みんなの試験対策
お正月もすぎて。後期も終わりに近づき。
みんなが憂鬱になる季節がやってくる。
それは何かとゆーと。
試験なのだぁ。
試験に関しては、我が家のポリシーとユーのがある。
それは、
「真面目に勉強すること(`・ω・´)」
なんだそれって言われてもこれが一番の近道じゃない?
「はいはい、ベアトは真面目だよ」
学校の図書室でぽーんと鉛筆を放り投げるマリニア。おいおいおい。アナスタシアからすかさず頭をはたかれる。
「駄目でしょ、ちゃんとやらなきゃ」
「分かってるけどぉ」
こればっかりはお父様に頼んでもどうにもならないのよねぇと、辞書をめくりながらマリニアがぼやく。
ちなみにうちの学校は、一年生の間は一般教養と言って、数学、科学、物理、文学、歴史、外国語等々、一通り文系理系をやる。二年生から専門科に分かれるんだけど、
「私、聖女のコースに行くのに一般教養いるぅ?」とマリニア。
ああ、そうだった。マリニアそっちに行くんだ。
別名、花嫁修業コース。
花嫁になるのにおべんきょーはいらないっしょとマリニアは言うのだが、
「何言ってんのよアンタ」
アナスタシアが眼鏡のフチを押し上げた。聖女ってすごい知識と教養が要求されるんだからねと。
因みに聖女になろうと思ったら、魔法の素質も要求されるんだけど、魔法の素質は誰でも持ってて、聖女コースはそれを引き出す訓練もやるのだそうだ。
「凄いスパルタだったらどーすんの?」というアナスタシアに、そんなことないわよ、だってお嬢様が通う学校なんだからとマリニア。
それは分かんないぞー。この学校、結構厳しいと思う……。
かくいう私はどのコースにするのかって?
もちろん、父様のあとを継ぐのよ。農業科。将来は国公立の農業大学に入って、サツマイモの研究しようと思うの。
えへへ、どんだけポテトが好きなんだって?
大好物。にゃは。
アナスタシアはと言うと、マリニアと同じコースには行かないんだって。え? でも花嫁修業は?
「私は卒業したらすぐにお妃教育だって」
あー、そっちか……。
で、結局彼女が選ぶのはなんと士官コースなの。つまり、兵士になるためのコース。
お妃教育するから、士官学校に行くわけじゃないけど、アナスタシアいわく、最低限の武器の扱いは知っておきたいんだって。
「いざという時、陛下をお守りできるようにしたいの」だそうだ。
少しシリアスな雰囲気になっちゃったが、それはさておき。
我が国の教育システムを説明しておこう。
私がいま通っているのはハイスクール。期間は三年。
ふつーの公立だと三年かけて一般教養をするんだけど、うちは一年で終わらせる。
もちろんやることは同じ上に内容が濃ゆい。そこは私立。
「わーんもう覚えられないぃぃぃ」
図書室にみんなの雄たけびがこだまする。
ちなみに今回のテストの最大の山場は外国語だ。そんな外国語の先生は最初の授業でこうのたまった。
「君ら、辞書の一冊くらいは暗記してきていますね? その前提で授業しますから」
先生の言葉にうんうんと頷いて数分後みんなで、
目玉が飛び出す顔文字になってしまった。んなことできるわけないだろぉ?!
ンなわけで外国語のテスト範囲は、海のように広い。
マリニアがもうやけになって鉛筆倒して山張ってる。
ただ、外国語の先生は、そんな調子だけど性格はすごくいい人なんだよね。真面目と言うか、優しいと言うか……。
例えばさ、私なんか発音が下手くそなんだけど、
「素晴らしい! とても素晴らしい発音です! では私がもう一回同じところを読みますので、よく聞いておいてください」
親切なのか、さらに蹴落としているのかよくわかんないけど、とにかくこうゆう人なのよ。
だから話したら分かってくれるかもしれない(何が?)。
分厚い教科書一冊分ですってテスト範囲を教えてくれるのも優しさからだろう(はい?)。
しかし。
「なあなあ、誰か色仕掛けで先生に範囲聞いてこいよ」と男の子の声が。
色仕掛け?
「それよりオヤジに頼んで賄賂とか」
はい?
だんだん雲行きが怪しくなってきた。
タラタラ冷や汗流して聞いてると、こんな声も聞こえてきた。
「そんなことより、解答用紙にお勧めのフレンチレストランの名前かいたら点数くれるらしいよ」と、別の子の声。
ふ、フレンチレストラン?
「ねえねえ、先輩から聞いたんだけど、グランドを百周したら単位くれるって言ってるよ!」
あの。
「えー、私は腕立て伏せって聞いたんだけど……」
するとそれを皮切りに、私は大食い大会で優勝したらって聞いたよとか、校内裸で一周したらって聞いたよと皆が言いだした。
「……寮に戻って真面目に勉強しよっか」アナスタシアがボソッと言う。
うん、と私は言い、部屋に戻った。もっと聞きたそうな顔してるマリニアを引っ張って。