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駄目(俺+魔女)  作者: モンチャン
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148 ちょい前-3 (1か月出張)




ちょい前-3 (1か月出張)




サンドウィッチマンの伊達みきお氏が「吊り革を両手で持ってた。何か変なこと言われたら嫌だから。結構混んでたし」と言っていましたが、ゆたかにはよく分かります。

ゆたかは、ついでに若い女性の近くではなく、オバサンの近くに立つことも忘れません。

以前、「吊り革を両手で持っていた」のに、知らないお姉さんから「何するの!」と怒鳴られたことがあったのです。

隣にいたオバサンがお姉さんに向かって「あんた、何言ってんの? この人は私の隣で両手で吊り革を持っていたのよ!」と言って助けてもらった事があったからです。


ですから、ゆたかは人間の女、特に若い女が嫌いです。

人間の女は「思い込み」が激しいのです。


極論を言えば、 ”良さげ” な男がその女のおしりを触っていても、近くにいる自分の好みでない男が「痴漢」をしていると、勝手に平気で思い込めるのです。


そして怖い事に、そんな女は常にこう考えます。

自分に都合が良い様に ・・・


交通事故を起こしても、「相手が悪い」と言い切ります。


知り合いが車を運転していた時、細い道から出てきた車にぶつけられました。

「右折禁止」を右折してきたのです。

警察を呼んだ時、その女がこう言ったのです。

「前の車と同じ様に右折しただけ。」

違反行為をしても、自分は悪くはないのです。

多分、いつも「右折禁止」を右折していたのでしょう。

最後に「右折禁止の標識自体が悪い」と言い出したそうで、呆れてものが言えなかったそうです。


男でもいますが、そういった類は女の方が多く、自分はいつも正しくて、正しくないのは「まわり」なのです。

狭い道で、もう少し左に寄れば安全にすれ違える場面でも、自分は幅寄せをせずに「相手がどけばよい」と考えます。

「おベンツ」のオーナーにもそういった人がいますが、実際は傷をつけると「修理代金」が高いのでビビっているだけです。


「いつもそうやっていたから」

「電柱があったから」

「道に物があったから」

「邪魔な歩行者がいたから」

・・・・・・・・・・・・

そんな女は、文句を言い始めたら天文学的に出せる能力があるのです。


そんな女を見過ぎた所為か、ゆたかは人間の女が嫌いです。


近頃は日傘をさす人が多くいます。

でも、流行なのか無駄に大きいサイズの傘が多いのです。

大きいのは良いのですが、何故か、前から人が来ても傘をどかさないのです。

雨の日はみんな傘をさしてる為か、「お互い様」の様にどくくせに、日傘の時はどかない女が多い様に感じます。


そんな女に限って、ちゃんと傘をさしていないので、顔くらいしか日傘の役目をしていません。

何故か、他人の邪魔になる様に傘をさしています。

まあ、雨の時も、荷物や鞄に雨が掛かっても平気で、状況を理解出来ない人なのだろうと思います。


そんな女に限って、傘のサイズが大きいのです。

そんな女に限って、前から人が来ても傘をどかさないのです。

当然、自分の傘が他人にぶつかっても、謝る様な事はありません。

良くて「無視」、最悪は「チ!」っと大きな舌打ちをします。

常に、自分は悪くないのです。


男の人も近頃は日傘をさすようになりました。

ゆたかも日傘をさして、そんな女が来たら、相手の傘を叩き飛ばしてやろうかと考えています。


でも、雨でもないのに傘をさすのが面倒なのです。



「愚痴」だらけになりました ・・・

もう少し続きます。



何かの事件が起きた時、「子供の証言」は採用されません。

子供の認識能力が「アヤフヤ」という事もありますが、もう一つ理由があります。

子供が母親の意見を「鵜呑み」にするからです。

母親がその子に「犯人は、あの人よ!」と、子供の意識に「自分の思い込み」を刷り込みます。


特に男の子は、母親の擦り込みに弱いのです。

逆に、女の子は小さい時から「女」で、母親と敵対する時があるのです。

保育園くらいの女の子は、平気で母親に意見します。



何故かゆたかは、母親からたくさんの愛情を受けませんでした。

ゆたかの母親は、自分の夫に愛をたくさん注いだので、ゆたかにまで回ってこなかったのかもしれません。


ゆたかの姉のヨーコは、そんな事は気にしませんでしたが、ゆたかは甘える対象が欲しかったのです。

そんなゆたかに愛を与えたのはジイジでした。

でも、表立って動く事はありませんでした。

バアバから「ジジ馬鹿にならない様に」と注意されていたからです。


ゆたかの「女性恐怖症」的な意識は、そんな事からきたのかもしれません。



ゆたかは自分から「愛」を探したのです。


結構、手近なところに、それはあったのです。

ゆたかの家で生まれた「ナオミ」です。


三歳にもならないゆたかが、生まれて一年も経たないナオミに聞いてみたのです。

「僕と一緒にならない?」


「一緒」になれば、「愛」をゲットできると思ったのです。

何故なら、おとうさんとおかあさんは、二人が一緒に居る事で、愛し合っているのが分かったからです。


一歳にならないナオミが、反応したのです。

ゆたかには、「ナオミが一緒になってくれる」と感じたのでしょう。



ゆたかはナオミを愛しているのです。

愛してもらうには、愛してあげる必要があるからです。


そして、ゆたかは一生懸命なのです。

何にゆたかが一生懸命なのか?

