102 いつもの日常? -4 (家族)
いつもの日常? -4 (家族)
ひろしです。
バックにペピーノ・ガリアルディが歌う「ガラスの部屋」はかかっていません。
僕は、近頃「ソロキャンプ」で有名になっている「ひろし」ではないからです。
何故かって、僕はこの物語の主人公のナオミの父親、正確には義理の父ですが、妻のめぐみの言う通り本当の娘より愛している「娘」の父親です。
本当に目に入れても痛くありません ・・・ 何なら、ヤッテ見せても良いですよ。
めぐみです。
おとうさん! そう言う冗談は、止めてください!
ほら、、ナオミがその気になちゃってますよ!
一緒に眼科にはついていってあげませんからね!!!
横にスマホを置いておきますから、救急車は自分で呼んでくださいね!
あ! こんなくだらない事で、救急車なんか呼ばないでくださいね。
救急車の方々は、忙しいんだから。
好き勝手言うなら、もう横にいてあげません!
ひ、ひろしです ・・・
め、めぐみさんに怒られてしまいました。
結婚する前は、こんな事はなかったのですが、めぐみさんがいてくれないと、僕は「タダの駄目人間」になってしまうのです。
どうしたんでしょう? 僕は?
「めぐみさ~ん! ごめんなさ~い。 ねえ、、どこに行っちゃったの? 」
そういう事で、おとうさんはワンコのタロウとニャンコのクロにお相手をしてもらって、退場です。
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ナオミです。
わたしの両親、旦那さんの生みの親なんですけど、おとうさんはうちにいておかあさんと一緒の時はいつもこんな感じです。
通訳の仕事とかで会社に行ったら、おとうさん、違う人みたいに「偉そう」?でした。
どうなっているのでしょう?
この件について、おとうさんにお話しして貰おうと思ったんですが、おうちだと「役立たず」?なので、今回のお話はおかあさんにお願いしてみます。
エヘン! (偉そうに咳払い)
そう言う事で、おかあさんこと、わたし、めぐみが前回 (85) に引き続きお話をさせていただきます。
お話の内容は、私の子供達のお話です。
私が産んだ子供もいますが、私が育てた子供もいます。
私、おかあさんは”優秀な子供”が大好きなのです。
み~んな、魔女や鬼女や魔法使いです。
では、はじまり! はじまり~!
* 鬼女 美智子
お話をする子供の順序は”若い順”です。
まあ、近頃の高校生の魔女にも、見込みのありそうな子はいるのですが、まだまだなので、「間違いなく優秀な子」の美智子からです。
”美智子”は、私のお友達の鬼女の娘さんです。
鬼女は魔女の日本版で、魔女と基本?は変わりません。
滅茶苦茶怒ったりすると”般若”になる事と、魔法を使う時に目が金色に光るのが、魔女との違いです。
鬼女も魔女と一緒で、女の子は”一人”しか生まれないのですが、何百年に一度くらいに”二人”生まれることがあります。
二人目に生まれた鬼女は、魔女の二人目に生まれた女の子と同じで、”化け物”になるのです。
見た目ではありません。
持って生まれた能力、使える”魔力”が違うのです。
当然、使える魔法も多く、発動される魔法の力は”強大”です。
魔女と同じ様に数百年に一度しか生まれてこないので、文献にも詳しい事は書かれていません。
ナオミは”二番目に生まれた魔女”なのですが、ず~っと一緒にいる様な私でも、詳しい事は分かりません。
ただ、普通の魔女や鬼女が、精一杯の魔力で出来る魔法が、いとも簡単に出来てしまいます。
例えば”瞬間移動”です。
普通は自分一人を移動させる事しか出来ません。
でも、夫と一緒に瞬間移動が出来るのです。
多分、夫以外の人とでも瞬間移動が出来るとは思うのですが、夫以外の人とは一緒にくっ付いていたいとは思わないと思います。
私も夫と一緒に瞬間移動をした事がありますが、膨大な魔力を必要として、物凄い長い呪文が必要でした。
私の場合は魔法使いですが、普通の魔女や鬼女でも、誰かを連れて瞬間移動するなら、長い呪文と、タップリ溜めた魔力がないと実行出来ません。
それを、ナオミや美智子は、いとも簡単にやってしまいます。
勿論、呪文などはいりません。
いるのは、”行き先を思い描く事”だけなのです。
私は姉妹二人、夫は兄弟二人で、兄と姉、弟と妹が一緒になったのです。
”美智子”という名の女の子が、私の妹の子供にいたのですが、中学生の頃に酔っ払い運転の車による事故で亡くなってしまいました。
