129話 ダークアーラの失態
白い外套を身に纏った男はある遺跡の最奥地にある部屋の椅子に腰を掛けて大きくため息をついた。
「大失態ね」
「黙れ。俺の能力を知っているだろう。俺は戦闘向きじゃない」
「言い訳は見苦しいわよ。まあティーダが回収した寿命は持って帰って来たみたいだけど」
「ああ。予め渡すよう言ってあったからな」
「それにしてもティーダが殺されるなんて相手は相当強いのね」
「見てた限りではかなりやばい。特にラークとかいう男の能力は異常だ」
「まあ三回生き返れるティーダが死ぬんだから相当よね」
「介入系は厄介だ。俺の上位互換かもしれない」
「じゃあ貴方ではなくラークをダークアーラのメンバーに迎え入れましょうか」
「冗談でもそんな言葉口にするな」
「そんな睨まないでよアーディン」
「ちっ」
白い外套に身を包んだ男の名前はアーディン。
白い髪に白い瞳。くっきりした目鼻が特徴だ。
「それで他のメンバーは?」
「さあな。寿命回収は行っているが」
「まあこの組織にリーダーなんて存在しないからね」
「だけど目的は一致している」
「そうね」
アーディンとエルージュが椅子に座って雑談していると、入口方面からコツンコツンと足音がした。
部屋の扉が開く。
「ティーダ死んだんだって。相変わらず弱いね」
「珍しいなお前が顔を出すなんて」
「まあね。僕クラスになると気まぐれって奴」
「どうでもいいが寿命を回収してきたんだろうな?」
「僕に命令する気?」
黒い短髪でラークより年下であろう少年が不気味な笑顔を浮かべて殺気を放つ。
椅子とテーブルが僅かに振動する。
「いや命令したつもりはない」
「冗談だよ。今ここでアーディンを殺したりしないよ。だっていまそういう気分じゃないもん」
「ならいいが」
椅子に腰を掛けて少年はコーヒーを飲む。
ミルクたっぷり砂糖たっぷりの激甘コーヒーを。
「それで魔神復活はどうなの?」
「もうじきだ。そんなに時間は掛からない」
「そう。それは楽しみだね」
少年はコーヒーを飲みながらそう呟いた。
「そう言えばティーダは誰に殺されたの?」
「ホワイトアリスってパーティー」
「へえー何ランク?」
「今はSランクよ」
「ひゅー。そりゃ凄い」
「微塵も思ってないでしょ」
「まあね」
「厄介な能力持ちよ」
「ふーんそうなんだ」
少年は興味無さそうな態度でコーヒーを飲み終わると部屋から出て行った。
「全くあいつは苦手だ」
「でも面白いわよ」
「黙れ」
アーディンは苦虫を潰したような顔をしていた。
部屋の外で少年は顎に指をあてて独り言を呟く。
「ホワイトアリスか。どんなパーティーだろちょっと接触しようかな」
そう言って遺跡の外へと歩き出す。
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