全てにおいて、ナオミがゆたかを上回っているからです。

一生懸命頑張れば、ナオミと同じレベルになれると信じているのです。


ナオミが魔女だと知ってからも、ゆたかは一生懸命です。


ジムに通って運動するのも、その一つです。

ナオミの方が、遥かに力が強いからです。


会社で頑張って仕事をするのも、その一つです。

多分、ナオミの方が所得が多いからです。

細かい事は分かりません ・・・ お金の管理はナオミがやっているからです。


ナオミを愛するのも、その一つです。

ナオミがゆたかを愛してくれるからです。



そして、出張先でも頑張って仕事をしているのです。



1か月の出張、今日は現場の2日目です。

東京から電車に乗って出掛けた日は、支店に挨拶に行って、現場に移動して打ち合わせをして、本格的に稼働したのは昨日からだったのです。


支店から現場までは、現場の所長さんの車に乗せてもらいました。

もし、この現場が終わるまでここにいるのなら、東京から車で来たのですが、1カ月の出張なので、電車で来たのです。



明けない夜はありません。

一人でも目が覚めます。

いつも早起きしていますが、スマホの目覚ましもかけておきました。

いつも「安全第一」のゆたかです。


昨晩、「愛しているメール」をナオミに送っておきました。

朝起きてスマホも確認したのですが、ナオミからの返事がありません。


心配です。

でも、仕事をしなければいけません。

どうしてもという時は、また、妹分の美智子にお願いするつもりです。


忘れる為に、ジムに行きます。

一回連絡がないくらいで騒ぐと、美智子ではなく、ハルミが出てきて怒られるからです。



ジムには、そのまま運動する格好で出掛けます。

持ち物は、着替えと運動用の靴とプロテインドリンク関係とタオル類だけです。

「着替えない」し「靴も外履きのまま」のジムもある様ですが、「気持ちの引き締め」が大切だと考えているゆたかには理解出来ません。

「形から ・・・ 」と言うのも、結構必要な事なのです。


受付でIDカードをチェックして、靴を履き替えて運動開始です。


昨日決めたルーチンで運動します。

マシン主体です。


最近のマシンは良く出来ていて、的確に筋肉を鍛えてくれます。

でも、説明書き等を無視して、自己流でマシンを動かしても、効果はありません。

説明書きの意味が理解出来なければ、インストラクターに聞けばよいのです。

その為にお金を払っているのです。

インストラクターが常駐していない様な施設は、本当は「上級者向け」なのです。


もし、無理して重い重量を使うと、筋肉を傷めるだけで、良い事は一つもありません。

ガチャガチャと、チョットだけ動かしている人もいますが、殆ど効果はありません。

「やらないよりはマシ」と言うレベルです。


ゆたかは、急がずに、確実にマシンを動かしていきます。

「戻す時」の方にユックリと時間を掛けるのは、言うまでもありません。

でも、インターバルは短めです。

スマホをタイマー代わりに使わなくても、インターバルの時間は感覚で分かります。


早朝のジムは ”ゆたか専用” の様に空いていて、好き勝手にマシンを使えるのです。

混んでいると出来ない「スーパーセット」も思いのままです。



思った通りに運動が出来ました。

東京のジムの様に、早朝でも人が沢山いないからです。

時間的にも余裕です。

マンションから出て直ぐにジムに到着するのは、ゆたかにとって「理想の場所」です。


満足して、プロテインドリンクを飲みながら、プロテインバーを食べます。

これがゆたかの ”朝食” です。

些か、いや、タップリ偏った食事ですが、何も食べないよりは、何倍も効果的です。


シャワーを浴びてサッパリします。


運動前と同じ様な服に着替えて、マンションに戻ります。

着替えた服は、夜の部のトレーニングウエアーです。


歯を磨いて、作業服に着替えます。

通勤の服は「作業服」です。