妹も、私と同じ”魔法使い”なのですが、自分の娘を助けることが出来ませんでした。
この時ほど、”危機管理”の魔法が必要だと思った事はありません。
自分は、自分の周りの人は大丈夫だとしないで、事故は起きるものだと最初から設定する必要があったのです。
ただ、私は亡くなった姪っ子にそっくりな女の子がいる事を知っていました。
私のお友達で、弁護士をしている鬼女の二番目の娘さんで、名前も同じ”美智子”で歳も一緒でした。
ただ、亡くなった姪っ子は大人しい性格でしたが、鬼女の美智子は”激しい性格”で、突っ張って生きているという感じの女の子でした。
私の趣味は、出来の良い魔女を教育して、さらに才能を伸ばしてやることなので、”対象”としてはピッタリで、美智子をよくうちに連れてていました。
魔女や鬼女は、基本的に”男嫌い”な性格なので、息子のゆたかには、近づくことはありませんでした。
でも、鬼女の美智子は、かなりの”シスコン”で、私の娘のヨーコの事は大好きで、ヨーコの言う事には逆らったりしませんでした。
ヨーコは、母親の私の様に魔法使いになろうとは思っていません。
でも、母親のわたしの”血”を受け継いでいるので、魔法使いではあるのです。
それでも、魔力が半端ではない美智子やナオミに付け入るスキを与えないのです。
ヨーコの武器は、”言葉”なのです。
言葉、 いや 、”言霊”と言った方が良いのだと思います。
まあ、ヨーコについては、「ヨーコの項」でお話しします。
鬼女の美智子は、わたしがうちに連れてきてるうちに、自分から遊びに来るようになりました。
特にゆたかとナオミが結婚してからは頻繁に来るようになり、元々ナオミの事は”実の姉”以上に大好きだったのですが、いつのまにやら、ゆたかの事を”兄”として慕う様になっていました。
”棘だらけ”のサボテンの様な性格は、スッカリ丸くなり、原宿のカフェの手伝いが出来る様になりました。
昔の美智子からは考えられないことです。
”気に入らない相手”に対しては、徹底的にヤッツケないと気が済まない性格だったからです。
よく分かりませんが、ゆたかを”兄”として扱う様になってからなので、ナオミの力なのか、ゆたかの力なのかは分かりません。
そして、ゆたかとナオミの策略なのかは分かりませんが、ゆたかの従弟のつよしと仲良くなって結婚してしまいました。
ゆたかとナオミの様に”相思相愛”なので、口をはさむ余地はありません。
でも、そんなに優しくなった美智子でも、激怒することがあった様です。
鬼女は激怒すると”般若”になるのです。
普通の事では、そんな事にはなりません。
普通と言っても、魔女や鬼女の話ですから、一般の方が考える”普通”ではありません。
それは、美智子の夫、つよしに関する場合なのです。
つよしは小さい頃から空手をやっていました。
私の義理の父親、つよしにとっては祖父ですが、空手が好きだったのです。
”胴着”とかはありますが、ジャージを着ていても問題はなく、基本的に”道具”の類はいらないからの様です。
義理の父は、孫のヨーコにも空手を教えていましたが、つよしにも教えていたのです。
つよしは今でも続けているのですが、中学生の頃から空手の才能を発揮して、高校生で全国大会に出ていたのですが、勝っていたのに途中で棄権してしまいました。
妹の美智子が交通事故で亡くなってしまい、「心が折れて」しまったのです。
つよしの強さは、妹の応援に支えられていたのです。
ここまでは仕方のない事ですが、つよしに負けて、それを”根”に持った男がいたのです。
お金持ちのお坊ちゃまで、負けたことが無かったそうで、つよしに負けてから、人生にも負ける様になったのだそうです。
つよしには負けてしまいましたが、それまでは頑張っていたのだと思います。
頑張っていなければ、全国大会などには出られないからです。
お金持ちのお坊ちゃまですから大学にいっていたのですが、最終的にヤクザの世界に入ってしまったそうです。
ちょっとした事なのですが、そこで適切な対応をしないと、その後、全ての事が狂ってくるのです。
ボタンの掛け違いと同じで、最後に行って気付く事が多いのが、人間の性なのです。
政治家と一緒で、ヤクザの世界も「お金を集める」のが得意な人が偉くなるようです。
何せお金持ちのお坊ちゃまだったのですから、どこにお金があるのかを知っていて、ヤクザの先輩からお金を搾取する方法を教えてもらったので、年齢が若いのに偉くなってしまったようです。
