ちょい前-8 (1か月出張-6+)
何故、ゆたかがエイ子をナオミと認識出来なかったのか?
近頃、色々な「疑わしい電話やメール」が多い所為なのです。
やたら、慎重になったのかもしれません。
現場勤務の時は「地回りのヤクザのご挨拶」がたまにあるくらいでした。
とび職等の気の荒い連中を相手にしているので、ちょっとベテランの社員になると、そのレベルのヤクザ者では相手になりません。
当然、近頃は警察との連携も上手?になって、場合によってはヤクザ者がお茶を飲んでいる間に、到着した警察官と一緒に吊るしあげてしまう感じになってしまう様です。
ゆたかは現場から設計部に異動しました。
今度は「迷惑電話」の相手をしなければいけなくなったのです。
迷惑電話を掛ける連中は、電話会社にとっては「大切なお客様」の様で、電話会社では迷惑電話対策の方法は一切ありません。
迷惑電話対策は「電話機の会社」が付加価値の機能として付けているのです。
ゆたかの勤める会社でも、電話番号は公開しています。
そして面倒臭い事に、「番号の非通知」の電話に対しても対応しなければいけないからです。
どういう訳か、役所の電話の方が「非通知」が多いのです。
現場にいる時には、電話が鳴れば受付担当のお姉さんがいなければ、ゆたかは率先して電話に出ていました。
お客さんを待たせるのは、失礼に当たるからです。
ゆたかが設計部に異動してすぐ、設計部の電話が鳴りました。
だけど、誰も電話に出ないのです。
ナンバーディスプレーで電話番号が分かっているのにです。
ゆたかは知らなかったのですが、他の人は、分かっているから出なかったのです。
よく掛かってくる迷惑電話だったのです。
設計部の電話機に、迷惑電話拒否機能が無かったのです。
ゆたかが電話に出ました。
まあ普通に、売り込みの電話です。
「〇〇部長さんはいらっしゃいますか?」
ゆたかが設計部長を見ると、両手で「バッテン」をしています。
「いま、打ち合わせで不在です。」
情報誌や、建築関係の新聞に「人事異動」の情報が掲載されているので、部長クラスの名前は公開されているのです。
これで、電話が切れると思ったのですが、残念ながら ・・・
矛先がゆたかに向かったのです ・・・ 「あんたでもいいや」という感じで ・・・
「お手頃の ”ワンルームマンション” があるんですよ。」
ゆたか。
「お金なんてありませんよ。」
詐欺屋?
「大丈夫ですよ。 どこからでも、例えば消費者金融から借りてくれてもいいんですから。」
****** 実際に筆者は、会社への売り込みの電話で、この様に言われた事があります ******
この言葉で、ゆたかは電話相手の「詐欺屋」をぶっ殺したくなったのです。
丁度、いつもの ”各部署確認作業” という「お散歩」をしていた、総務部のゆたかの姉が通りかかりました。
ゆたかが怒ってきたところで、姉のヨーコが電話機を取り上げます。
「お電話変わりました。 総務部の者ですが ・・・ 」
ゆたかには微かに聞こえますが、他の者には「 ・・・ 」の部分は聞こえません。
ヨーコがドスを効かせて言った「 ・・・ 」の部分はこうです。
「いい加減にせ~よ。 生きていたかったらな。 ・・・・・・ 」
こちらの「 ・・・・・・ 」の部分はゆたかにも分かりません。
ヨーコが「言霊」に乗せて魔法を掛けていたのです。
ヨーコの言霊の魔法は「強烈」です。
場合によっては、相手の精神が狂ってしまうかもしれません。
多分、殺してもらった方が幸せだと思います。
直ぐに電話は切れました。
電話が切れたのと同時に、ゆたかの頭にヨーコのゲンコツが炸裂したのです。
ヨーコ。
「仕事しろ!」
ゆたかは頭を押さえながら言いました。
「姉貴、 迷惑電話拒否機能の電話機に変えてくれよ。」
ヨーコ、不満げに言いました。
「部長に ”要望書” を出すように言ってあるんだけどなあ?」
設計部長が下を向いています ・・・ 忘れていたのです。
ヨーコを怖いのは、弟のゆたかだけではありません。
ヨーコは誰にでも厳しいのです。
と、まあ、そんな事があったのです。
それでも、ゆたかは ”人が良い” ので、他人を疑うのが嫌いです。
もしかしたら、頑張って変装しているナオミを嬉しく思っていたのかもしれません。
ゆたかが ”疑り深い”? ようになったのは、それだけではありません。
メール等に色々なものが来るからです。
銀行から「カードの確認」と称して、怪しいURLに誘い込もうとするヤツ。
持ってもいないカード会社から「利用確認」が ・・・
