130 大学生
CMの減ったFテレビを見ていたら、ACジャパンの「決めつけ刑事」なる映像が流れていました。
NHKを見ていたら、「地下鉄サリン事件」の映像が流れていました。
両方を見て思い出しました。
ゆたかのジイジと同じ様に、釣りに行く為に中央道の富士吉田ICに向かっていた時の事です。
結構、昔です。
ジイジと違ったのは、出掛ける時間がちょっと遅かったのです。
あれも持っていこう、これも持っていこうとしている間に遅くなったのです。
出発は午後12時を過ぎてしまいました。
夜中の中央道をひた走ります。
途中談合坂SAでトイレ休憩と、眠気防止のコーヒーの買い出しです。
確か、今の様にスタバとかはなく (時間的に開いていませんが・・・)自販機で”ブラックコーヒー”を買いました。
大月JCで富士吉田線に向かいます。
午後11時頃なら並走したりする車や対向車もいるのでしょうが、午前2時近くですから、走っているのは自分の車だけでした。
都留を過ぎて、坂道の傾斜が大きくなります。
西桂あたりを過ぎたら、対向車線をパトカーの集団が降りてきました。
サイレンは勿論、赤色灯も点けていません。
でも、数が多いのです。
記憶に鮮明に残った理由は、そのたくさんのパトカーに囲まれていたのが、かなりの数のタンクローリーだったからです。
後で思い返すと、当時「上九一色村」と呼ばれていた地区にあった「オーム真理教のサティアン」で作られていたサリンを運び出していた車だったのです。
「決めつけ刑事」とどこが関連しているかと言うと、「地下鉄サリン事件」の前に「松本サリン事件」があったのです。
「松本サリン事件」の犯人は、当初、地元の人が犯人とされていて、新聞にも発表されていました。
しかし、後にその人は「被害者である一般人」だと分かりました。
完全に「決めつけ刑事」そのものだったのです。
当時、オーム真理教は宗教団体で、警察関係者は「宗教団体が犯人の筈はない」と決めつけていたのでしょう。
警察関係者にもその教団の関係者がいたのかもしれません。
松本サリン事件の時に「思い込み」で「決めつける」様な事をしなければ、【地下鉄サリン事件】は防げたのかもしれません。
怖い事に、完全なテロ組織だったのに、現在も残党が宗教活動を続けられているという「不思議の国:日本」です。
SNS等で、簡単に闇バイトに誘われてしまう時代です。
他人を疑うのは嫌な事ですが、会った事も無い人の事を迂闊に信じるのは、自分の人生を棒に振る事になるので、注意しましょう。
大学生
今はSNSのマッチングアプリでお相手を探す時代ですが、やはり合コンは大学生や社会人には人気?がある様です。
仲間内で楽しく飲んだり食べたりするのは楽しいのですが、たまには違う連中と飲んだり食べたりしたくなる事もあるのでしょう。
普通の飲み屋では”オヤジ臭い”ので、ちょっとお洒落なお店が利用されます。
合コンでお友達になってしまえば、”オヤジ臭い”飲み屋も対象にはなるのでしょうが、”出だし”は洒落たお店や個室のあるお店が選ばれるのです。
御多分に漏れず、大学生のゆたかも合コンに誘われることもありました。
勿論”数合わせ”の為でした。
ただ、開催者が前の時と違う場合です。
同じ開催者は、二度とゆたかを誘わなかったからです。
何故なのか?