現場が動き出せば、「通勤用の作業服」と「仕事用の作業服」の二つにします。

でも今は汚れる事は殆ど無いので、「通勤用の作業服」で仕事もしてしまいます。

まあ、「新しく」会社から支給された方が「通勤用」です。



マンションから出て、明るい日の光の中で、周りを確認します。

住んでいるマンションも、仕事をする現場も、食事に行く食堂も、運動するジムも、歩いて直ぐ近くにあるので便利です。


のんびり歩いても、直ぐに現場に到着しました。

他の社員は車通勤で、みんな早めに出勤しますが、ゆたかが一番乗りです。

なにせ、すぐそばに住んでいるからです。


お湯を沸かして、コーヒーの準備をします。

お湯が沸く間に、パソコンを立ち上げるのを忘れません。

一番の ”仕事道具” なのです。


折角なので、ポット2本分のお湯を沸かしました。

まだまだ、時間があります。

自分の机だけでなく、他の人の机や、打ち合わせテーブルも拭いて綺麗にしておきます。

お湯が沸いた頃に、事務のお姉さんが現れました。

年齢的には「オバサン」ですが ・・・


優雅にコーヒーを飲みながら、CADの画面を確認します。

「施工図作成」です。

対象になるのは「現設計図面」です。



そんな感じで午前中の仕事が終わり、例の食堂に向かいます。


”もしかして” と思って、注文を取りに来たエイ子にこう言いました。

「いつもの。」

二日目なのでチョット早いかなと思ったのですが、言ってしまいました。


エイ子、無表情で奥の厨房にこう言いました。

「 ”いつもの” だって。」


ちょっとイラっとしましたが、二日目だから仕方がないかと、我慢しました。


例のホワイトボードを確認します。

今日の「日替わり定食」が書いてあるボードです。

「生姜焼き定食」と書いてありました。


本当に「生姜焼き定食」が出てくるのか、心配なゆたかです。


暫くすると「生姜焼き定食」を持ったエイ子が来ました。

「はい」と言って、微笑んでいます。

さっき、イラっとしたのが帳消しになるくらい可愛い感じです。

ドキドキして、「ありがとう」と返すのが精一杯です。


結構、お肉の量が多い ”生姜焼き” です。

生姜焼きのお皿には、刻みキャベツがたくさん載っていて、トマトもドーンと乗っています。

オーナーは農業もやっていて、自分の家でたくさんトマトが取れたのかもしれません。

結構大きい小鉢?にほうれん草の胡麻和えもタップリ乗っています。

殆どお豆腐が一丁の「冷や奴」も付いています。

鶏も飼っているのか、生姜焼きに目玉焼きも乗っています。


昨日に引き続き、盛りだくさんです。


味噌汁は野菜がふんだんに入っていて、少し大きいお椀です。

ご飯はどんぶりです。

お漬物も付いています。

自家製の漬物なのか、いろんな種類があって、どれも美味しいのです。



今日も満足して、ゆたかの昼食は終わりました。

結構な量ですが、今日も残さずいただきました。

「ごちそうさま」と言って終わりです。


でも、カウンターに寄り掛かるエイ子が気になるゆたかです。

エイ子の方は顔は違う方を向いていますが、目はゆたかの方を見ている感じです。



立ち上がって、お金を払いに行きます。

レジの担当は女将さんです。

「ご馳走さん」と言ってお店を出ていきます。


ナオミ、いや、エイ子が、ゆたかが綺麗に平らげた食器を片付けます。

でも、今日もナオミのホッペが膨らみます。

面白くないからです。

すぐそばにゆたかがいたのに、今日も何も出来ませんでした。

何故か、世間話の一つも出来なかったのです。



ゆたかは、勿論現場に戻って仕事です。

自分の机で、食後のコーヒーを飲んでから始めます。



午後5時に終業ですが、今日もゆたかは1時間残業をして、午後6時半頃に再び食堂に行きます。


現場では、ゆたか以外のみんなも1時間くらいの残業をしているのです。

さっさと帰る人はいません。

どうせ、現場が稼働すれば、残業は当たり前になります。

いまから、「慣らして」いるのでしょうか?

