118話 ヴィクトリカの魔法と剣技
ヴィクトリカがライトニングソードを構える。
そして攻撃する。
「とりゃあああああああああああああ!」
「無駄よ」
「それはどうかのう」
「なっ!?」
ヴィクトリカの攻撃方法が変化した。
剣の構えが変わり、剣の道筋が変わった。
咄嗟に回避した謎の仮面を被った黒いコートを身に纏った女性。
しかし黒いコートが少しだけひらりと切れる。
「どうじゃ。回避できんかったじゃろ」
「へえー。あの一瞬で剣の道筋を変えるなんてやるじゃない」
「今の妾は何かが違うのじゃ」
「何が違うのかしら?」
「これから分かるのじゃ」
ヴィクトリカは再びライトニングソードを前とは違う独特な持ち方で構える。
警戒した黒いコートを身に纏った女性は、魔法を詠唱する。
「ファイアソード」
腰に携えていた謎の剣を抜く。
白銀のその剣に炎が渦巻く。
「はあああああああああああっ!!」
「ぐっ!!」
「どうしたのかしら」
「まだまだなのじゃ」
両者の剣が火花を散らして衝突しあう。
どちらの剣も一歩も譲らない。
あの謎の白銀の剣は一体何だ?
「やるわね」
「はあはあ。お主もやるのう」
「今なら殺さずに済むわ。負けを認めなさい」
「嫌じゃ。妾は勝つ」
ヴィクトリカはふうーっと大きく一息つく。
そして魔法を詠唱する。
「サンダーレーザー」
「な!?」
ヴィクトリカは魔法詠唱直後、ライトニングソードから雷のレーザーを放出する。
そのレーザーが不意打ちとして謎の女性に直撃する。
仮面が割れる。
「やった。いいぞヴィクトリカ」
「やりましたね」
「ああ」
地面へと吹っ飛んだ謎の女性、いや少女は仮面が割れて素顔を曝け出す。
凄く整った容姿、オレンジ色の瞳。
「ふっ、面白かったわ。私の負けね」
「な!? まだやれるじゃろ」
「いいえ。私に一撃与えたのだから勝ちよ」
「納得行かぬのじゃ」
「まあ本当の戦場ではないからね」
「お主名前は?」
黒いコートを身に纏った少女は、ヴィクトリカに近づき囁いた。
「私の名前はカトレア。貴方はもっともっと成長するわ」
そう言ってカトレアは闘技場を後にした。
結局消化不良で終わってしまった闘技場。
一応の勝者はヴィクトリカになり、ダークネスアーマーはヴィクトリカが手に入れた。
ダークネスアーマー。
それは闇の鎧。
あらゆる攻撃を闇の力で防ぐと言われる鎧だ。
ダークネスソードと合わされば強力な剣士が出来上がるとさえ言われている。
誰が作ったかは定かではない。
「カトレアだっけ。お前一体何者?」
「あらお一人でここまで?」
「少し用があってな」
「何でしょう?」
「わざと負けたのは何故だ?」
俺の言葉にカトレアは口角を上げて笑って見せた。
「別に私は雇われただけだから。殺す相手は見極めてるわ」
「将来性を見越してか?」
「鋭いのね。そうよあの子は強くなる。そして貴方方も。まあ貴方はもう十分強いようだけど」
「本当に何者だ?」
「ただのSランク冒険者よ。じゃあねラーク」
「お前名前を知って!?」
「調べてたからね」
カトレアはそう言って踵を返して去っていく。
正体不明の少女。
一体何者なんだ?
「うう、分からない」
俺は一人困惑したまま仲間の下へと戻っていく。
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