ゆたかがお酒に弱いからなのです。
大学生の時のゆたかは、お酒を飲むと直ぐに眠ってしまいました。
余程”良い女”がいても、寝てしまうのです。
ゆたかの女性の基準はナオミなのです。
そこいらのお姉ちゃんで勝てる筈もありません。
横に大きい男、それも筋肉で大きい。
当然重い。
そんな奴が寝たら、その後が大変なのです。
勿論、ゆたかは断ったのですが、強引に連れてこられたのです。
「僕はお酒を飲めません!」
ゆたかはそう言いましたが、酒飲みは、酒を飲めない人の気持ちが理解出来ません。
そして、”見た目”でお酒を飲めると、勝手に判断するのです。
そして、誘った方が”痛い目”を見るのです。
世の中、先に酔った者勝ちです。
大変のは、まだ酔っていない連中なのです。
ゆたかの知り合いで、合コンの主催者になる輩が数人いましたが、一応、一巡した様で、ゆたかは誘われなくなったのです。
そして大学生のゆたかは、早朝はジムで、昼間は大学で必死になってナオミを忘れる為に、努力をしていたのです。
大学生の頃のゆたかは、”黒歴史”と言えるほど楽しくない時代だったのです。
ただ、必死だったのです。
ナオミと同等になる為に ・・・
でも、成れる筈はありませんでした。
かたや、生まれた時からの”最強の魔女” ・・・ でもゆたかは普通の人間です。
結果、ナオミを忘れる事に専念したのです。
さて、ナオミです。
高校生の頃は、真面目です。
ゆたかという”許嫁”的なのもいたので、ナオミがどんな男性も相手にしなかった所為で、誰もナオミに声を掛ける男などいませんでした。
でも、自分で掛けた強力な魔法で、ゆたかに会えなくなってしまいました。
そこで、ナオミは「男嫌い」になったのです。
いつかはゆたかが迎えに来てくれるまでは、男が近付かない様にしたのです。
そんなナオミも大学生になりました。
ナオミは大学生になると、たくさんお誘いを受けました。
ゆたかが迎えに来るまでに、もっと可愛く、もっともっと美人で、もっともっともっとスタイルが良くなる様に努力をしたのです。
食べ物や運動管理、そして、寝る前に必ず、強く強く念じたのです。
「もっと可愛く、もっともっと美人で、もっともっともっとスタイルが良く」なる様にと ・・・
そんな事もあり、18歳になったのです。
18歳の魔女は、男を探すのです。
自分に一番適した素敵な男を探すのです。
何故か、昔から魔女に備わった”機能”なのです。
魔女は18歳になると、特に綺麗になるのです。
自分に最適の、そして魔女である自分に相応しい男を探す為なのです。
これは、魔女を守る為に開発された魔法 ”人に気付かれないオーラ”の為に追加されたものなのです。
あまりに強力に魔女を守る ”人に気付かれないオーラ”があると、結婚適齢期とされていた18歳の時に、良い男に巡り合えないという不安から追加されたのです。
大昔の話なので、女性の結婚適齢期は”18歳”としていたのです。
何故か、魔女のおばさま達は、この”18歳”の設定に疑問を持っていないのです。
ですから、何百年もそのままの魔法なのです。
でも時代は変わって、”18歳”である必要はなくなったのですが、その機能の欠片が残っているのです。
それで ”人に気付かれないオーラ”が弱くなるのです。
ナオミの ”人に気付かれないオーラ”が弱くなった事もあるのですが、ゆたかの為に可愛く美人でスタイルを良くしようと思ったので、それらが身体から滲み出たのです。
それ程、ナオミは素敵だったのです。
ナオミは、ゆたかと言う許嫁がいると思っていたのですが、非公式なので言い出せなかったのです。
大体、ナオミが16歳になってからは、ゆたかに会っていないのです。
仕方が無いので、噂になっている”お金持ちのイケメンのお兄さん”と付き合っているという事にしておいたのです。
”お金持ちのイケメンのお兄さん”の母親とナオミはお友達なので、そういう事が出来たのです。
それでも、ナオミは合コンに誘われました。
ナオミはお酒を飲めるからです。
そして何より、ナオミはお酒が好きなのです。
まあ、誘う方の一番の理由は、可愛くて美人でスタイルが良いからなのは当然です。
男が主催者の場合は、ナオミは見向きもしませんでした。
でも、主催者が女性の場合はナオミも仕方なく付き合う事もありました。
合コンの女性の主催者は、こう言って男を集めるのである。
「あの”ナオミさん”がメンバーにいるのよ。」
これだけで、良い男を簡単に集めることが出来たのです。
合コンである。
コーヒーにケーキを食べるのではない。
お酒を飲むのである。
男の気持ちのかなりの部分は、こうなっているのである。
「もしかしたら、もしかするかもしれない。」
ナオミはお酒を飲んでみた。
自宅ではない。
何処かと言うと、ゆたかのうちなのである。
