126話 ティーダとの決着
俺はひたすらティーダとの戦場から距離を取った。
はあ、はあ。急げ、急ぐんだ。
介入者から距離を取れば俺のスロット共有の能力が発動する筈だ。
「よしここまで来れば」
ここで一旦セーブだ。
「セーブ」
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スロット1 馬車の中
スロット2 辺境の町
スロット3 ファイシード国宿屋
スロット4 フレッディーノ国宿屋
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俺はスロット2に上書きセーブをした。
幸い何故か追ってきている気配が無い。
距離が関係ないのか。
それとも邪魔が入って追ってこれなくなったか?
頼む後者であってくれ。
「スロット共有したい。ティーダに使用可能か」
『可能です。どのスロットに何を共有しますか?』
「やった!! スロット2にスロット1の時のティーダの復活以外の状態を共有したい」
『畏まりました。動作が完了致しました』
「よっしゃ!! それともう一つライトニングソードの状態をスロット2に共有したい」
『畏まりました。動作が完了致しました』
俺は大きな声で握り拳を掲げた。
そして戦場へと急いで戻る。
「何が起きたの!? ティーダが元に戻った?」
「はあはあ。スロット共有した。ティーダは記憶ないから自覚ねえけどな」
「ラーク!? やったのね」
「ああ。後は頼めるか」
「ええ、任せて」
「頼んだ」
俺は息切れしてその場に座り込む。
魔力も随分消費した。
「はあああああああああああああっ!!」
「とりゃあああああああああああっ!!」
「うらああああああああああああっ!!」
リアが正面からブラッドソードで攻撃する。
ヴィクトリカが俺の能力で直ったライトニングソードで横側から攻撃する。
ネールがスカーレットソードで背後から攻撃する。
「ちいっ!!」
「終わりよ!!」
「終わりじゃ!!」
「終わりだ!!」
ティーダは何とか回避しようとするが、間に合わずリアのブラッドソードを腹部に突き刺され食らう。
「がはっ!!」
「終わりだティーダ。今度こそ」
「何を言っている!? それに何故だ、な、何故復活しない!?」
「お前の能力は書き換えた」
「な!? まさかお前の能力は分裂ではなくて、書き換え!」
「さあな。罪を地獄で償え」
腹部に致命傷を負わされたティーダは床を這いながら、必死に逃げようと足掻く。
「逃がさねえ。お前は絶対に殺す」
「く、くそが。俺はお前の屈辱的な顔が、がはっ、み、見たいんだ」
「もう魔力も残ってないだろう。俺達の勝ちだ」
「くそがああああああああああああああああああ!!」
ティーダは必死に醜く床を這いつくばりながら、それでも生き延びようと俺達から距離を取る。
だがもう虫の息だった。
俺はリアから借りたブラッドソードを右手に持ってティーダの眼前に突き刺した。
「死ねよティーダ。お前のせいで苦しんだ者が沢山いるんだ」
「だ、黙れ。お、俺はお、お前をこ、殺す。こ、こんな所で死んでたまるかああああああああ!!」
「終わりだあああああああああああああああ!!」
「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
俺はティーダの首を思いっきりブラッドソードで刎ねた。
ティーダの首が宙を舞った。
「眠れティーダ」
俺はティーダを殺した。
そしてこの日俺達はダークアーラのメンバーの一人ティーダに勝利した。
「やったわね」
「やったのじゃ」
「やった」
「やりました」
「やったよ」
「やったー」
「ああやったな」
俺に全員抱き着く。
俺は疲労度で動けなく抱き着かれたままの態勢で笑う。
「ははっ、全く頼もしい仲間だ」
俺達は全員で喜びを分かち合った。
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「ちいっ、邪魔しやがって」
「君の能力、どうやら介入系のようだね」
「流石にSランク冒険者二人と戦うのは分が悪いか。悪いが退散させてもらう」
「させると思うかい?」
「ああするさ」
「それは!?」
白い外套を身に纏った男はティーダが死んだことを確認すると、ポケットから直ぐにある石を取り出した。
その石は転移結晶。
自由に転移できる超レアな結晶である。
「ダークアーラの悲願はもう少しで成就される。その時世界は混沌と化す」
「それはさせない。僕たちは君たちの野望を絶対に阻止して見せる」
「無駄だ。あれには絶対に誰も勝てない」
「あれとは何だ?」
「さあな。時期が来たら分かるさ。じゃあな」
白い外套を身に纏った男は転移結晶で逃げる。
「逃げられたわね。まあ転移結晶相手では仕方ないわ」
「そうだね。まあ取り敢えずラーク達に感謝だね」
「ええ。流石ね彼」
「そうだろ。僕の親友なんだ」
「ふふっ、嬉しそう」
「嬉しいよ」
ユーリとカトレアは青空を見上げて語り合う。
ラークを、【ホワイトアリス】を陰ながら救った最高の冒険者である。
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