134 海外旅行
海外旅行
世の中、「ヌン活」なるものが流行っている様です。
ホテルやカフェでアフタヌーンティーを楽しむ活動の事です。
亭主は500円の昼食で我慢していますが、奥さまの方は6,000円ほどかかるアフタヌーンティーを楽しんでいる様です。
以前、ホテル等の限定バイキングを楽しんでいた奥様方がいましたが、バイキングよりもアフタヌーンティーの方が優雅です。
ゆたかはナオミ特製のお弁当です。
おとうさんも ”ついで” にナオミのお手製お弁当です。
多分、夫のゆたかよりも、おとうさんの方が嬉しがっていると思います。
それを知っても、おかあさんは何とも思いません。
朝早く起きてまで、お弁当を作りたくないのです。
一応言っておきますが、おかあさんはおとうさんを愛しているのです。
でも、おかあさんはいつも、昨夜の ”深酒” の所為で、寝起きが悪いのです。
歳をとったのかもしれません。
それと、きららもナオミお手製のお弁当を持って行っています。
たまに、きららも早起きをして、お弁当作りを手伝います。
「文字」や「絵」がご飯の上にのっていたら、それは多分、きららの作品です。
でも、高校生のきららは、今日は ”試験休み” です。
そこで、お母さんがスポンサーで、原宿に「ヌン活」に出掛けました。
勿論、ナオミもご一緒させてもらっています。
場所柄、小さい子供は連れて行けないので、ジイジとバアバにゆういちはお任せです。
でも大丈夫なのです。
屈強なベビーシッターが二人、いや、二匹いるからです。
ワンコのタロウとニャンコのクロです。
ゆういちの事なら、授乳やおしめ交換以外は完璧です。
もし、人が見ていなければ、おしめ交換も出来るのかもしれません ・・・ ?
ナオミは、イギリスの魔女と、本場のアフタヌーンティーを楽しんだことがあるので余裕です。
きららが、ナオミに作法について色々聞きますが、”即答” です。
優雅な時間が流れます。
どこかの奥様が、お嬢様を二人連れてきた様な感じです。
おかあさんが聞きました。
「きららは、春休みはどうするの?」
おかあさんは、きららが「塾に行きたい」と言うと思っていたのです。
きらら。
「春休みは、のんびりしたいな~。」
ナオミ。
「ららは、今回も学年一番じゃないの?」
きらら。
「多分ね。」
おかあさんは、お勉強関係はナオミにお任せなので、聞いているだけです。
そういえば、思い出しました。
きららの ”通知表” は物凄いのです。
自分が産んだ、ヨーコやゆたかの数値しか知らなかったのですが、きららは優秀過ぎるのです。
そうなのです。
きららはお勉強が出来るのです。
塾などにいっていません。
でも、家庭教師と変わらない人達が周りにいるのです。
ゆたかとナオミです。
理数系はゆたか。
文科系はナオミです。
ゆたかは勉強は好きではないのですが、大学生の時に ”ジムでの運動” 以外は勉強していたのです。
取れるだけ授業を選択してしまった所為なのです。
基礎も、みっちり勉強してしまったのです。
大学の授業について行くには、高校の頃の学習内容は必須です。
”仕方なく” 高校の頃のお勉強を見直さなければならなかったのです。
ですから、高校の頃のお勉強が良く分かるのです。
ナオミは魔女ですから、お勉強は出来るのです。
でも、ゆたかの方が教え方が上手いのです。
何故なら、ゆたかの方が ”出来が悪い” からです。
分からない人の ”考えている事” が分かるのです。
大学で優秀だった先生よりも、勉強に苦労した先生の方が教え方が上手いのと一緒です。
ナオミ。
「お友達とどこかに行ったりはしないの?」
きらら。
「みんな、忙しいみたい。 どっか、行きたいな~。」
お金持ちが多い学校なので、別荘に行ったりする子も多い様です。
大学にも、そのまま進級できるので、のんびりした子が多い様です。
でも、勉強が出来る子ほど、他の上の大学を目指すので、塾に行く子もいる様です。
アフタヌーンティーの話題は、こんな感じだったようです。
ゆたかはサラリーマンですから、お正月やお盆の時くらいしか、長期のお休みは取れません。
建築会社で設計部所属ですから、世間一般と同じです。
もしメンテ部門ですと、この時期は ”稼ぎ時” です。
