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お嬢様は大変  作者: ニコ
10/11

春休みなのに(ノД`)・゜・。

 ぐきゅうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。

 ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。




 何の音なのかって?


 みんなのお腹の音なのだ……。


 つまり、腹減ってるのかって?

 そうなのだ……。


 なんでそんなことになってるのかって?


 それは……。

 それはっ!

















「もーダメ、このままじゃ眠れない」

 マリニアがベッドからのそーっと起きた。

 ちな、私も眠れない。

 

 お腹がすいてすいてもう、ダメ。朝飯までもたない。


「何でもいい、食べるものを」

 マリニア、ゾンビみたいにベッドから這いだした。食い物を、食い物をと、とてもお嬢様とは思えないことを口走ってフラフラと歩きだす。

 私もそれに続く。


「ちょっと、二人とも何処に行くの?」


 背後でアナスタシアの声が。

 私たちの気配で起きたらしい。


「食堂に行くの」

 ぬぼーっとした顔でマリニアが振り返る。私も同じく振り返る。まるでシンクロしてるみたい。


「だめよ、今行ったって鍵がかかってるわよ、それに」

 見つかったら反省房行きよ? とアナスタシア。

 

「それでもいい……」

 うつろに答えて部屋から出ようとするマリニア。

 私も思った。それでもいい。


 このまますきっ腹抱えてくるくらいなら。


「それでもいいって、シスターたちの話忘れたの? 反省房はムカデやヘビやネズミがうじゃうじゃいるって!」

「美味しそうじゃん……」

 と私が言うと、マリニアが頷いた。このさいネズミでもイイ。ローストにして食ってやると。










 ところで。なんで私達がこんな目にあってるのかというと。

 

 春休み。寮から家に帰れるとばかり思ってた私達。試験休みが終わって学校に行くと、先生らがにっこり笑って一冊のしおりを手渡したのだ。


 そこには、「修道院での一週間の合宿」と書かれていた。


 え?でもあの、修道院での合宿は、確か聖女のコースのみのはずでは?

 すると先生方。

「行儀見習いです」と。

 男の子はこの時平然としていた。俺ら関係ないよねーって。ところが。

「男子は、近衛騎士団での合宿があります」

 先生方から渡されるしおり。それを見た男の子たちの顔からみるみる血の気が失せる。何が書いてあるんだろう。

 

 て、て、ゆうか、せっかく地獄の試験をクリアしたのに。

 どうしてこんな試練を課されるのですか先生方!


 せっかく春休み、私の田舎にみんな招待するはずだったのにぃ!


「でも一週間じゃない。どうってことないわよ」とアナスタシア。

 いやいやいやいや、合宿のスケジュール見てみ(いきなり関西弁)アンタ。


 朝。四時に起床して休む間もなく掃除や畑仕事やボランティアに追われる。

 何が楽しゅうてこんなことやらにゃならんのだ。てか、行儀見習いになるのかこれ。


 ならない!


 てか、これ、囚人じゃない!


「でもベアト、朝早く起きるの慣れてるでしょ?」

 そりゃ慣れてるけど。慣れてるけどっっ。


 でも。でもぉおおおワアアンっ。


「1週間なんてあっと言う間よ。大丈夫よ。ちょっとした旅行に行くと思えばいいじゃない」

 アナスタシアが笑って言う。何でそんなに余裕綽々なのアータ。

 私はマリニアを見た。

 彼女は石造のごとく固まっていた……。しおりを片手に……。







 というわけで、首都から汽車に揺られてくること半日。そこから乗り合いバスでまた半日。


 着いたよ修道院。

 当然ながら山の中にある。お店なんかどこにもない。

 歴史を感じさせてくれる建物は観光だったらすごく綺麗に映ったに違いない。

 迎え入れてくれたシスター、つまり聖女さんたち。



 口は笑ってるけどその目は笑ってなかった……。

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