それに、空手の全国大会出るくらいの実力はあったので、「腕っぷし」もそれなりだったのも偉くなれた要因だったのです。
この男が所属したヤクザの組織は”武闘派”でした。
それでもヤクザも”仕事”?ですから、お金を儲けなければいけません。
お金儲け?も、腕っぷしも、両方を兼ね備えたこの”おぼっちゃま”は瞬く間に、偉くなったらしいのです。
その男は、30歳になる前に”組長代理”にまで上り詰めたのです。
組長の年齢は40歳代だったのですが、殆どの組員は25歳以下だったと言われていました。
ガチガチの”武闘派”集団だった様で、高齢者はいなかったようです。
極端な”武闘派”であった為、ある程度の年齢になった組員は、傍系の組に行くか廃業するしかなかったらしいのです。
まあ、生き残っていればの話ではありますが ・・・
どの世界でも、上に上がっている時は余計なことは考えないのです。
でも、あるところで”停滞”すると、余計なことを考えてしまうのです。
この”元お金持ちのお坊ちゃま”もこの状態になったのです。
”組長代理”は、その組のナンバー2だったからなのです。
だから、無駄な考えが浮かんできてしまったのです。
その考えは、「何故、自分はこうなってしまったのだろう」という思いだったのです。
上を目指していた時には、思いもしない事だったのです。
忘れていた事を思い出してしまったのです。
大学生なのに、高校1年生に完敗してしまった事を ・・・
「あの野郎の所為で、俺はこんな人生を歩んでしまった。」と ・・・
”あの野郎”とは、つよしの事なのです。
つよしは天才的に空手が”上手”でした。
相手の動きが見えたのです。
異常なほどの”動体視力”のなせる業なのです。
そして、相手の動きを瞬時に”予測”出来たのです。
予測が外れた事など、ただの一度もなかったのです。
だから、つよしは空手が強いのではなく、上手だったのです。
その試合の時、つよしが優勝でもしていればこの男も納得したのでしょうが、この男に勝った次の試合を辞退して、つよしは空手の世界から消えてしまったのです。
その時に、つよしの妹の美智子が、交通事故で亡くなったのです。
妹の美智子は、つよしの試合を観る為に、応援する為に、試合会場に向かっている時だったのです。
酔っ払い運転の代議士の息子が犯人だったのですが、その場から逃げ去り、代わりの人間を出頭させた卑劣な男なのです。
ちょっとした事なら、つよしには伝えなかったのでしょうが、妹が亡くなってしまった事を、つよしは聞いてしまったのです。
つよしの心は折れてしまいました。
妹に”格好いいお兄ちゃん”を見せたいだけで始めた空手だったのです。
その日、その時に、”つよしの目標”は消えてしまったのです。
勿論、お坊ちゃまの男が、つよしが消えてしまった理由を知る筈もありません。
でも、つよしの妹の美智子が亡くなってしまったことで、二人の男の人生が変わってしまったのです。
つよしは人生の道を踏み外しませんでしたが、この”お坊ちゃま”は人生を狂わせてしまったのです。
酒におぼれる様になったお坊ちゃまは、今、所属しているヤクザの組員と喧嘩して、どういう訳か組長に気に入られて、そのままその組員になってしまったのです。
酒におぼれた時点で、父親からは勘当されていたのですが、3人兄弟の末息子だった為、母親が毎週の様にお小遣いとして、大金を息子に渡していたのです。
そして、母親から、知り合いの金持ちの情報を入手して、”裏金”を持っていそうな金持ちから、お金を脅し取っていたのです。
ヤクザの世界の情報網は、警察のそれに匹敵する、もしかしたらそれ以上と言われています。
それでも、おぼっちゃまに勝った相手を探し出すのは大変だったのです。
何故なら、つよしの母親は魔法使いで、つよしを完璧なセキュリティで守っていたからなのです。
娘を亡くした母親は、世界最強の魔法使いである、姉のわたしに泣きつきました。
「もう、自分の子供を死なせたくない!」
つよしの母親も魔法使いだったのですが、最強の魔法で息子を守りたかったのです。
母親からは”愛情”を、そして伯母であるわたしからは”最強の魔法”を、そしてそれらを混ぜて練り込んだのです。
ただ、この魔法には”期間の制限”があるのです。
いつまでも続く事の出来る魔法は、ナオミの様な特殊な魔女しか実行出来ないのです。
この魔法の期間は、”つよしが結婚するまで”としなければいけませんでした。
つよしが鬼女の美智子と結婚すると、この魔法が解けたのです。
