８９話 バレッドの屈辱
バレッドとエレノアは痛みに苦しみながらティーダに連れられダンジョンの外へと出る。
そして誰もいない場所でバレッドとエレノアを乱暴に投げ飛ばした。
「てめえ！！ 何しやがる！！」
「そうよ！！ 乙女をこんな乱暴に扱うなんて！！」
「誰が助けてやったと思ってる。あのままならラークに無様に殺されていたぞ」
「何だとてめえ！！」
「やめとけ。右腕が無い状態で戦っても一撃も与えられねえよ。まあ五体満足でも無理だろうがな」
「な！？ くそが！！」
バレッド達は右腕を失っている。
そして同時に止血をしていないので血が止まらない。
ドクドクと右腕に激しい痛みが伴う。
「寿命一年で再生させてやる」
「ふざけるな。もう一年払ったんだぞ！！」
「じゃあそのまま右腕無しの生活を送るか。惨めだな」
「てめえ！！」
バレッドは左拳でティーダに殴りかかる。
しかしバレッドは簡単にあしらわれる。
そして無様に床に顔面から倒れ込む。
「早く決めろ。俺はそう気が長くない」
「ぐっ！！」
「私は払うわ」
エレノアが右腕を左手で押さえながら言う。
「右腕無い乙女なんて信じられない！！ 男に嫌われるわ」
「じゃあ寿命一年貰うぞ」
そう言ってティーダは詠唱する。
「悪魔術トランザクションリバース」
そうティーダが詠唱するとエレノアの右腕が再生した。
そしてエレノアは寿命を一年奪われた。
合計二年分寿命を奪われた。
「さあ愚かな床に這い蹲ってるお前はどうする？」
「ちっ。分かった払ってやるよ。その代わり後でお前から奪い返す」
「哀れだな」
「何だとてめえ！！」
「まあいい。再生してやる」
再びティーダが詠唱する。
「悪魔術トランザクションリバース」
ティーダがバレッドの右腕を再生する。
そしてバレッドは一年の寿命を奪われた。
合計二年分。
屈辱的だった。
「もう一度ラークに復讐してやる！！」
「そうね。許せないわ！！」
「馬鹿なのかお前たちは。勝てる訳ねえだろうが」
「何だとてめえ！！ 俺達が劣ってるとでも言いてえのか！！」
「Cランク風情がAランクに勝てるはずねえだろうが。また返り討ちにあうだけだ」
「てめえ！！」
バレッドは鉄の剣を再生した右手で持ってティーダに攻撃する。
ティーダは憐れんだ目でバレッドを見て、簡単に攻撃を回避する。
そして力を入れた拳でバレッドの腹を殴る。
「がはっ！！」
「眠ってろ屑が」
ティーダはバレッドを一撃で黙らせる。
それを見たエレノアは怖くなり逃げ出そうとする。
「悪魔術デビルソード」
ティーダは腰に帯同していた剣を抜き、その剣に魔法を組み合わせた。
そしてエレノアの首に剣を近づける。
「や、やめて。こ、殺さないで！！」
「お前は実験体だ。大人しく眠ってろ」
「がはっ！！」
ティーダは容赦なくエレノアの腹に拳を叩き込む。
そして剣をしまった。
「残りの三人はまあいいか。こいつら二人だけで十分に楽しめそうだ」
ティーダは高笑いしながら気絶した二人を抱えてどこかへ行く。
「ラーク、それにホワイトアリス。お前らには屈辱を味わわせてやる」
そう言ってガルフダンジョン前から消えた。
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