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駄目(俺+魔女)  作者: モンチャン
11/166

11 月曜日

月曜日


いつもの時間にスマホの目覚ましで起床。

月曜日だが何故か気分爽快。


階下から音が聞こえ、ナオミの存在が確認出来る。

昨日のような不安感はない。


起床時間を教えていない筈なのに、何故かナオミは分かっていた。



顔を洗って身支度を調え、キッチンに立つナオミに声を掛ける。

「「おはよう」」、二人でデュエット。


手際の良いナオミの捌きで美味しい朝食は終了。



俺の平日の朝は早い。


早朝ジムでウエートトレーニングをしてから出勤する。


以前、会社帰りに利用しようとしたが、空きロッカー探し・空きトレーニング機器探し・空きシャワー探しに呆れて、早朝利用に変更した。



ナオミも一緒に出掛けるという。


二人で自転車に乗って駅近くの駐輪場へ。

二人で「おはようございます」と管理人のおじさんに声を掛ける。



自転車は半年契約済みで、登録ステッカー確認のみのスルーパスだ。


俺の自転車は登録済みだが、ナオミの自転車はオフクロが使っていたヤツだ。


オヤジの北海道出張に付いていく際、わざわざ近所の自転車屋でお気に入りを購入した。

しかし知り合いから、北海道では雪で自転車は半年使えないし、どこかに行くなら車の方が便利という事で、諦めて置いていった。


オフクロが使っていたときとの違いはサドルの高さで、目一杯あげてあるが両方の足先が余裕で届いている。


試しに俺も跨がってみたが、ペダルをこぐのが精一杯で完敗。


当然駐輪場の登録はしていないのに「おはようございます」のスルーパスで受付を抜けた。

後ろの泥除けを見るとシッカリ登録ステッカーが貼ってある。いつの間に?