工場であれば、機械の全面的な保守や交換です。
普通の建物であれば、空調設備や衛生設備や電気関係です。
設備関係が多いのですが、建築関係も当然あるのです。
例えば、事務所ビルでは普段は人が沢山います。
そんな時でも、工事をしなければいけない時もありますが、「居抜き工事」と言って ”養生” が大変です。
物を壊さないというよりも、人に怪我をさせない為の養生です。
石綿というのをご存じの方も多いと思います。
何にでも入っていたのです。
チョット年齢の上の方なら、実験室のビーカーを温める時の ”金網” に付いていた白い塊は石綿です。
昔の ”魚焼き器” にも付いていました。
石膏ボードの材料の一部としても入っていましたし、モルタルの ”骨材” としても入っていたのです。
天井材の ”○○トン” と言われる商品にも配合されていました。
耐火性に優れていたので、機械室などの壁に「ワタワタ」の様なものにして吹き付けてもいたのです。
触ってみるとフカフカで、経年劣化で飛散したこともあると思います。
ハッキリ言えば、コンクリートの壁に穴を開ける時も、石綿の対策は必要なのだと思います。
そんな石綿を使った製品の交換も、そんな時期に行われるのです。
話題がそれてしまいましたが、「お休み」のお話です。
ゆたかの家には、一人だけ学生がいます。
きららです。
試験休みやら色々ありますが、季節ごとに長期間のお休みがあります。
今は ”春休み” です。
次は高校三年生ですから、塾に行ったりする子もいるのでしょうが、きららは優秀なので ”推薦入学” が決定しています。
余裕です。
ですから、きららはどこかに行きたいのです。
でも、お友達は塾に行ったり、お金持ちが多い学校ですから、親と別荘や海外旅行に行く子もいる様です。
おとうさんやおかあさん、親としてはどう考えているのか分かりません。
多分、何も考えていないと思います。
ですから、ゆたかやナオミの兄や姉としては、どこかに連れて行ってやりたいのです。
ゆたかはしがないサラリーマンですから、この年度末に長期のお休みは取れません。
夜な夜な、ベッドの上で二人で話し合います。
話し合いながら、そのまま ”合体” というパターンも多く、なかなか話が進みません。
ナオミが何かにヒラメキました。
「そうだ、海外旅行にしよう。」
ゆたか。
「急に、そんな事は無理なんじゃ ・・・ 」
ナオミ。
「イギリスのスコットランドと、フランスのブルゴーニュから、”遊びに来ないか”ってお誘いのお話が来ていたの。」
ゆたか。
「両方とも、魔女だったよね。」
ゆたかは、スコットランドの方は過去にナオミと一緒に行った事があったのです。
ナオミ。
「そうよ。 明日、確認してみるね。」
そう言って、川の字になっている "真ん中” のゆういちをベビーベッドに魔法で移動させると、二人の ”愛し合い” が始まりました。
今日のゆういちの ”ねんね” のお供は、ワンコのタロウなので、ベッドの上ではなく床に転がっています。
タロウは ”どでかい” からです。
ニャンコのクロと一緒で、ほぼ ”大の字” で ”ヘソ天” は一緒です。
タロウは大きくて、本当に大の字になると邪魔なので、ナオミに怒られて少し小さくなっているのです。
タロウは、元々の図体が大きいので「デカい」のは変わりません。
でも、自分としては「小さくなっているつもり」の格好は、可愛いのです。
そんな感じで、きららの春休みの ”海外旅行” が決まりました。
旅程は、まず、イギリスのスコットランドの魔女のお家に伺います。
場所はエディンバラです。
スコットランドのエディンバラ(Edinburgh、Dùn Éideann)は、スコットランドの首都であり、ロージアン地方の首府です。
イギリスは四つの国の集まりです。
正式名称は、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)です。
イングランド、ウエールズ、スコットランドと北アイルランドです。
サッカーの国際大会では、それぞれが別の国の様に参加しています。
日本も、柔道でそうすればよかったのに思いますが、区分けの仕方が難しい様です。
エディンバラではお城に行ったりする予定ですが、東京よりも寒いので着るものが必要です。