株など持ってもいないのに証券会社から「お預けの中のご確認」とか ・・・
給料から税金がひかれているのに税務署から「税金の滞納」が ・・・
よく考えれば、銀行や役所に「メールアドレス」を知らせていません。
その証拠に「名前」ではなく「メールアドレス様」になっています。
ゆたかは、「メールアドレス様」になっていて送って来るものは、迷惑メールのホルダに直接いく様にしています。
自分のパソコンだけでなく、会社のパソコンにも同じ様な「迷惑メール」がたくさん来ます。
ゆたかは工事部門ではないのに、ありそうな業者名 (鈴木とか高橋工務店等)で「請求書」や「見積書」のメールが来たりします。
工事部門の人でURLを開けてしまい、大騒ぎになった事もありました。
嫌な世の中になったものです。
それでも、会った事も無い人を「親友」と言ったり、そんな人に自分の「個人情報」を垂れ流しにしたりしてしまいます。
人を疑いたくないのですが、「疑う事」で自分を守るしかないのかもしれません。
「何故、ゆたかがエイ子をナオミと認識出来なかったのか?」としてしまいましたが、もしかしたら、エイ子に変装しているナオミを楽しんでいたのかもしれません。
でも、ナオミにこう言われたくありません。
「私以外の女の人にちょっかいを出すなんて ・・・ 」
まあ、とにかく乗り切るのです。
たった、1カ月なのです。
「 エイ子 = ナオミ 」なのですから ・・・
月曜日から金曜日までは、まるで同じ感じです。
いつの間にか、朝起きると朝食が用意してあります。
でも、たまに、ナオミが一緒に朝食を食べてくれます。
勿論、そんな時は、夜も一緒に寝ています。
少し、いや、タップリ、間違いがありました。
「たまに」が間違いです。
「殆ど毎日」が正解です。
ですから、こうなります。
でも、殆ど毎日、ナオミが一緒に朝食を食べてくれます。
ですから、当然こうなります。
殆ど毎夜、ナオミと一緒に寝ています。
土曜日は、自分一人が現場に出勤です。
そのお陰で、予定よりも早く仕事が終わりそうです。
朝食は平日と同じですが、昼食と夕食は食堂が自分の為に開いています。
日曜日は、「ナオミ」になったナオミと一日中一緒です ・・・ ?
殆ど、色々なところへドライブです。
食堂の女将さんから借りている「ホンダのツーシーター」でお出掛けです。
流石にゆたかも、エンストする事は無くなりました。
そんな感じで1カ月が過ぎました。
土曜日も頑張って?仕事をしたので、3週間くらいで仕事は終了しました。
本社の設計部のみんなも頑張ってくれたお陰です。
それでも、的確な指示を出したゆたかの仕事は評価された様です。
施工開始前の現場の仕事はいくらでもあります。
ゆたかは施工図以外の分の仕事もして、1カ月の出張は終わりました。
現場経験があり、学生時代から現場でアルバイトをしていたからです。
最後の日は、現場の所長の車で支店に挨拶に行って、電車で東京に帰ってきました。
エイ子に変装していたナオミも東京に帰ってきました。
勿論、ゆたかよりも早く帰ってきました。
だって、 ”瞬間移動” で帰ってこれるからです。
ナオミの場合は、気軽に帰ってきました。
女将さんや社長に「じゃあね。」で終わりです。
ジメジメしたのが嫌いだからです。
ゆたかがお家に帰って来ると、ナオミは玄関で待っています。
ゆたかを抱き締める為です。
抱き締めてもらう為でもありますが ・・・
毎日の様に、いや、毎日愛し合っていたのですが、東京のお家に帰って来てからも、愛し合ってしまいました。
暫くして、昼間にお家にハルミと美智子が遊びに来ました。
お出掛けしていたお土産は「エイ子」に変装していた時のお話です。
勿論、お菓子のお土産も買ってあるのですが、二人とも「エイ子の変装」のお話の方が面白かったのです。
お菓子のお土産と言ってもゆたかが買ったヤツと同じで、可もなく不可もない ”ラベル” を替えたらどこのお土産か分からなくなる様な「クッキー」なのです。
美智子。
「おにいちゃんは、おねえちゃんの変装に気付かなかったの?」
ナオミ。
「そうよ。 私の変装は完璧なんだから。」
ハルミ。
「エ~~~ 本当?」
ナオミ。
「よし! そんなに疑うんだったら、今から変装してくるから待っててね。」
そう言って、二階に素っ飛んで行きました。
ものの5分ほどで、「エイ子」に変装したナオミが登場しました。
毎日同じ変装をしていたので、手際が良くなったのです。
美智子。
