創作落語 異人さん
創作落語「異人さん」
見たことない物を、見たと言っちゃいけねぇなぁ〜、大変な事になるぜ…
ふぁ〜暇だなぁ〜
なんか、面白いことでもねぇかなぁ〜
ドダドタドタ、
大変だー、大変だー
大変だー、大変だー
照助が地響きをたてて走って来た。
大変だー
何だい照助、慌ててよ〜
大変なんだよー
港に、異人の船がやって来たー
何だって!異人の船がやって来た?
そうなんだよ、三吉〜
真っ黒い船が、三艘やって来たんだよ、初めて見たよ〜
そんな事で驚くなよ、照助、
へっ?
三吉は驚かないんかい?異人さんだよ、異人さん!
オイラは、驚かないね、
異人さんなんか、何回も見たことあるからな、
ええっー
三吉は、すげぇな、
あたぼうよ、
へぇー、
いったい何処で見たんだい?
……
……
…団子屋の前で、
団子屋?
団子屋って、向かいの団子屋かい?
そ、そうだよ、
昨日な、オイラが道を歩いていたら、見たことない格好の男がいたんだよ、
よく見ると、そいつが異人さんだったって訳さ、
へぇ〜、どんな格好だったんだ?
…ど、どんな格好っても〜顔が長くてな、
顔が長くて、
え〜手足が長くてな、
手足が長くて、
着物じゃねぇんだよ、
着物じゃねぇ!じゃぁ、フンドシか?
アホ、相撲取りじゃあるまいし、フンドシなわけねぇだろう、
じゃぁ、何を着ていたんだい?
そ、そりゃぁ…異人さんだから、いじーんな格好だよ、
いじーんな格好?
知らねぇのか、胃・じ〜んな格好だよ、
胃・じ〜ん?
胃がな、こう、痛くてな、ジンジンしてたまらない格好だよ、
異人さんてのは、お米を食わないんだ、
お米を食わないから、いつも胃がジンジン痛くて、お腹を抱えているんだよ、
だから、しょっちゅう厠に行くんだ、
ほう〜
着物じゃ大変だろ、
うん、
厠に行きやすい格好なんだよ、
へーっ、
で、どんな格好なんだ、
えっ!?
…厠に行きやすい格好だよ、
厠に行きやすい格好って、どんな格好だよ、
うーん、まー、お尻がな、こうポッと出ていてな、出しやすい格好だよ、
お尻が?異人さんの着物ってのは、お尻が出ているんか、
…そうだよ(汗)
へえ〜、
いつもお尻を出していたら、寒いんじゃないかい?
寒くなんかないんだよ、異人さんてのはな、お尻にいっぱい毛が生えているんだ、
へえ〜、異人さんのお尻には、いっぱい毛が生えているんだ、
まるで尻尾だな、
そうそう!異人さんは尻尾が生えているんだ。尻尾でお尻を隠しいるんだ、
へえ〜知らなかった、
どうだい、解ったかい、
へえ〜、
で、上はどうなってるんだい?
上?
まぁ〜え〜っと…
!
あっ、そうそう、首に紐を巻いているんだ、
紐?
紐だよ、赤い紐を巻いているんだ、
オイラたちには、何でやっているか解らないんだが赤い紐が大好きなんだ、
へえ〜、まるで馬みたいだなぁ〜
そ、そうだよ!馬みたいな格好なんだよ、
ふぅ〜ん、
顔が長くて、手足が長くて、尻尾があって、首に赤い紐が巻いてある。馬と区別がつかねぇなぁ、
そ、そうだなぁ〜うんうん(汗)
そこへ、赤毛の馬を連れた男がやって来た。
トコトコトコ、
三吉たちの前にやって来る。
おおっ、
異人さんだ、異人さん、(小声)
異人さん?
そ、そうだな、
顔が長くて、
手足が長くて、
尻尾があって、
首に赤い紐が巻いてある!
間違いなく異人さんだ、
……
だよな、三吉、
う、うん(汗)
すげー初めて異人さんを見た〜
う、うん(汗)
しかし、あの異人さんの赤い紐を引っ張っている人は、誰だい?
あ〜異人さんの〜…子分だ、
子分?
異人さんてのはな、日本語が解らないんだ。だからな、子分が引っ張ってな、案内しているんだよ、
へぇ〜
うんうん(汗)
すると向こうから、違う赤毛の馬がやって来た。
あれ?
また、異人さんだ、
う、ううん?
顔が長くて、
手足が長くて、
尻尾があって、
首に紐が巻いてある!
間違いなく異人さんだ、そうだろ三吉、
……あれは〜、馬だな、
?
馬?
ほら、首に青い紐が巻いてあるだろう、
ほーっ、
赤い紐を巻いているのが異人さんでな、青い紐を巻いているのが馬なんだ、
ほーっ、
そうそう(汗)
そこに、黄色い紐を付けた馬がやって来た。
おおっ、あれは〜、異人さんか?馬か?
あれは〜(汗)……
…タヌキだ、
タヌキ?
タヌキはな、黄色い紐を巻いているんだよ、
へぇ〜
お尻はどうかな?
お尻が出ているぞ、尻尾もあるぞ、
異人さんじゃねぇのか?
タヌキも尻尾があるだろう、
あれはな、タヌキが化けて変身しているんだ、ちょっと顔が丸いだろう、
うんうん、
だから、タヌキだ、
へえ〜すげぇな三吉はよ〜
まあな、(汗)
今度は、そこに、緑色の紐を付けた馬がやって来た。
三吉〜あれは、何だい?
……
三吉〜
……
三吉〜
…あ、あれはな〜(汗)
宇宙人だ、
宇宙人?
宇宙の人はな、緑色の紐を付けているんだ、
へえ〜
宇宙人てのはな、鼻が口で耳が目で、口が鼻なんだよ、
だから、緑色の紐じゃないと、見えないんだ、
へえ〜、
解ったかい、(汗)
今度は、そこに、紫色の紐を付けた馬がやって来た。
三吉〜、あれは、何だい?
……
……
……
助けてくれ〜
三吉は、慌てて逃げて行った。
おーい、三吉〜
どこいくんだよ〜
行っちゃった、
あー面白かった、
三吉の作り話は、最高だぜ!
おしまい。