まあ、荷物は魔法で送るので、何の問題もありません。
折角のイギリスなので、ロンドンも歩いてみる予定です。
なにせ、交通機関は魔法の ”瞬間移動” なので、どこでも行きたい放題です。
本当はレンタカーとかで走り回るのも良いのですが、この時期は寒いので些か厳しいと思います。
出来れば、夏場にオープンカーで走るのが楽しいと思います。
勿論、借りられればの話ですが「スーパー7」が最高です。
次はフランスのブルゴーニュです。
バーガンディという色をご存じの方もいらっしゃると思いますが、バーガンディはブルゴーニュの英語読みです。
色としてはワインレッドより濃い色という事になっています。
ブルゴーニュのワインの色が濃いとは思いませんが ・・・
伺うお家は、ワインで財を成したお宅です。
昔からの建物で、お城の様な大邸宅です。
ワイン用のブドウが出来る土地は、下記の四つの条件が必要だと言われています。
太陽の光がたっぷりあること。
水はけが良く、降雨量が少ないこと。
気温の差が大きいこと。
土地がやせていること。
特に、最後の「土地がやせていること」という事が、大昔に魔女の家族がこの土地に移り住んだ理由です。
だれも見向きもしなかった土地だったのです。
家族みんなで苦労したのでしょう。
そして、「魔法の力」ではなく「努力の積み重ね」で美味しいワイン用のブドウを作ることが出来る様になったのです。
ナオミが高校生の時にこのお家に伺って、一緒に畑仕事をして大変気に入られて、毎年たくさんのワインを送ってくれる様になったのです。
勿論、魔法の ”瞬間移動” で送られてくるので、抜群の状態です。
「ワインと豆腐は旅をさせるな」などと言われていますが、「揺する」ことが良くないのでしょう。
ナオミの実家にもおすそ分けしますが、今の家の地下室にワインセラーがある様です。
ナオミが、どこかに伺う時の「とっておきの武器」なのです。
ワイン好きでも、手に入らない逸品だという事です。
ですから、呑兵衛のナオミの家族でも、めったな事では飲めない様です。
まあ、ブルゴーニュだけではなく、パリの街も散策する予定です。
そんな感じで、きららの春休みの旅行が決定しました。
参加者は、きららとナオミです。
勿論、ゆういちも一緒です。
ハルミも行こうと思ったのですが、旦那様が沖縄出張なので、旦那様に付いて行く様です。
本当は、旦那様一人なのですが、新婚旅行もしていないので、二人で決めたようです。
ハルミは、ナオミと一緒に ”魔女の管理システム” を担当していますが、他にも色々お仕事をしています。
ハルミは、魔女や鬼女合同の ”ママさん教室” の講師もしているのです。
担当は、”着るもの”です。
ファッションモデルをしようとしていたくらいで、ファッション関係はお得意です。
子供服や、最新ファッションの ”相談会” も開催しているくらい人気があります。
そして、ハルミはスタイルが良いので、スタイルを維持する ”フィットネス教室” も大人気なのです。
もしかすると、日本の魔女や鬼女の団体からのお手当は、ナオミより多いのかもしれません。
ですから、沖縄旅行の代金はハルミ持ちの様です。
まあ、ハルミの旦那様は ”婿養子” で、ゆたかと同じに ”お小遣い制” なので、本人の知るところではありません。
因みに、ナオミは国際的な仕事もしているので、海外の魔女の団体からもお手当を貰っている様です。
魔女はみんなお金持ちですが、”普通の生活” をします。
目立った生活は、色々な詮索が入ってきて危険なのです。
魔女だと知れる事は、致命傷になるからです。
でも、ブルゴーニュの魔女は特別です。
長い期間を掛けて、ワイン用のブドウを作ってきて、その結果、成功したからです。
逆に、”普通の生活” をした方が不自然なのです。
さあ、お土産は何にしようかとナオミが頭を悩ませます。
こういう時は、直接聞いてしまうのも良い方法です。
ナオミとそれぞれの魔女とは、そのくらいの関係なのです。
イギリスからもフランスからも、同じ答えが返ってきました。
「日本食が食べたい。」
世界中で、日本食は人気です。
どんなものが良いのか、聞いてみました。
「餃子とトンカツ。」
両方とも同じです。
