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SFSS  作者: 近江
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もやし

 品種改良される前の大根というのは、葉っぱばかり大きくて根っこは親指くらいに小さかったらしい。

 らしい。…らしい。私たちが普段目にする大根なんて白い部分だけしかないので、私は大根の葉っぱとやらがどういう風にくっついているものなのかをそもそもよく知らない。多分自然のままに生えている大根を見ても、私は大根と気付かないと思う。農業の機械化と自動化、さらにはバイオテクノロジーの発達によって、今やこの国には食用植物を未加工の状態で目にする人はそう多くない。農家でもないのに趣味で栽培・加工・調理までを行う物好きもいるが、ごく一部だ。だって生きてる植物を自分で切るとか、なんかグロいし。


 けど来週提出のレポートがあるから、イツカダイコン(ラディッシュ)くらいは何が何でも育てて切って食べないといけない。この単位を落とすわけにはいかないのだ。


 そういうわけなのでタネ屋の通販窓口でチャットボット相手に「初心者向けのタネをくれ」「グロくないやつ」「できれば丸ごと食べられるやつ。プチトマトとか」と懇願しまくったしたところ、『自然栽培用の種だと、プチトマトは非可食部がたくさんあって大変だと思いますよ。茎や葉、根と呼ばれていますが、あなた処理できないでしょう?』とすげなく却下された。どうやら私が好んで食べているルビーのような野菜は、本来あのまま生えているのではなかったようだ。以前取り寄せてタネを撒いたことがあったが、そのときは丸い部分だけがちゃんとできたのに。あれは種ではなく、分化誘導済みのタネ(細胞塊)だったらしい。


 じゃあ自然栽培用の種なら何でもいいから早く育って切らないで食べられるやつ!!!

 そう注文したものが先ほど届いた。水に入れて放っておくだけで育つらしいのでタイマーにかけて(チンして)みたが、にょきにょき伸びていく様子を見た後だと食欲がどうもわかないな。なんだか踊り食いみたいで……。

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