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お嬢様は大変  作者: ニコ
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衣食足りて礼節を知る

 朝。修道院の食堂。と言ってもひろーい。すっごーくひろーい。

 どれくらい広いかって?

 聖都のお嬢様学校の生徒が全員入るんじゃないかと思うくらい広い。


 ちなみに、合宿に来てるのは私達(テンペレシオンス)だけじゃなく、他の学校からも来てる。


「あらおはよう。銀ぎつねさん」


 朝の畑仕事終わってへとへとの私達に厭味ったらしい声が……。

 振り返るとそこにいた。

 くるっくるの縦ロールのお嬢様が。


「おはようございますエレクトラ様」


 アナスタシアが恭しく頭を下げる。ちょっと、アナスタシアっ。こんなやつに頭下げないでっ。


 実を言うと、この人、毎回この調子。アナスタシアを見ては銀ぎつね銀ぎつね。

 とゆーか、アナスタシアも何も言わないから余計に調子に乗ってんだ。プンプンっ

 

 そんな私にアナスタシアは小声で言った。いいからって。


 それにしても、この人の姿見るたび思う。私達と同い年だったんだと。

 もっと年かと思ってた。だってクルクル縦ロールヘアをいつもわさわささせてるから、老けて見えるんだもの。

 と初日に正直に言ったらすごく怒られた。失礼ね!って。何で? 



 あ、そうだ、マリニアは……。


 姿が見えない。どこに行った?と思ったら、まだ配られる前のパンに手を伸ばしかけてた!

 ダメダメダメ、そんなことしたらっっ。


 アナスタシアと私、慌てて止める。パン頂戴、パンーっ、とうわ言みたいに言うマリニアをテーブルまで引っ張ってく。


「もうちょっとの我慢だから。ね? マリニア」

 アナスタシアが言う。合宿はあと三日だと。

「三日もあるんだ……」

 そう力なくつぶやくマリニアの瞳に涙が。私の目にもにじんできた。まだ三日もあるんだワアアン。

 とにかく、今は落ち着いてとアナスタシア。もうじきシスターたちが来るわよと。


 それ見てたエレクトラさんが、まー、平民の血が混じってるだけあって意地汚いわねと仰ってた。いつものマリニアならやり返すんだろうけど、今その力もない。


 そうこうしてるうちにお食事タイム。もう、待ってました。すきっ腹でこき使われてもう、もう。

 お皿に顔が映りそうなオートミールが入れられ、そこにお情けのバターがひとかけら。配られるパンはぱっさぱさでおまけに固い。新鮮なミルクがあるのだけが救い。


 食膳の祈りをささげ、さあ召し上がれ。


 みんな音を立てずに食べる。とゆうか、ここに来てみんなのお食事の行儀がすんごく良くなった。いや、元々そんなに行儀が悪いわけじゃないんだけど、さらに良くなった。何せほんとに音がしない。

 

 時々、私達の背後を、忍び足でシスターが見回る。


 あ、そうだ、オートミール、味がないんだよねぇ。お塩、お塩っと。

 手を伸ばしたら取れる位置にある。けど、手を伸ばすとマナー違反。


 じゃあどうするのかって?

 塩の入れ物の近くにいる人に、取ってくださいってお願いするの。

 するとさ、塩はリレー形式に、ぐるーっとテーブルを巡ってこっちに来るわけ。

 ちなみにテーブルは横に長く、20人くらい座ってる……。


 ようやく届いたお塩。私はオートミールに塩をブンブンかけた。なんかもう、意地になってた。

「ベアト、ベアト」

 アナスタシアが小声で言う。何?と思って顔を上げる。すると塩フルのヤメレと手で合図。マリニアも横で必死で合図。


 え? ま、まさか。


 食べてみる。



 からっ!


 塩辛いっっっ(泣)

 

 


 ワアアン、なんなのコレぇぇぇぇぇーっ。

  



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