「お寿司」と言われたらどうしようと思っていましたが、何とかなりそうです。
魔女の世界でも、「生の肉類」の海外持ち込みは禁止です。
「餃子の皮とパン粉」、それに調味料を用意する事にしました。
「肉類」は現地調達です。
そんな感じで、着々と準備が進みます。
魔女に、特に、ナオミに抜かりはありません。
まあ、何か忘れても、魔法で何とかするのでしょう。
日本でも、タトゥーを入れる人が増えました。
本人達は「刺青」ではなく「タトゥー」だと言い張りますが、「刺青」は「いれずみ」です。
人種や種族によっては、刺青を入れる事もありますが、海外の「お兄ちゃん、お姉ちゃん」がしている刺青は、その類ではありません。
「ファッション」となったのは最近の事で、元々の考えは「反社会的」行為の一つだった様です。
実際、自由の国「アメリカ合衆国」と思っている人もいると思いますが、就職とかでは刺青は「評価対象」とされ、刺青が無い人の方が採用確率は上がります。
良い条件を得ようとする人は、自分の刺青を隠すのが普通です。
アメリカ合衆国では、仕事をしている時でも、刺青を見えない様にする配慮が必要なのです。
見えてしまったりすると、上司から注意を受けるのが普通です。
音楽関係の人が刺青をしていて、その音楽に魅せられた人が「真似」をしたくなるのは分かります。
でも、アメリカでも「普通の職業の人」は、刺青をしません。
アメリカでも、芸能人ほどは、普通の人は刺青に好印象を持っていないのです。
確かに、日本は刺青を嫌います。
歴史的背景があります。
江戸時代には、犯罪者には腕に刺青を入れさせたからです。
その後も、反社の人達が刺青を入れて、「いざ」という時に見せつけて「脅し」に使った事からです。
まあ、一緒に「ドス」を床にぶっ刺したのは、言うまでもありません。
アメリカでこんな事をしたら、間髪を入れずに「銃」で撃たれます。
そして、銃を撃った方は「無罪放免」です。
日本の様に、躊躇はありません。
そんな国情を理解しないで、刺青を彫ってはいけません。
今は、ネットでも「優秀なタトゥーのシール」が売られています。
それで我慢が出来なかったら、そして、十分に考えた末に刺青を彫るかどうか考えた方が得策です。
でも、そんな人達でも、今の刺青の様に「首の周り」に見える様な入れ方はしていません。
近頃の刺青は、ハイネックでも目立ってしまう様なモノが多くある様です。
「刺青ではなくタトゥーだ」と言っている人がいる中で、電車の中で「わざわざ袖を捲って」刺青を見せびらかしている「愚か者」を見かけます。
ヤクザの方でも「その時」でなければ、刺青を見せません。
刺青を見せびらかすのは「粋」ではなく、格好悪いのです。
見せびらかしているのは、「自分は ”チンピラ” だ」と言っているのと同じなのです。
結果的に「刺青」は「いれずみ」で、「タトゥー」になれないのが日本の現実です。
そして、公共施設のプールやサウナで、入場拒否をされます。
「刺青で凄む」愚か者が多い所為なのです。
もし、日本で刺青を入れるのであれば、それ相当の「覚悟」が必要です。
でも、ハイネックでも隠せない刺青は止める事をお勧めします。
皮膚の柔らかいところほど、「痛い」のです。
そして、「消す」のはもっと大変です。
魔女は刺青などはしません。
日本の話ではありません。
世界中の魔女達です。
可愛い「タトゥー」であっても入れません。
目立つことは、自分の、自分達の立場を悪くするのを知っているからです。
ところで、tattooには「帰営ラッパ、帰営太鼓」という意味もあり、イギリス、特にスコットランドではバグパイプやドラムでの行進が盛んに行われます。
「ミリタリー・タトゥー」はスコットランド文化を世界に伝える壮大な祭典で、ほかの国の軍隊ばかりではなく、日本の自衛隊も参加している「お祭り」です。
そして、「ハイランド・ゲームス」という、スコットランドのハイランド地方各地で5月から9月にかけて行われる競技会があります。
ハイランドギャザリング(Highland Gathering)とも呼ばれているもので、ナオミは毎年の様に見に行っています。
今回の海外旅行は、きららよりも、ナオミの方がワクワクしている様です。




