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お嬢様は大変  作者: ニコ
8/11

一日は二十四時間ある!

 試験前の十日間は、授業一切なし。

 勉強に集中してってことだろう。



 ま、まあよかった。こんなやること沢山あるのに、九時間授業した後で、なんて、

 それこそ寝る暇も無くなる。



 ところが。



「な、なにこれ!」

「なんだよこれ!」

 異口同音にみんなの口から阿鼻叫喚。試験対策期間突入第一日。ホームルームだけ済ませるってことで、それぞれの教室に集められた私達。

 各教科の先生方から、分厚いプリントの束を渡された。


 プリントの中身はと言うと、各教科ごとに提出しなきゃいけないレポートについて!


 口から魂がひるひるひるひると抜けていくとはこのことだぁΣ(・ω・ノ)ノ!


 て、てゆうかこれ、絶対試験勉強なんかできないしって言いたいくらいの量。冗談じゃない、頭に詰め込まなきゃいけないことが山ほどあるのに!

 

 でも待って。


 もしかしてこれ、テストの点数が低くても、提出物で救うとか、そうゆうこと?


 これはもしかして一筋の希望?!


 すると先生はサラッっと言った。

「えー、提出物が遅れた場合。いくらテストの点数がよくても欠点扱いになりますから注意して」



 先生の言葉にみんなの顔がぱきぃぃぃぃんと凍り付いた……。







「一日は二十四時間あるわ」

 寮の部屋でアナスタシアがムンッと腕組み。そして頭に鉢巻! これは東洋で、やる気を出すときに使うおまじないなのだそうだ。

「それってどういう意味」もう生きてる気力もないといいだけなマリニア。そんな彼女にアナスタシアは言った。


 寝なきゃいいのよ!と(死ぬから)。


 そんなのやだぁビェェェェェェェと泣くマリニア。落ち着いて、いくらなんでも冗談だからと私が言うと、

「冗談でこんなこと言わないわ」とアナスタシア。ちょっと落ちつこう。


 とりあえず、レポートの内容。

 歴史、今まで習った内容を自分なりにまとめる。

 文学、上に同じ。但しこちらは文法についての問題集もやること。ちな、みんな内容が違う。

 物理は前に言ったか……。あ、ところで同じパターンの子はいなかったそうだ。

 先生の執念を感じますな……。

 外国語は、なんでもいいから好きな小説を選び、それを外国語に訳して提出。

 化学は問題集を解いて提出すること……これも物理や文学と同じ。みんな違う。

 ほかは似たような感じ。


 私はそれ見て思った。これって……。


「ねえマリニア」

 ビエビエなくマリニアに私は言った。これ真面目にやったら、テスト行けるんじゃないのと。

 だって内容見たら、一年間習ってきたことを使ってやってねって感じだし。


「言われてみたらそうだけど……」

 アナスタシアも貰ったプリントをめくり、うーむと唸る。でも暗記でとれるところは取りたいじゃない? と。

「そーだよお、その分だけでも多分欠点にはならないよぉ」とマリニア。

 それはどうだろう( ̄∇ ̄;)

 多分、暗記だけでとれる部分は二十点くらいじゃないかしら。せいぜい。

 ちなみに四十点取らないと欠点になっちゃうのだ。


「たぶん、じっくり考えて解く問題の点数が大きいんだよ」

 私はもう一度、貰ったプリントに目を通した。「だからこんなレポートさせるんだよ」


 それにどのみち、レポートやりながらもう一回ノートも見返す。その時に覚えてしまえばいい。


「ベアトは優等生だからサラッと言うけど」

 またマリニアがワアアアンと泣きだした。私はそうじゃないから困ってんのぉおおおおおおーと。


「諦めるのはまだ早いわマリニア」

 がしっ、とアナスタシアがマリニアの肩を掴んだ。そして言った。


「今日から戦争よ! うちてしやまん! よ」


 びしい、とアナスタシア、はるか天空を指さすのであった!









 それから……。

 私たちはがっつり組んでレポートに追われた。

 互いに苦手なところを教え合って。

 とにかく時間がかかる。だって写しあいっこが出来ない。それにホームルームで先生は、似たような記述、見つけ次第不可にしますとのたもうた。まあ、似たような記述にしたくても出来ないんだけどね。

 みんなヒーヒー。食事もそこそこに勉強する。間に合わないよぉと泣く声が図書室にこだまする。こうゆうことはもっと早く言ってくれよなと男子学生の声。ごもっとも。

 早く終わらせて試験勉強にと言う子もいるが、大抵はそんな余裕はない。

 で、私はというと、さっきも言ったけどレポートしながら暗記とゆう、出来てるかどうかわからないけど、やっていた。まあどのみち、完成させるのに何度も何度も教科書見なきゃいけないから、いやでも覚えてしまうんだけどね。

「頭がパンクする……」

 マリニアが前のめりになって机に突っ伏しそうになるのを、アナスタシアが定規で阻止。

 ぐさ、とマリニアの喉に定規が直撃。何すんのと言う彼女に、今度寝たらピンッピンの鉛筆お見舞いするよとアナスタシア。

 みんな鬼だぁぁ……喚く気力もないのか、マリニア、のろのろと鉛筆を動かし始める。

 気持ちは分かる。私も……このまま寝てしまったらどんなに楽か知れない。


 ちなみに、完成したら順次提出はしていいんだけど、

 内容が薄いと不可食らって戻ってくる!


 何があかんのだぁと叫ぶクラスメートたち。特に歴史の先生はヘンコツだから苦戦する子が続出した。

 で、その歴史の先生。不可三つ連続で、レポート内容を外国語に変えるからなと。

 

 冗談顏だけにして!


 そうして戦争みたいな十日間が過ぎた――。

 

「終わった……」


 ぴー、ちちち、と鳥のさえずりが聞こえる。


 私は寝不足の目をこすった。私の隣でアナスタシアが机に突っ伏してる。マリニアが椅子ごとひっくり返って床で寝てる。

 机の上に、整然と、とまではいかないけど、三人分のレポートの束が。


 ちな、私も不可を何度か食らったぁ……。

 これでダメって言われたらどうしよう。

 あ、でも、仮にこれでいいよって言われても、



 本番のテストはまだ終わってないんだよね……(トオイメ)。

 





 

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