美智子につよしが初めて会った頃は、美智子はつよしにとって”妹”だったのですが、いつも間にか”妹”から”恋人”になっていきました。
そして、つよしにとって一番大切な人になったのです。
でも、美智子はつよしに会った時から、不思議な気持ちになっていました。
そして、直ぐに、自分にとって一番大切な人になってしまったのです。
つよしに掛かった母親達の魔法が解けると、つよしの情報が完璧に守られる事はなくなってしまいました。
そして、お坊ちゃまの男に、つよしの存在が分かってしまったのです。
つよしの母親や、ゆたかの母親でありつよしの伯母であるわたしは、”二番目に生まれた鬼女”の美智子がつよしの嫁になったので、魔法が解けても安心していたのです。
ある時から、つよしは会社の帰りに、見ず知らずの男達に襲われる様になったそうです。
つよしは、毎朝、運動がてらに、”空手の型”の動きと、”巻き藁”を叩いていたので、毎回、簡単に男達を打ちのめしていました。
つよしが簡単に勝てる相手である間は、美智子はうちで夕食の準備をしていたのです。
美智子は、昼間は原宿のカフェで、知り合いの魔女のおばさまの代わりにオーナー代理で店番をしていましたが、夕方にはうちに帰っていたのです。
勿論、移動は”魔法”なので、あっという間の”瞬間移動”です。
しかし、1週間目に、美智子は帰宅途中のつよしの横に現れました。
その時につよしを襲ったやくざ達は、”銃”を持っていたからなのです。
魔女と一緒で、鬼女の夫は”鬼女の一部”になるのです。
だから、鬼女の美智子は、夫の事が自分の事の様に分かったのです。
現れた美智子は、ナオミに憧れているので、黒のミニスカスーツに黒のピンヒールのハイヒールです。
美智子が右手を横に払うと、男達の銃を持った手首から先が、路上に転がったのです。
「アっ!」という間だったそうです。
魔女や鬼女に躊躇はありません。
もう少し美智子が若かったら、路上に転がったのは、”手首から先”ではなく、男達の”首”だったのだろうと思います。
美智子は瞬時につよしに口づけをしたので、つよしは何が起きたのか分からないままだったそうです。
男達が蹲ると、美智子は黒い魔女の格好から、いつもの”可愛い美智子”に変わりました。
つよしが後ろを振り向かない様に、美智子はつよしと手をつないで、足早に家に帰っていきました。
顔色一つ変えませんでしたが、美智子は相当怒っていたようです。
その日の夜、ベッドの上で美智子はつよしと愛し合いながら、こっそりと、つよしに魔法をかけました。
男達に襲われた事を全て忘れさせる魔法だったのです。
次の日、原宿のカフェにいた美智子は、オーナーのおばさまに言いました。
「ちょっと、”野暮用”があるから、30分くらい出掛けてきます。」
カフェの裏にある休憩室に入った美智子は、霧の様に消えていきました。
美智子の行き先は、お坊ちゃまの男がいるヤクザの事務所です。
場所は、つよしが出かけた後に、魔法のパソコンから情報を得ていたのです。
美智子は、魔法のパソコンに、こう指示を出しました。
「今日の午後2時に、バカタレ達を全員集めておくように。」と。
自分の最愛の旦那さんに悪さをする連中を、一掃しようと思ったのです。
美智子は、とある場末のビルの2階にある「○○興業」と書かれた扉の前に立っていました。
格好は”黒い魔女”と同じ、黒いミニスカスーツに、10cm以上の黒のピンヒールです。
ナオミやハルミもそうですが、この格好をした美智子は、体の線が丸見えで、惚れ惚れするくらいに”素敵”です。
午後2時に丁度に、美智子はその扉を蹴飛ばしました。
スチール製の扉は、コンクリートの中の鉄筋に溶接されて固定された”枠”ごと、事務所の中に吹っ飛んでいきました。
中には30人ほどの、若手のやくざ達が屯していました。
勿論、何人かは吹っ飛んできた扉の下敷きになってしまいました。
扉の下敷きになった男達が立ち上がり、全員が埃が落ち着いて、見える様になった扉の方を見ました。
そこには、身長は高く、美人で可愛い顔をしたスタイルの良い女の子が、黒のピンヒールに黒のミニスカのスーツを着て、立っていたのです。
まだ、その女の子の顔は”美智子”です。
いつもは目立たない様にオーラを纏っている美智子ですが、化粧もしないのに恐ろしいほど可愛く美人なのです。
扉が吹っ飛んできたことも忘れて、舌なめずりをする男達が殆どであったと思われます。
それ程、私の”娘達”は可愛く美人でスタイルが良いのです。
みんな、私に似たのだと思います ・・・ 自画自賛!