ゆたかは下戸だが、ゆたかの母親は”酒豪”である。
”酒豪”と言うのはお酒をたくさん飲めるのではない。
それは、ただの”呑兵衛”で”呑んだくれ”である。
多少、”呑兵衛”の方が程度が良い様である。
”酒豪”は酒に飲まれないのである。
よく、ネットニュースなどで「酒豪の女子アナが、羽目を外して ・・・ 」などと記事になっている。
そんな”女子アナ”はただの”呑んだくれ”の出来損ないなのである。
羽目を外すなど、ハッキリ言って、”酒豪”に失礼な話なのである。
自分をコントロール出来ない者は、”出来損ない”と言われても仕方が無いのである。
ゆたかの母親は、本当の酒豪である。
ナオミはそんなおかあさんとお酒を飲んでみたのである。
息子のゆたかは下戸であったが、同じオッパイを飲んだナオミはお酒に強かったのである。
まあ、ナオミの生みの親もお酒が好きで、妊娠中にお酒を飲んだので、お酒好きの子供が生まれたのかもしれない。
そして、おかあさんは日本人なので、「18と20」の区別がつかない時がある。
そう、お酒を飲んでも良い年齢の事なのです。
そんな訳で、ナオミが来ると、おかあさんは昼間っからお酒を飲みだすのです。
勿論、お酒のお相手はナオミである。
ナオミはゆたかとは会えませんが、ゆたかの母親には会えるのです。
ナオミが生まれて暫くして、ゆたかの母親は、ナオミがこの家にいる頃、お乳をあげていたのです。
おかあさんがナオミと添い寝をしている時、ナオミがおかあさんのオッパイを触りました。
何の気なしにおかあさんはナオミに乳房をふくませたのです。
ナオミがおかあさんの乳首を吸うと、なんと、お乳が出たのです。
そんな事をしている間に生みの親からはお乳が出なくなり、おかあさんがナオミにお乳を飲ませていたのです。
でも、今は違います。
二人が飲むのはお乳ではなく、お酒です。
18歳になったナオミですが、本人も、おかあさんも気にせずにお酒を飲み交わしていたのです。
おかあさんもナオミも、日本人なので「18と20」の区別がつきません。
まだ18歳のナオミですが、お母さんと二人で酒盛りをしていたのです。
ナオミの生みの親は、妊娠中でもお酒を飲んでいましたし、お乳を与えていたおかあさんもナオミに授乳していましたがお酒を飲んでいたのです。
もう、ナオミが呑兵衛にならない訳がありません。
おかあさんとナオミの二人で昼間っから飲みます。
話題は色々ですが、これだけは話題にしない事柄があります。
おかあさんの息子の”ゆたか”の話です。
ナオミが暗くなるからです。
おかあさんは湿っぽいのは嫌いです。
二人の仲を何とかしたいのですが、最強の魔法使いのお母さんでも、ナオミの強力な魔法は何ともなりません。
でも、お酒を飲んでいるうちに、二人で盛り上がって終わります。
もっと夜まで飲みたいのですが、何故か終わってしまいます。
ナオミの魔法が邪魔をするのです。
夕方にはゆたかが帰って来るからです。
二人が夜まで延々と飲み続けるのは、まだ暫く後の話です。
そんなナオミですから、合コンには出席してしまいます。
ナオミの合コンの出席の条件は、ただ一つです。
「高級なお店」ではありません。
「美味しい料理」でもありません。
「美味しいお酒」、それだけが出席の条件なのです。
集まった男どもは、当然”下心”ありありです。
女の子を酔わせて「お持ち帰り」を狙っているのです。
特に、大学で、学園で一番と言われているナオミです。
大学ですから、ミス○○などと言うイベントもありますが、ナオミは出た事がありません。
出なくても、美人でスタイルの良いのは、立っているだけで分かるのです。
18歳になったナオミは、”人に気付かれないオーラ”が弱くなっているのです。
美人でスタイルの良いのが ”ダダ洩れ”なのです。
着ているものはTシャツにジーンズで、パーカーを羽織ったりするくらいです。
でも、背は175cm以上と高く、足は身体の半分以上はあるのです。
もしかしたら、高校生までの学生服が似合っていなかったのかと、高校から一緒の同級生は思ってしまったのです。
ナオミの高校の時の同級生も驚くほどなのです。。
それ程、18歳未満のナオミの ”人に気付かれないオーラ”は強力だったのです。
「美味しいお酒」のある店は、危険な店は多くありません。
危険な店は、ホストクラブとかなのです。
そういうお店は「美味しいお酒」ではなく、「高額なお酒」なのです。
「高額なお酒」と「美味しいお酒」は違います。
良い材料と手間暇がかかっているのでお高くはなりますが、「美味しいお酒」は別格なのです。
「美味しいお酒」大好きのナオミは、ゆたかの母親に教えられて、お酒についてよく知っています。
そして何より、たらふく飲めるのです。
