108話 バレッドとの決着
俺は異形化したバレッドを見て哀れに思った。
と、同時に警戒した。
「アリス頼む」
「はい」
バレッドが「グガガアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」と叫び声をあげる。
アリスはバレッドが攻撃する前に呪術カースレーザーを放つ。
「呪術カースレーザー」
アリスの放った漆黒の巨大なレーザー。
だがバレッドは対抗するように、口から黒い球体を放ちレーザーにぶつける。
エレノアの黒い球体より大きい。
「グガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「何!?」
「グルルルルルルルル!! ガアアアアアアアアアアアアアアア!!」
呪術カースレーザーが相殺された。
不味いな。
「ヴィクトリカとネールで視線誘導を頼む。リアは一撃でいい、傷を付けてくれ。ラフレアとアリスは俺が守る」
「分かったわ。任せて」
「頑張るのじゃ。ここが勝負所なのじゃ」
「うん。任せて」
「頼んだ」
俺は腰に帯びていたブルーソードを引き抜きラフレアとアリスを守る態勢に入る。
ラフレアもアリスも魔力消費が激しい。
ここは俺が守るしかない。
「とりゃああああああああああ!!」
「うらあああああああああああ!!」
ヴィクトリカとネールがバレッドの視線誘導役を買う。
そして攻撃する。
しかしバレッドは叫び声をあげて強力な魔力を放出した。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「くっ、近づけないのじゃ!!」
「魔力の圧で近づけない!!」
リアが正面から攻撃する。
「ブラッドフレイム」
リアが詠唱するとブラッドソードから赤黒い炎が放出される。
ブラッドソードに渦巻く形で。
「はあああああああああああああああっ!!」
「グガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
リアのブラッドフレイムとバレッドの悪魔術を帯びた銀の剣が衝突する。
両者一歩も譲らない。
一旦リア達は俺達の下まで引く。
「強いわね」
「ああどうするか。恐らくスロット共有で戻しても再び異形化するだろうな」
「その前のセーブデータ残ってる?」
「その手があったか」
リアに言われるまで忘れていた。
戦場で少し頭がいっぱいいっぱいになっていたのかもしれないな。
ティーダに悪魔術を施される前に戻せばバレッドは異形化しない筈。
これなら勝てる。
「スロット1にスロット3の一部をデータ共有したい」
『何者かがブロックしました。動作にエラーが起きました』
「何!? おいどうなって!?」
『現在バレッドに関してティーダに関してスロット共有は行えません』
「何でだ!!」
『何者かがブロックしました。動作にエラーが起きました』
くそ。一体どうなってやがる。
誰かがブロックしてるだと!?
俺の世界改変に介入できる奴がいるのか!?
「リア悪いがスロット共有は無理だ。何としてでも一撃を入れるしかない」
「わかったわ。任せて」
「俺はスロット共有で皆の魔力を全回復させる。それならできる」
「お願い」
「こっちこそ悪いな」
「大丈夫任せて」
俺はスロット共有を再び行う。
「スロット1にスロット3の一部のデータを共有したい。仲間の魔力を全回復させたい」
『畏まりました。動作が完了いたしました』
「どうやらこれは出来るようだな」
俺は仲間の全員の魔力を全回復させた。
だが一体何故だ。
何故バレッドとティーダには共有が効かない?
まあ今は戦いに集中だ。
「アリスもう一度呪術カースレーザーの準備を」
「はい」
再びアリスはカースケインの能力呪術カースレーザーの準備に入る。
時間稼ぎをリアとヴィクトリカとネールが行う。
「グガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
バレッドは黒い球体を吐く。
アリスに向かって。
俺はそれをブルーソードで防ぐ。
何とか防ぐもブルーソードにひびが入る。
「ぐっ!!」
バレッドが再び魔力を放出する。
「この魔力量異常ね」
「全くじゃ」
「近づけない」
俺達は十分にバレッドと距離を取り時間稼ぎを行った。
そしてアリスの準備が完了した。
「リア、ヴィクトリカ、ネール。アリスの攻撃が当たるよう視線誘導を頼む!!」
「分かったわ」
「任せるのじゃ」
「うん」
リア達がバレッドの視線を誘導させる。
先刻みたいに相殺されたら意味が無いからな。
「はああああああああああああああああっ!!」
「とりゃああああああああああああああっ!!」
「うらあああああああああああああああっ!!」
リア達に上手くバレッドが釣れた。
「今だアリス!!」
「はい。呪術カースレーザー!!」
アリスの呪術カースレーザーがバレッドの心臓部分に直撃する。
バレッドは回避できなかった。
「グガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
バレッドは悲鳴を上げてその場に倒れ込む。
俺は残りの魔力全てを使用して分裂させる。
「セーブ×2」
『どこに分裂しますか?』
「こっちは出来るようだな。心臓の傷を脳に」
『畏まりました。動作が完了いたしました』
バレッドは心臓と脳に大ダメージを食らい死亡する。
バレッドはその場で醜い姿のまま地面にどさりと倒れた。
「じゃあなバレッド。地獄で反省しろ」
俺は魔力が殆どなくなり地面に座り込む。
他の皆も俺同様疲れ果て地面に座り込む。
「やったな」
「ええ。やったわね」
「うむ、やったのじゃ」
「やった」
「やりました」
「うん、やった」
「やったよー」
はあはあ。
全くとんだ迷惑野郎だったぜ。
バレッドお前は自業自得だ。
地獄で反省しろ。
それとティーダは俺が殺してやる。
俺達は残りの魔力回復剤を全て飲んで魔力を回復して、先ずはリアの炎魔法でバレッドの醜い死体を燃やした。
せめてもの手向けだ。
「スロット共有で村の人を救う」
「お願い」
「任せておけ」
先にセーブしよう。
「セーブ」
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スロット1 西方の村
スロット2 豪華馬車の中
スロット3 ファイシード国宿屋
スロット4 フレッディーノ国宿屋
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俺はスロット1に上書きセーブをした。
そしてスロット共有を使用する。
「スロット1にスロット2の一部のデータを共有したい」
『畏まりました。動作が完了いたしました』
「これも出来るのか」
俺はこうしてバレッドを無事に殺して、西方の村を救った。
西方の村人からは救世主扱いされた。
解釈が違うようだ。
「セーブ」
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スロット1 西方の村
スロット2 豪華馬車の中
スロット3 ファイシード国宿屋
スロット4 フレッディーノ国宿屋
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俺はスロット1に上書きセーブをした。
こうしてバレッドとの長い長い戦いは終幕した。
俺達はエレノアとバレッドを殺すことに成功した。
しかしまだ戦いは終わりではない。
ティーダとの戦い、謎の組織ダークアーラとの戦いが残っている。
それにしても一体誰がブロックを?
俺の能力を知っていて、それに介入できる人物。
一体誰だ?
俺は頭を悩ませた。
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