「あ! おねえちゃん。 それ、あたしが捨てて言ったヤツじゃない?」
ナオミ。
「そうよ。 4次元のお部屋に置いてあったヤツ。 似合うでしょう?」
ハルミ。
「 ・・・・・・ 」
ファッションセンス抜群のハルミは声も出ません。
着ているものと金髪のウイッグとアラレちゃん眼鏡がミスマッチだからです。
ナオミ。
「これに香水を振りかけて、黒いマスクをすれば完成よ。」
ハルミ。
「その恰好で兄貴の前に出たの?」
ナオミ。
「そうよ。 彼ったら、気付かなかったの ・・・ 」
ハルミ + 美智子
「 ・・・・・・ 」
二人がどう見ても、ゆたかが気付かない訳はありません。
ハルミ。
「ナオミ姉は、 ”黒い魔女” の時はハイセンスなんだけど ・・・ 」
ナオミ。
「ああ、あれ? あれはフランスで活躍しているイタリアの魔女代表が作ってくれたの。」
ハルミ。
「ああ、なるほど ・・・ 」
ナオミ。
「この格好も、素敵でしょう? 凄い人気があったのよ。」
美智子。
「私が着てたのじゃないみたい ・・・ 」
ハルミ。
「美智子が着たら ”可愛い” けど、ナオミ姉だと ”迫力” しか感じないわよね。」
美智子。
「そうね~ ・・・ ”ド迫力” って感じね。」
ここでナオミが「オッパイブルン」をしてみせた。
ハルミ。
「ああ ・・・ そうやって兄貴を ”その気”にさせたんだ。」
ナオミ。
「そ、そうよ。」
スケベのオジサン達の前で「オッパイブルン」をしていた事は内緒にしました。
まあ、そんな感じで、ゆたかが会社から帰って来る前に、ハルミと美智子は ”瞬間移動” で帰って行きました。
ゆたか。
「ごめんね。 また出張だって。」
帰って来ての開口一番がこれでした。
ナオミ。
「また1か月?」
ゆたか。
「今度は1週間だって。」
ナオミ。
「じゃあ、大丈夫。 1カ月でも我慢出来たんだから、1週間は楽勝よ。」
という事で、またゆたかは出張する事になりました。
この前とは違う場所です。
場所は関西の都会で、ウイークリーマンションに泊まる事になりました。
さあ、出張当日です。
朝早くにお出かけです。
ナオミに「行ってきます」のキスをしてからお出かけです。
会社の荷物は会社から、自分の荷物は自宅から宅配便で送ったので、ショルダーバッグ一つです。
新幹線利用です。
そんなに混雑していないので、タブレットを見ながら、コーヒーを飲みながら寛ぎます。
タブレットで見ているのは、ビヨンセです。
この前見て気に入った「A Night with Beyoncé」です。
勿論、イヤホーンをして音漏れはありません。
約1時間の映像なので、2回見てしまいました。
途中から、ビヨンセではなく、ナオミに見えたのはいつも通りです。
新幹線の駅から在来線に乗って、支店の最寄り駅で降りて、徒歩で支店に向かいます。
今回は現場ではなく、支店でのお仕事です。
勿論、ゆたかの歓迎会などはありません。
仕事に支障が出るからです。
”ゆたかにアルコールは禁止” という「御触れ」は、全国的になっている様です。
いつもの事なので、気にせずに仕事を熟します。
終業時間が来て、初日は残業せずに、ウイークリーマンションに向かいます。
支店で契約しているウイークリーマンションで、支店から歩いて直ぐで、近くにゆたかが会員になっているジムもあります。
飲食店もたくさんあって、コンビニも近くにあります。
この前の「1か月出張」の時とは違って、食堂を探す必要はありません。
逆にどこに行って良いのか、迷うくらいです。
マンションの部屋に行くと、送った段ボールが置いてありました。
ジャケットを着替えて、ラフな格好でジムに向かいます。
時間帯が悪かったのか、大混雑です。
まず、空いているロッカー探しからです。
ジムのエリアに行くと、今度は空いている器具やマシンを探します。
空いていないので、順番に並んで待つことになりました。
取り敢えず、運動をやるだけやって終わったので、シャワーを浴びようと思いましたが、ここでもシャワー室の空き待ちでした。
とにかくマンションに戻って、荷物を置いて、夕食に出掛ける事にしました。
どこのお店も混雑しています。
普通の食堂でも、夜はお酒を出すので、呑兵衛でいっぱいです。
仕方がないので、牛丼のお店で夕食を食べる事にしました。
久々の牛丼です。
卵付きの「上下大盛」です。
食べ終わって、近くのコンビニで ”お握り” と ”サンドイッチ” と、牛乳を購入しました。
歩きながら考えます。
近くにスーパーマーケットはないのかな?