”ザル”というお酒をいくらでも飲める人を指す言葉がありますが、ナオミは ”バケツの底抜け”なのです。
“笊”はまだ、すくう時に「抵抗」がありますが、”バケツの底抜け”はその「抵抗」すらありません。
分かっている人ならこう思う筈です。
「飲ましても”無駄”な人」。
そんな感じで、ナオミは合コンに向かいます。
もちろん、美味しいお酒が目当てです。
お店としても、お酒に合う料理を用意出来なければ、美味しいお酒をおく意味がありません。
「美味しいお酒」を出すお店は、「肴も美味しい」のです。
ナオミは、楽しくお酒を飲みます ・・・ ご機嫌です。
お酒も料理も美味しいからです。
料理を食べると、ナオミは少し考えます。
それを見た男どもはこう思うのです。
「もう少し飲ませれば、イケるかな?」
でも、ナオミはこう思っているのです。
「この材料だと、こんな風に調理すると美味しくなるんだ ・・・ 」
次におかあさんと飲む時の”肴”にしようと考えているのです。
でも、男から色々言われると、取り敢えず答えます ・・・ 可もなく不可もなく ・・・
男どもはナオミを飲み潰す事しか考えていません。
酔っぱらわせれば何とかなると信じているのです。
仮にナオミが酔っぱらってお持ち帰りされても、お持ち帰りした男は ”タダ”では済みません。
魔女には ”危機管理システム”があるのです。
良くて ”打撲”、悪ければ ”再起不能”です。
そして、宴たけなわの時にナオミが提案するのです。
「私が勝ったら、ここのお支払いは宜しくね。」
勿論、お酒の飲み比べです。
お酒の種類は問いません。
たくさん飲んだ方が勝ちなのです。
何故か、ナオミ以外の女の子は心配していません。
宴たけなわなので、みんな思考能力が衰えているのです。
「よ~し! もし俺が勝ったら、お支払いはいいから、お持ち帰りをさせてもらうぞ!」
そんな戯言が飛び交いながら、勝負が始まります。
「美味しいお酒」と「美味しい料理」のお店なので、料金はお高いのですが、男はみんな”お坊ちゃま君”なので心配いりません。
どんなお酒でも、沢山飲んだ方が勝ちなのです。
当然、アルコール度数の少ないものが人気です。
近頃人気のアルコール度数の少ないビールを、男どもは飲んでいるのです。
でも、ナオミは違います。
ここぞとばかりに、高級なウイスキーを水割りで飲み始めます。
濃いめです。
グラスを空けるごとに、ウイスキーの濃さが増えていくのが分かります。
男どもはこう思います。
「勝ったな ・・・ 」
でも、宴たけなわの前に、男どもはシコタマ飲まされているのです。
こうなる展開を知っている女どもは、それまでにキツイお酒を男どもに飲ませていたのです。
一気飲みをしたりすると、女どもはこう叫んだのです。
「○○君、かっこいい!」
「✖✖君、すてき!」
そして、ナオミは ”バケツの底抜け”なのです。
特にナオミが好きなのがウイスキーなのです。
男どもがグデングデンになった後も、ナオミはハイボール用のグラスでウイスキーをロックで飲んでいたのです。
そして、そう一つルールがあるのです。
酔いつぶれたら ”負け”なのです。
どんなに男どもが頑張っても、酔いつぶれるのは男どもの方なのです。
そんな感じが、ナオミの18歳の時だったのです。
そして1年が過ぎて、ナオミは誘われなくなってきたのです。
”人に気付かれないオーラ”が復活してきたのです。
ナオミが20歳になった頃には、みんな合コンどころではありません。
就職活動の開始です。
「先んずれば人を制す」なのです。
いくらお坊ちゃま君でも、良いとこのお嬢様でも、親の七光りだけでは不安なのです。
ナオミは就職するつもりはないので、学業に専念です。
ナオミはお酒も好きですが、勉強は嫌いではありません。
魔女の習性で、知識の吸収は喜びを感じるのです。
勉強していれば、ゆたかの事を忘れることが出来たからなのです。
自分で掛けた魔法ですが、何故か ”物凄く強力な魔法”を掛けてしまったのです。
ゆたかがナオミの様に何でも出来る様になるまで二人は会わないという魔法です。
考え直してみれば、何もかにも ”具体的”ではありません。
でも、魔法を掛けてしまったのです。
理路整然とした感じではなかったので、その時の勢いで魔法を掛けてしまったのです。
よく考えれば、「非常に質の悪い」魔法なのです。
目的も何もないのです。
勢いで掛けた魔法なので「解き方」が分からないのです。
そんな頃、ゆたかが社会人になって、ハルミと美智子は大学生になっていました。
ハルミと美智子は、ナオミと同じIT関係の学部なので、三人でお勉強です。
新入生の時、ナオミは合コン三昧でしたが、ハルミと美智子は真面目なのです。
三人でゼミ室を占領していたほどです。
ナオミは、そんな真面目な大学生活だったのです ・・・ ???