もしかすると、道路が混んでいるので、時間調整かも知れません。



街中の現場の場合、近隣との調整で、「午後5時以降の仕事はしない」と約束する事もあります。

でも、この現場は「これから発展する場所」なので、そういった事はありません。



ゆたかがいつもの席に座ると、食堂は「夜バージョン」になっているのですが、お客さんは殆どいません。

「夜バージョン」とはいっても、メニューが代わっているくらいです。


今夜も、お酒を飲む人がメインなので、エイ子の格好をしたナオミはお水は無しで注文だけを聞きに来ました。


懲りずにゆたかは、注文を取りに来たエイ子にこう言いました。

「いつもの。」


エイ子、無表情で奥の厨房にこう言いました。

「”いつもの” だって。」

昼の時と一緒です。

今日、二度目なので、イラっともしません。


例のホワイトボードを確認します。

今日の「日替わり定食」が書いてあるボードです。

何も書いていません。


夜の日替わり定食は、ゆたか専用のメニューなのです。

何が出てくるのかは、分かりません。


暇なので、お昼の時もそうでしたが、ゆたかは ”怪しい恰好” のエイ子をチラチラと、夜のメニューを見るフリをしながら見ているのです。

気になるのです。

どうしても、気になるのです。


昨日はお水だけでしたが、今日はお茶が出てきました。

お寿司屋さんの湯飲みみたいに大きいヤツです。

「お茶うけ」なのか「お通し」なのか、タップリの漬物が出てきました。

ぬか漬けです。

美味しいのです。

自家製に間違いありません。

塩分控えめです。

お茶を飲みながら、殆ど食べてしまいました。

たまに、カウンターの上の隅に置いてあるテレビを見ながらです。

東京とは違う番組を放送しています。


今日は「お刺身定食」です。

鮪、鯛、鰺、烏賊、蛸が載っています。

豪華です。

ついでに大きくないですが、金目の煮つけも付いています。


お汁は昨日よりも大きい器で「あら汁」です。

刻みキャベツが主体ですが、大盛のサラダも付いています。

例によって大きいトマトが、ド~ンと乗っています。


お刺身、美味しいです。

ご飯がドンドン進みます。

お代わりをしてしまいました。


ドンブリ飯のお代わりをした所為か、エイ子が何かを言いたげです。

まるで、「食べ過ぎよ」と言いたげなナオミに見えました。

まあ最初に見た時から、「ナオミっぽい」と思ってはいたのですが ・・・


でも、そんな事は言えません。

ナオミでなかったら ・・・ 人間の女は怖いのです。

もし、ナオミだったとしたら、折角「変装」しているのです。

多分、何か意味があるのでしょう。



ここで、ゆたかはある作戦に出ました。

スマホでナオミにメールを送ったのです。


普通は色々な操作がいるのですが、ナオミが入れてくれた「ケロケロケロッピー」があるのです。

操作は「一発」です。

ナオミに送った文面はこうです。

「可愛い可愛いナオミちゃんへ。

今から帰るから、待っていてね。

愛する ゆたか より」


文面はナオミが考えたヤツです。

定期的に、ナオミのお好みの「文面」に変わるようです。

ゆたかがする事は、ケロケロケロッピーをタッチするだけなのです。


エイ子が慌てています。

カウンターの奥に引っ込んで行ってしまいました。


ゆたかが、声を掛けます。

「すいませ~ん。」


ゆたかのテーブルに来たのは女将さんです。


ゆたか。

「あれ? いつもの子は?」


女将さん。

「緊急の連絡が来たって、慌ててたわ。 何か用?」


ゆたか。

