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魔道書

今日も、ギルドカードを受付へと提出する。


「データの確認ですね。少々お待ちください。」


薄桃色の髪に包まれた美人は今日も来たのかこの出来ぞこない、と俺をそんな目で見る。

人を生ゴミを見るような目は整形してもっと可愛い目にしてやろうか。

「ライトさんのステータス出ました。」


攻撃力、1

防御力、1

俊敏性、1

回避、1

特性耐性、無し

モンスター討伐数、0

総合ランク、F


能力値が1だからって、1番良いって意味の1じゃない。分かっていると思うけど……。

数値が高ければ高いほど、能力も高い。まぁ、分かっていると思うけど……。


ギルド認定証を貰ってから一年。未だにモンスター討伐数0って……。


ギルド内で笑いが起こる


「モンスターも倒せないような奴がこんなとこに来んじゃねーよ。ハハハッ!」

「能力値オール1だってよ!俺だったら自分の腹斬るわ!ハハハッ!」

「こんな奴が世の中に居たんだな。天然記念物ってやつか!ハハハッ!」


俺は、血が出るくらいに食いしばり、ギルドを飛び出した。


俺は、ギルドに入るしか生きる道は無かった。

両親が病死してからたった一人の家族、妹の為にもお金を稼がないと行けない。

モンスターが全世界の5割以上を占める時代になった今、モンスター討伐はお金を稼ぐ主流だ。

モンスター討伐の依頼で稼げるし、モンスターの素材も高く売れる。


何で、こんなゴミクズみたいな、ステータスの俺がギルドに入れたのか。それは、俺に魔力が存在したから。


多少なりとも、魔力が有ればギルド認定証を貰える。それこそ、微生物みたいに少量の魔力があればギルトに入れる、おかしな世界になったものだな。

俺の両親が魔法師だった為か、俺には魔力が存在した。

一つも魔法は習得していないけどね。

この魔力で、俺は世界を救う!当時はそう意気込んだものだ。


ボロ雑巾のような、服を風になびかせ俺は、家まで走った。他人が見れば、雑巾が走ってる風に見えるかもしれない。

街外れの森の中に、台風が来たら、そのまま飛んで行ってしまいそうな小さなボロ屋を見つけた。


こんな、ボロ屋に住んでるやつの顔が見てみたいぜ。

俺でした。


「ただいま。ソフィア。」

キィーキィー軋む、戸を開けると俺より5歳年が下の妹が俺の帰りを待っていた。

俺は、今15歳だから、ちょうど10歳か。


「お兄ちゃん、おかえり。今日は、モンスター倒せた?」

正直言って、可愛い。

お世辞抜きで世界一可愛いい10歳だとおもう。

腰辺りまで伸ばした黒髪に、小さい顔。お前アレだな、例えるなら、かぐや姫だな。


「いや、倒せなかったよ。もう少しで倒せたんだけどな。」

嘘をついてしまう俺が情けなくてしかたない。

本当は、怖くて街の外にさえ出ていない。


毎日自分のステータスが嘘ではないかと、確認しにギルドへ足を運んでいるだけだ。


「そっか、残念だね。お兄ちゃん、もうあと一食分しかお米がないの。今日は私、ご飯要らないからお兄ちゃん食べて。」


「ソフィアが食べろよ。俺は、お腹空いてないんだ。」

本当は死ぬほどお腹すいているんだけど。


「良いの?モンスターと戦って疲れてるんでしょ?」

本気で心配してくれる妹を見ると泣きそうになる。


「ああ、そうなんだ、疲れてるからもう寝るよ。」


今にも壊れそうなボロボロの襖を開けて、自分の部屋に入り、藁の上に薄い布を敷いただけの簡易式のベットに横たわる。


「フゥー、明日からどうしよう。」

そういえば昨日、机の中に何か入ってるのを見つけたまま、手に取らずに忘れていたのを思い出した。


机を開けると一つの分厚い本と手紙が入っていた。


『ライトよこれは、魔道書だからな、汚いからって捨てるなよ。お前が困ったとき、魔法を使えるようにある一つの魔法を書き記してある。お前の魔力ごときで、発動出来るか知らんがな。試しに一回使え。モンスターに触れて、融合と言え。それで発動するはずだ。まぁ、お前ごときの魔力で発動できるか、知ったこっちゃないがな。 父より』


心配してくれてんのか、けなしてんのか分からんな。

試しに一回使えだと?

モンスターに触れないといけないの?

装備なし、ステータス最低の俺が、モンスターに触れることなど出来るのか。


とにかく明日、近場の洞窟まで行くか。


グゥーーーー


「何だ?!空襲か?」


自分のお腹の音で目が覚めた。

「お腹空いたなー。」


「おはよう、お兄ちゃん。」

俺の彼女の、いや違った。俺の妹のソフィアはもう起きていて笑顔で俺を迎えてくれた。

その優しいヒマワリみたいな笑顔は最高の目覚ましだ。

「今日は、モンスター倒してくるから。」

限りなく可能性の低い事を、言ってみる。


「はい、おにぎり作ったの。これ食べてお金稼いで来てね。」


ソフィアは、残りのご飯を食べずに俺の為にとっておいてくれたらしい。


「ありがとう。抱きしめて良いか?」

「いや!」


即答で断られた為に、早々に家を出た。


一口で食べれてしまうほど小さいおにぎり。小さいけれど綺麗に整った三角。

味付けもない。

ただ、死ぬほどに美味かった。

このおにぎりのお陰で、元気と勇気が湧いてきた。



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