まず、電車に乗って通勤ルート途中の駅にあるジムに行く。


ナオミの荷物は、元俺の鞄一つ。


先に歩くナオミは、鞄からカードを取り出して自動改札を抜ける。

まるで違和感を感じない。


続いて俺もIC定期券で改札を抜け二人でホームに向かう。



月曜日は営業担当者や外回りの会社員が会社に集合する事が多く、電車は結構混雑するが、あっさり二人分の席を確保。


渋谷で乗り換え3つ先の駅で降りてジムに向かう。


最初に電車で座った際、「今日はどうするのか?」と尋ねたら、「まずジムに行く」とナオミに答えられた。


ジムに入ると、最寄り駅の改札と同じ様にナオミが先を歩き、会員と変わらない動作で受付を抜けた。

不思議とは思ったが俺も受付を抜けて更衣室に向かう。


ちゃっちゃと着替えて更衣室前でトレーニングシューズの紐を締める。顔を上げると準備万端のナオミが待っていた。

確か女子用更衣室には元俺の鞄しか持って行かなかったと思ったが、ナオミだからと考えるのは止めた。



まだレッスンが始まっていないエアロビ等を行うスペースで身体をほぐす。


昔は運動前に徹底的にストレッチをする事が推奨されたが、近年は筋等が緩み過ぎる危険性が指摘され過度なストレッチはしない。



学生の頃は身体を2パートに分けガンガントレーニングを行っていた。

社会人になって時間の制約の為身体を3パートに分けてメニューを組み直した。


ナオミはどうするのかと見ていると、慣れた感じで自分のトレーニングを始めていた。


「よし!」と気持ちを引き締めて自分のルーチンに集中する。


昔の方がセット間のインターバルは長かったが、社会人になってからは時間の余裕がないのでインターバルが短い。

いつものメニューを終了し、軽いストレッチを行う。各ルーチンの間には必ず水分補給をする。


俺は給水器で水分補給をしているが、ナオミはいつの間にかステンレス製のボトルで何かを飲んでいた。


「あがるよ!」と声を掛けると「は~い」と返事をされた。


着ているウェアーはこのジムのレンタル品ではなく、水着に毛が生えたような男の目を釘付けにするようなものでもない。

センス抜群は間違いなく、シューズもフィットしていた。



シャワーを浴びて着替え、受付近くのカウンターで待っていると直ぐに鞄一つのナオミが現れた。


「何か飲むか?」と聞いてみると「同じヤツ」と言われたのでいつも飲んでいるちょっと苦みのあるヤツを2つ頼んだ。

普通のプロティンドリンクは甘い感じがするが、いつも飲んでいるヤツは多少苦みがある。


ナオミは大丈夫かなと思いながら、出来上がったドリンクを渡す。

ちょっと不思議そうな顔をしたが、「美味しい」と笑いかけられて一安心。


「この後どうするんだ?」と聞いてみると、鞄から料理学校の登録証を見せられた。

いつの間にとは思ったが、相手はナオミなので聞く必要もない。


「帰りは?」とナオミに聞かれ、会社の人事から残業は出来るだけしないようにとのお達しが回っているので「定時」と答えた。



ジムの入り口でナオミと別れ駅に向かう。


1時間以上ジムにいたので、電車内は結構混雑している。

テレワーク推奨とは言っても週一での打ち合わせは必要で、月曜日か金曜日にそれは集中するので混雑は仕方がない。


会社の最寄り駅で降り、会社まで徒歩で向かう。


「定時」とナオミに言ってしまったのを思い出して焦った。


もう何年も一緒に暮らしている感覚になっていたが、1週間も経っていない。俺の会社のことも何も話していない。


それとナオミはケータイ関係を持っていない。

義理の姉のヒロミが言っていた「ナオミは最上級の魔女だから」に期待することにした。



会社の席に着くと人影はまばらで、サーバが立ち上がっていない。


全国版の設計システム用のサーバは24時間稼働しているが、設計部専用は日曜日は切れてバックアップが走る。


前の月曜日に立ち上げ手順をミスって、先輩女子社員に怒られた。

このオネーサンにはいつも何かしらで怒られ、女性恐怖症は絶対治らない。


今回はメモに記された手順通りに、指差確認を行いながら実行した。


モニターを確認して正常作動完了。

安心してコーヒーを入れて飲んでいると例のオネーサン登場。


彼女はモニターを確認して、俺に向かって親指を立て「グッジョブ!」と言われてホッとした。

隣の同僚から、「褒められたの初めてじゃね」とからかわれたが多分その通りだ。



無事に業務を終え、サッサといなくなる女子社員に続いて帰宅の準備。

今日は月曜日で全体打ち合わせもあり、現場に応援に行っている先輩社員も多くて飲みに誘われた。

「疑似単身赴任中!」と言うと、皆、納得して手を振っていなくなった。


電車に乗って運良く座れた。

スマホを見ながらどうやってナオミに連絡しようかと考えながら住所録をスライドさせていると「ナオミ」の文字を発見。


もしかしてと、ラインの画面も確認してみるとやはり「ナオミ」の文字とナオミの笑顔の写真が一番最初に出ていた。


ラインでナオミに「今から帰るから6時半には帰宅出来る」と連絡する。

通勤時間が短くて済む事をオヤジに感謝しながら。




既読の確認が届くのはまだだろうと、スマホの画面を消そうとして初めて気付いた。


待ち受け画面がナオミになっていた。

ちょっと顔がにやけたが、変なヤツと思われたくないので頑張って平静を保った。


確認のため、保存しておいた待ち受け画面用のアルバムを確認して驚いた。


全てナオミになっていた。


色々なポーズのナオミが保存されていて、ビビッたのは例のミニスカワンピの写真であった。

ご丁寧に胸のVカットを下に下げたものや、ミニスカの裾を持ち上げてパンツ丸出しの写真もあった。


焦って隣のヤツが俺のナオミを覗いていないか確認したが、両サイドはオネーサンで、二人ともスマホを一生懸命いじっていた。


特に左隣のオネーサンは物凄い勢いで画面を叩いており、たまに勢い余ったヒジテツを食らうので鞄でガード。

オネーサンのスマホ画面は当然ヒビが入っており、ナオミだったらぶっ壊しているのかなあと思いながらスマホをオフにした。




最寄り駅に着いて改札を抜けると、満面の笑みでナオミが立っていた。


俺以外にその笑顔を見せたくないとダッシュでナオミの横に立つ。

「何を急いでいるの?」と聞かれたが、焦ったので喉が掠れて声にならなかった。

深呼吸を3回してから「買い物してく?」と聞くと、「万全!」といつ購入したのか結構大きく膨らんだマイバッグを見せられた。


買い物でいっぱいのバッグを受け取ると、ナオミに手を繋がれエスカレーターで降りていく。

ついこの間まで、俺たちみたいなカップルを見ると石でも投げたくなっていた自分に笑ってしまった。

不思議そうに俺の顔をのぞき込むナオミに思わずキスをしそうになったが、必死に耐えていたら感づいたのか笑われた。



駐輪場のオジサンに挨拶して自宅に帰る。

トレーニングで汗まみれになったシャツや短パンを洗濯機に入れると、既にナオミのウェアーが入っていた。

着替えて夕食の用意を手伝おうとキッチンに向かうと、ほぼ夕食の段取りは終了していた。



いつものように向かい合って食べる。

何で二人で食べると美味しいのか分かるような気がしてナオミを見た。


「なあに?」と聞くので、「美味しい」「全部美味しい」と言うと嬉しそうに微笑んでくれた。

「幸せだなあ~」とはこういう時に言うのかと頬をかいていた。


幸せな夕食が終わり、二人で手際よく片付ける。



リビングに移動してテレビを見ながらコーヒーを飲んでいた時、スマホの話題を振ってみた。


「ナオミはスマホを持っていないのに、なんで俺のスマホにアクセス出来たんだ?」

「今は魔法もデジタル」との答えに取り敢えず納得。


「待ち受け用保存写真のミニスカは止めてくれ」と言ってみた。


「エ?だって好きじゃない」

ドギマギしながら「好きだけど」と認める。


俺はナオミに嘘は言わない。

どうせ言っても直ぐにばれる。

たまに冗談でむくれる顔も可愛いが、笑っている顔は全てを駆逐する。



「風呂上がりにハーゲンダッツ食べよう!」で意見の一致。


先にナオミが先に入って俺が次に入る。


風呂から上がると、ハーゲンダッツは準備完了。


美味いものを食べると笑顔が出るが、大好きな人と一緒ならなおさら。


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