「漬物のお代わりをください。 美味しくて、ご飯が来る前に食べちゃいました。」


女将さん。

「あら、嬉しいわね~。 うちの糠漬け、美味しいでしょう。」

そう言って、カウンタの奥に行ってしまいました。


お代わりの漬物はエイ子が運んできました。

「はい」

それだけを言うと、カウンターの方へ行ってしまいました。


ゆたかのスマホに、ナオミからメールが送られてきています。

でも、お店ではスマホを出さないで、食事に集中します。


特に「あら汁」を食べるのが面倒臭いからです。

美味しいのですが、「骨が多い」のです。

まあ、「あら汁」なので仕方がありません。


そんな感じで、大満足な夕食が終了してお店を出ました。


お店を出てから、スマホを確認します。

ナオミからのメッセージは、こんな感じです。

「忙しくて、連絡が出来なくて、m(__)m」

絵文字?で謝っています。

でも、次の文面が ”不思議” です。

「ご飯を食べ過ぎない様に。」


ゆたかは食べ過ぎた分を、夜のジムで消化する予定です。

まず、マンションに帰って着替えをして、必要なものをカバンに詰めると、ジムに向かいます。


朝は殆ど「貸切」ですが、夜は地元のオジサン達で多少は混雑しています。

でも、マシンをガチャガチャやる人が殆どで、バーベルやダンベルを主体にする人は殆どいないので、邪魔にはなりません。


思い通りに運動が終了して、折角なので、サウナに入ります。

汗っかきのゆたかなので、運動すると汗まみれです。

シャワーを浴びてからサウナに入ります。


サウナ室は100℃を越えています。

充分に熱いのです。

どういう訳か、運動の時の様には汗が出ません。


オジサン達がいない、ゆたか一人の時に、サウナ室の中でヒンドゥースクワットをしてみたら、直ぐ汗が出てきました。

動くと汗が出る体質の様です。

あまりサウナに長く入るのは良くないので、適当なところで切り上げて、水をかぶってから「水風呂」に入ります。

二回目のサウナの時は、シットアップをしてみました。

汗が出ます ・・・ 効果がありました。


三回くらい繰り返して、サウナは終了です。


老廃物が出たところで、身体を洗います。

勿論、シャンプーもします。

剃刀を持ってきたので、髭も剃ります。

昨日確認したので、「お風呂セット」の籠を用意したのです。

ボディソープとリンスインシャンプー以外は「自前」です。



綺麗になったところで、大きいお風呂に浸かります。


手足を伸ばしながら考えます。

「こんなお客さんの数で、ジムの経営は大丈夫なのかな?」


そして、思い出して、再び考えます。

何でナオミが「ご飯を食べ過ぎない様に」って連絡してきたのかです。


どう考えても、「あの、エイ子」は怪しいのです。


でも、手足を伸ばして大きいお風呂に浸かっているうちに眠くなってきました。

やはり、朝晩に思いっ切りトレーニングをするのはきついのかもしれません。


そして、夕食を食べ過ぎたのです。

食べて直ぐ運動してしまいました。

それも、思いっ切り。


オマケに調子に乗って、いつもは入らないサウナも入ってしまいました。



お風呂で寝てしまう前に、頑張ってマンションに帰ります。


明日の朝のトレーニングで着るウエアーに、バスタオルを首から下げて帰ります。

フェースタオルは頭に乗せて、殆ど「銭湯帰り」の格好です。

近くて助かります。

これでコンビニがあれば、文句はありません。


でも家に帰って、決して歯みがきは忘れません。

勝手に身体が動きます。

「歯間ブラシ」も忘れません ・・・ ???