コンビニで買うと、お値段が高いからです。
マンションに帰って、シャワーを浴びて、歯を磨いて寝てしまいました。
一人ではなかなか寝付けません。
スマホを見てしまいました。
寝る前にスマホを弄ると、睡眠に悪影響があるのです。
でも、スマホを見てしまいました。
まず、ジムのホームページです。
さっき行ったジムは24時間営業なので、早起きしてジムに行く事にしました。
次に地図でスーパーマーケットを探します。
思ったよりも近くにありました。
明日、会社の帰りに寄れる場所です。
そんな感じでスマホを見ていたら眠ってしまい、スマホを顔に落としてしまいました。
忘れずに、ナオミに「愛のお休みなさい」を送って目覚ましを掛けて寝てしまいました。
一方、ナオミです。
いつも通りですが、ゆたかがいません。
ベッドが広く感じます。
ゆたかの代わりに枕を抱き締めても、眠れません。
暫くすると、ゆたかからの「愛のお休みなさい」が届きました。
「会いたい!」そう返信したいのを我慢して、「お休みなさい」だけを送りました。
ナオミの場合は「ゆたか症候群」が些か酷い様で、殆ど寝付けないで朝を迎えてしまいました。
ナオミは、朝一でハルミと美智子に連絡しました。
「今夜、飲み会をしようよ。」
この頃のハルミと美智子は彼氏もいないので、直ぐに「OK」になりました。
食堂で酒の肴を、約1か月作っていたので準備は完璧です。
三人で大盛り上がりで、ナオミはゆたかの事を忘れる事が出来ました。
一方、ゆたかです。
朝からジムに行って、運動してナオミの事を忘れようと頑張ります。
仕事の時は、仕事に没頭出来るので問題はありません。
ゆたかにとって、仕事は自分の為だけではなく、ナオミの為でもあるからです。
昼食は、支店は社員食堂が無いので、外に食べに行きます。
工事部門の同期がいたので、よく行くお店に連れて行ってもらいました。
「昼定食」のあるお店でした。
でもここのお店は、夜はお酒を出す様で、夕食は考える必要がある様です。
終業の時間になりましたが、キリの良いところまで仕事をしたら、1時間以上残業してしまいました。
帰りに、昨夜スマホで確認したスーパーマーケットに向かいます。
低脂肪乳やサラダセットを購入してお惣菜売り場に行くと、お弁当が値下げして売っていました。
昼はお肉系だったので、お魚系のお弁当を購入しました。
”お握り” も売っていたので、明日の朝用に購入しておきました。
何となく、1週間の出張のゆたかの行動パターンは決まりました。
ゆたかはマンションに帰って、お弁当を食べて、お風呂に入って ・・・ もう、やる事がありません。
テレビを見てみましたが、東京とは違うので見るのを止めてしまいました。
あまり、テレビを見ない習慣になった様です。
ベッドでゴロゴロして、「愛のお休みなさい」をナオミに送りました。
直ぐに返信がありました。
でも、ナオミだけではありません。
ナオミとハルミと美智子の三人が、グラスを持って盛り上がっている写真が送られてきたのです。
お酒は飲みませんが、「羨ましいな ・・・ 」と思いながら寝てしまいました。
盛り上がった次の日、ハルミと美智子が帰ってしまうと、ナオミは寂しくて仕方がありません。
我慢出来ずに、またハルミと美智子を呼んでしまいました。
二日連チャンで、大盛り上がりです。
三人、仲良しです ・・・
今夜もゆたかはマンションに帰って、お弁当を食べて、お風呂に入って ・・・ 今夜も、もう、やる事がありません。
