117話 一撃が与えられない
翌日闘技場にて俺達は観覧席に座る。
今日も闘技場は大賑わいである。
観客が盛り上がっている。
さてセーブしよう。
「セーブ」
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スロット1 フレッディーノ国闘技場
スロット2 豪華馬車の中
スロット3 ファイシード国宿屋
スロット4 フレッディーノ国宿屋
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俺はスロット1に上書きセーブをした。
「さあ始めるのじゃ」
「威勢がいいわね」
「妾は負ける気がせんぞ」
「そう、でもそれは願望に過ぎないわ」
「何じゃと?」
「戦えば分かるわ」
ヴィクトリカの言葉に謎の女性は煽る様に返す。
二人は対峙する。
真剣な表情で。
「ヴィクトリカ焦らないといいけど」
「大丈夫だ。ああ見えて賢い」
「意外とよく見てるわね」
「まあな」
ヴィクトリカが黒いコートを身に纏い、仮面を被った女性に先手を取る。
「とりゃああああああああああああああああああ!!」
ヴィクトリカの新しい武器ライトニングソード。
ライトニングソードには雷が纏っており、攻撃した相手を高確率で麻痺させる。
「甘いわね」
黒いコートを翻して華麗に避ける。
仮面で表情が見えないが、恐らく冷静だろう。
「ううむ、やるのう」
「どうしたの。掛かって来なさい」
「舐められたものじゃのう!」
ヴィクトリカが何度も相手に向かって剣を振るう。
しかしその雷を纏った剣は空を斬る。
一撃も攻撃が当たらない。
「ぐはっ」
「隙が多いわね」
ヴィクトリカは相手に腹部を蹴られ後退する。
お腹に力は入れていたようでそこまでダメージはない。
やり直すほどではないか。
「ヴィクトリカ苦戦してますね」
「相手が思ったより強いな」
「難しい戦いになりそうですね」
「あの謎の剣も気になる」
「そういえばまだ剣を抜いていないですね」
「ああ」
ヴィクトリカはライトニングソードで再び切りかかる。
仮面の女性は華麗にそれを回避する。
第三者から見れば凄いスピードで攻防が繰り広げられている。
肉眼では追えない者も沢山いるはずだ。
「ううむ、当たらないのじゃ」
「それは貴方の攻撃が直進的だからよ」
「お主、手を抜いておるな」
「本気でやれば私は貴方を殺してしまうわ。幼い貴方を殺すのは心が痛むわ」
「馬鹿にしておるのかお主?」
「いいえ。ただ私には絶対に勝てないわ」
自分の空気に引きずり込むのが上手いな。
ヴィクトリカはアリスやリアのように一歩踏み出さないとこのままでは勝てない。
「おーいヴィクトリカ。勝ったら高級焼肉食べさせてやるぞ!!」
俺の観覧席からの大きい声が闘技場全体に木霊する。
周囲は俺に注視する。
「高級焼肉じゃと!? 本当か!?」
「ああ本当だ」
「絶対勝つのじゃ!」
「頑張れー」
俺は観覧席に再び座る。
「考えたわね。一番モチベが上がるのはヴィクトリカにとって食べ物よね」
「ああ。食べ物に対する愛は最強だからな」
ヴィクトリカは再び気合を入れ直し、ライトニングソードを構える。
さっきまでとは違って冷静で真剣な表情だった。
「貴方のお仲間凄いわね」
「そうじゃろ。妾にとっての自慢のラークじゃ」
「へえー、ラークって言うの」
「うむ」
黒いコートを身に纏った女性は俺を見た。
俺と仮面越しで目が合う。
「一撃でも与えられるかしら」
「余裕じゃ」
ヴィクトリカの中で何かが弾けた音がした。
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