そんな感じで、ゆたかは寝てしまいました。

テレビも見ないので、午後10時前には寝てしまいました。

ドンブリ飯、山盛り二杯は止めようと思いながら ・・・





ゆたかが寝た頃、エイ子のお仕事も終わりです。

お客さんがみんな帰ってしまったからです。

夜中まで営業しても、もうお客さんは来ないからです。


ゆたかが夕食を終えて、ジムに行っている頃、食堂のお店はそんなに混雑していません。

お客さんは、地元のオジサン達です。

4人テーブルに二人が座れば良い方です。


他に飲み屋さんが無いのですが、強いて言えば「花が無い」のです。

その証拠に、夏休みなどは東京から大学生の娘さんが帰ってきてお店を手伝てくれて、その時は大混雑なのです。

娘さんは「可愛く美人」で、最新の都会のファッションでお店に出てくれるので、スケベオヤジで大混雑になるのです。

地元では見ないであろう「お臍丸出し」に「ショートパンツ」の格好だからです。

でも、スケベオヤジでも、娘さんに手は出せません。

女将さんの娘だからです。



ジムの方ですが、何で「24時間営業」かは分かりませんが、昼間は結構混雑しているのです。

地元のオバサン連中です。


まあ、マシンなどで運動もしますが、殆どは、開催しているスクールに参加しているのです。

ダンスです。

勿論、社交ダンスではありません。

フラダンスでもありません。

「ジャズダンス」や「ヒップホップダンス」です。


ジャズダンスは、アメリカで発展したダンススタイルの一つで、エネルギッシュで表現力豊かな動きを特徴としています。

音楽のリズムに合わせて自由に踊ることが出来、多様なスタイルやテクニックが融合したダンスです。


ヒップホップダンスはストリートダンスに属するジャンルの為、基本的に身体をリラックスさせて踊ります。

一方、ジャズダンスはバレエ要素が含まれていることから、身体の軸を意識して緊張させた状態で踊ります。


ヒップホップダンスはヒップホップ四大要素の何かしらを含んだダンスジャンルと言えるとされています。

「HIP」とは「cool」の意味に近く、「流行的な」や「かっこいい」という意味のスラングです。

「HOP」とは「跳ねる」や「弾む」という意味です。 「流行に飛び乗る」という意味があるのでしょう。


まあ、集まっているオバサン達は、細かい事はどうでも良いのです。

身体を動かして「嫌な事」を発散するのです。

旦那さんが「お相手」をしてくれない所為かもしれません。



ジムの入っているビルには、役所の支所も入っています。

そしてカルチャースクールもやっています。


そのカルチャースクールの中に「パソコン教室」もあるのです。

丁度、1カ月間、講師の方がお休みで、その代打にナオミが講師をする事になったのです。


昼食時と夕食時は、食堂で「ホール担当」。

午前と午後に「パソコン教室の講師」。


特に昨夜は「パソコン教室」の内容検討で忙しく、ゆたかの「愛しているメール」に気付きませんでした。

ナオミとしては、罪悪感があったのですが、何と返事をして良いのか分からなかったのです。


だってこちらでは、「ナオミ」ではなく「エイ子」だからです。



そして、驚く事にゆたかと同じマンションに住んでいるのです。

ゆたかは、「1階のワンルーム」ですが、ナオミは違います。


何と、ナオミは同じマンションのペントハウスにいるのです。

ペントハウスとは、マンションの最上階に設けられた、ワンフロアに数戸しかない、高額で特別な仕様の住戸なのです。


マンションのオーナーは食堂の女将さん夫婦で、娘さん用のお部屋なのです。

丁度、娘さんが東京の大学で学んでいて、空いていたので、ナオミが転がり込んだ感じです。

娘さんは、東京の「高級学生用マンション」に住んでいるのです。

ナオミの卒業した大学で、学部もナオミの後輩です。


女将さんは ”魔女” なので、娘さんも当然 ”魔女” です。

そんな関係で、ナオミは豪華なところに住んでいるのです。


ゆたかが住んでいる「1階のワンルーム」は企画段階のミスです。

場所的に、売れる要素がありません。

そんな訳で、施工会社が買うことになったのでしょう。



本当は、ゆたかの元に素っ飛んで行きたいナオミなのですが、何故か、思いっ切り忙しくなってしまったのです。





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