テレビを見てみましたが、ヤッパリ東京とは違うので見るのを止めてしまいました。
特に、続き物の番組は見ない様にしています。
ベッドでゴロゴロして、忘れずに「愛のお休みなさい」をナオミに送りました。
直ぐに返信がありました。
今夜も、ナオミだけではありません。
ナオミとハルミと美智子の三人の写真が送られてきたのです。
今夜の写真は、昨夜と違います。
「エイ子」の格好をした、三人の写真です。
みんなベアトップに、ボロボロのジーンズのミニパンツ、そして、みんな「臍ピアス」をしていました。
動画も送られてきました。
三人一緒の「オッパイブルン」の動画です。
ナオミ + ハルミ + 美智子
「どうだ~~~ ・・・ 」
酔っぱらっていて、女性だけだとハッチャケてしまう様です。
「おやすみ」と返信しましたが、呆れて直ぐに寝てしまいました。
いや、なかなか寝付けませんでした ・・・ ビンビンになって ・・・
でもでも、その次の日も、ナオミは我慢出来ずに、またハルミと美智子を呼び出しを掛けました。
流石に三連チャンは、ハルミや美智子の親がストップをかけました。
親ですからこう言ったのです。
「若い娘が毎日毎日 ”大酒” 喰らって、どうするの?」
一応二人は、渋々ナオミに「断りの連絡」をメールで送っておきました。
それでも二人は、夜遅くなってからナオミの元に現れました。
ハルミ。
「ナオミ姉に付き合ってあげたいけど、流石に ”三連チャン” は ・・・ 親も呆れてたよ。」
美智子。
「もしかして、おねえちゃんはおにいちゃんがいなくて寂しいの?」
ナオミ。
「そ、そんな事は ・・・ この前だって、1カ月の出張の時だって我慢出来たし ・・・ 」
ハルミは、人差し指を横に振りながらこう言いました。
「チ! チ! チ! それは違います。 ナオミ姉は毎日兄貴と会ってたじゃないの。」
美智子。
「おねえちゃんは、我慢が出来なくなったのね?」
ナオミ。
「そ、そんなこと、 ・・・ ないもん!」
ハルミ。
「面倒臭い姉貴だな~。 みっちゃん、兄貴の宿泊先を探してよ。」
美智子。
「OK!」
美智子の「サーチ魔法」で、ゆたかのマンションの場所は直ぐに分かりました。
ハルミ。
「ナオミ姉。 今、兄貴は何をやっているか分かる?」
ナオミは、スマホを見て直ぐに答えました。
「うん。 ベッドに転がってる。」
ハルミ。
「みっちゃん。 姉貴を兄貴のところに送っちゃおう!」
ハルミ + 美智子
「そ~れ!」
二人の魔法で、ナオミはゆたかの元に ”瞬間移動” されてしまいました。
ゆたかが寝ているベッドにナオミが現れました。
ゆたか。
「ナオミ。 来てくれたの?」
ナオミ。
「ハルミと美智子に ”瞬間移動” されちゃった ・・・ 」
ということで、一人では眠れない二人になってしまいました。
めでたし! めでたし!
と、終わってしまいたいところですが、ナオミは誰かに似ているのです。
ナオミの親ではありません。
ゆたかの母親です。
夫が札幌に長期出張が決まった時、息子のゆたかを東京に置いて、夫と一緒に札幌に行ってしまいました。
札幌には「すすきの」という、単身赴任者には絶好の遊び場所があるので、心配したのかもしれません。
ナオミはゆたかに愛して欲しいのです。
ゆたかの母親のオッパイで育った所為かもしれません。
ゆたかもナオミに愛して欲しいのです。
ゆたかの母親の愛が、殆どおとうさんに向いていた所為かもしれません。
面倒臭い?二人なのです。