美智子は言いました。
「組長代理は、そこに座っているあなたね。」
恐ろしいほどに可愛い声だったと思います。
恐ろしい事に、美智子は怒っている時の方が、逆に声は可愛いのです。
男達は気付くべきだったのです。
こんなに可愛く、美人でスタイルの良い女の子が、こんな場末のビルに入ってくる事など、ある筈がない事を。
組長代理は言いました。
「何の用だ。 俺達と遊びたいのか?」
そう言い終わると、座っていた机の上に、ゴロゴロと丸いものが山済みになりました。
よく見れば、その丸いものが何だったか分かる筈なのですが、「そんな筈はない」と思う気持ちが、組長代理を包んでいたのです。
もう一度扉の方を見ると、可愛い女の子はもういませんでした。
そこには、黒い喪服を着た”般若”が立っていたのです。
般若の額には、10cmくらいの角が2本生え、唇は両耳まで裂けて、目は大きく見開いて金色に光っていたのです。
そして、組長代理は気が付きました。
やたら、周りが良く見えることを ・・・
さっきまでは、男達の頭で、入り口にいる女の子が良く見えなかったのに ・・・
よく見ると、組員たちの首から上が無いことに気が付きました。
そして、机の上に山積みになったものは、組員たちの頭の部分であることを ・・・
組長代理は、何か言おうとしましたが、声がカスレて、ヒューヒューと息を出すのが精一杯でした。
般若の女はこう言うと、消えていなくなりました。
「さあ、みんなであいつをグチャグチャにしておくれ!」
勿論、さっきの可愛い声ではなく、女の声なのですが、地獄の底から響いてくる様な、身の毛もよだつ低い野太い声だったのです。
その言葉が終わった途端、首のない男達は、手にナイフや日本刀も持って、組長代理の男に襲い掛かったのです。
10分もしないうちに、美智子はいつもの様にブラウスにタイトなスカートを着て、オーナーのおばさまに声を掛けました。
「”野暮用”、終わりました。」
3時になると、昼間の情報番組で、緊急ニュースが流れました。
あまりに凄惨な状況なので、詳しくは報道されなかったのですが、ヤクザ同士の抗争で男達30人くらいが死んだという内容でした。
特に、組長代理らしい男の損傷が激しかったとだけ、報道されていました。
原宿のカフェでスマホを見ていた魔女のお姉さんが言いました。
「いやね~! 人間の男って。 野蛮だわ、本当に。」
それを聞いた他の魔女や鬼女のお姉さん達も、スマホでニュースを確認していました。
そのニュースを聞いていた美智子は、オーナーの隣の席で、何事も無かった様に、優雅にコーヒーを楽しんでいたのです。
魔女を怒らせても怖いのですが、鬼女を怒らせると”般若”に変わったりするので、読者の皆さまはお気を付けください。
とまあ、美智子はつよしを物凄く愛しているので、つよしに悪さをしようとする者は、徹底的に叩き潰してしまいます。
でも、そんな素振りを、愛している旦那様には、微塵も見せることはありません。
美智子は、本当に、優しくて可愛い美人の女の子なのです。
だって、私が育てた”娘”なのですから ・・・
そんな感じで、”美智子”については終了です。
美智子は本当に可愛いので、”可愛いお話”でしたね。
次回は、”ハルミ”についてお話をしようと思っています。
あ~~。 のどが渇いたから、ビールでも飲もうかな?
あ! 昼間っから飲んでいると、ナオミに見つかると怒られそうだから、どこかに隠れて飲まないと ・・・




